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WEB集客ARTICLE 019

季節ごとのインバウンド需要 — 「いつ何を」準備するかの基本

2024年の訪日外客数は3,687万人。月別に並べると、3月(308万人)・7月(329万人)・10月(331万人)・12月(349万人)の4つの山が立ちます。日本人のカレンダーと世界の旅人のカレンダーの違いを読み、4波の前に何を何週間前に整えるかを整理しました。

季節ごとのインバウンド需要 — 「いつ何を」準備するかの基本
2025.11.28WEB Acquisition5分で読めます

インバウンドの需要の話は、感覚で語られがちです。「最近、外国人が増えましたね」。しかし需要の正体は感覚ではなく、数字で読める「波」です。日本政府観光局(JNTO)の統計で2024年を月別に並べてみると、訪日外客数には綺麗な4つの山が立ちます。3月(308万1,781人)、7月(329万2,500人)、10月(331万2,000人=単月として過去最高を更新)、そして12月(348万9,800人=統計開始以来初めて340万人を超えた月)。春・夏・秋・年末——この4波に備えることが、インバウンド集客の一年の設計そのものです。

FACT2024年の訪日外客数は年間3,686万9,900人(過去最高)。月別では12月348万9,800人(初の340万人超え)、10月331万2,000人(単月過去最高を更新)、7月329万2,500人、3月308万1,781人と、春・夏・秋・年末に4つの山が並ぶ(日本政府観光局の推計) — インバウンドの需要は、カレンダーに沿った4つの波として毎年やってくる。

日本人のカレンダーと、世界の旅人のカレンダー

4つの山の正体を、一つずつ読みます。3月の山は桜です。開花予想が発表される年前から、旅の計画は動き始め、予約は4〜8週間前に集中します。ただし桜の開花は年によって前後するため、この波の宿は「満開の保証」より「桜の季節の過ごし方」を売る方が安全です。7月の山は、北半球の夏休みです。欧米・東南アジア・中国の学校休暇が重なる長い波で、家族連れと長期滞在が増えます。10月の山は紅葉と、アジアの秋の連休です。波は短く高い——紅葉の見頃は地域が2〜3週間ほどだからで、この波だけ予約の前倒しがさらに早まる傾向があります。12月の山は、年末の都市滞在です。カウントダウン、イルミネーション、そして日本の正月を体験したい旅人。2024年で最も高い山が12月だったことは、多くの宿の直感(年末は日本人が帰省して客が減る)を裏切る数字です。旅人のカレンダーは、日本人のカレンダーと同じではありません。もう一つ注意が要るのは、中国・東南アジア発の需要は旧正月(春節)の時期——年によって1月末から2月に移動します——にもう一つの小さな山を作ることです。

準備のタイムライン — 8週間前から

波に間に合わせる仕事は、波が来る前に終えておく必要があります。目安は8週間前です。

  1. 8週間前 — Listingの更新 — 写真(今の季節のものに)、タイトル、プラン。予約サイトの順位の話はListing最適化の記事に譲ります。
  2. 6週間前 — 価格の設計 — 早割・標準・直前の3段階。閑散期との値差の付け方も、ここで決めます。
  3. 4週間前 — SNS告知と応答体制 — 波の言語での告知(英語の季節の挨拶は二十四節気の記事が役に立ちます)と、問い合わせに当日返す体制。海外からの問い合わせは、時差で深夜に届きます。
  4. 2週間前 — 最終確認 — キャンセル規定、決済(海外カード・電子決済)、到着までの案内。ここで漏れると、波の恩恵がクレームに変わります。

閑散期 — 「実験の窓」として使う

4波の間の谷——例年6月、9月中〜下旬、11月後半、そして2月——は、単なる「暇な時期」ではもったいない場所です。需要が小さい時期の失敗は小さい。つまり閑散期は、新しいプランのテストと価格の実験を、失敗コスト最低で行える窓です。試したい朝食付きプラン、試したい平日割、試しのデーユース。まず谷で小さく試して、波の前に本番仕様に上げる。一年の設計とは、波に合わせて稼ぎ、谷に合わせて試す、この二つのリズムです。

季節対策の反対側

  • 波にだけ合わせる宿の脆弱性 — 4波の月だけで満室の宿は、谷の月の固定費で痩せていきます。谷の戦略(実験、メンテナンス、休暇、地域客)は、波の戦略と同じ重要さです。
  • 桜と紅葉の賭け — 開花・見頃の前後は毎年動きます。「満開予定」を断言した宿は、外れた年に別のものを用意していないと痛い。天候に左右される山には、天候に左右されない中身(温泉、食、体験)を添える。
  • 多言語の用意 — 波の言語は必ずしも英語とは限りません。どの市場の波を取るかで、案内の言語と決済の対応が決まります。全ての言語を一夜で揃える必要はなく、取る波を選ぶ。
  • 受け入れ能力の限界 — 波の月に部屋以上の予約を受けられないのは当然ですが、清掃・朝食・送迎の能力も同時に天井になります。稼働だけ見て受け過ぎると、レビューの質が下がって翌年の波を壊します。
  • 繁忙期の値上げの公平感 — 「人気だから高い」の連続は、この連載で扱った公平性の研究の言う「許されない値上げ」に当たります。値上げするなら、中身(季節の料理、見える景色)の理由と一緒に。
  • 統計は全体像 — 訪日客の総数は、あなたの地域・客層と一致しません。JNTOの数字で読むのは「波の形」であり、自宿の予約記録で読むべきは「自分の波」です。

まず小さく、来年のカレンダーを1枚印刷して、4つの山(3月・7月・10月・12月)に色を付け、谷に別の色を付ける。山には「8週間前」のリマインダーを、谷には「実験する1つ」を書き込む。1枚のカレンダーが、一年分の設計図になります。

この記事はアイデア共有を目的としています。記載の統計は日本政府観光局(JNTO)の推計値の紹介です。予約のリードタイムや春節の時期は年・市場により変わるため、自宿の予約記録との照合をお勧めします。

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