動物の水場に、使ったあとの水を:南アフリカのガロンガ・サファリ・キャンプが、井戸の水をくみ上げない理由
南アフリカの北東部、リンポポ州。クルーガー国立公園の西に広がる「グレーター・マカラリ私設自然保護区」に、「ガロンガ・サファリ・キャンプ」はある。名前は、南アフリカの言葉の一つで「秘密がばれた」という意味だという。メインのキャンプは6つのテントのスイートで、泊まれるのは最大12人。三つのキャンプを合わせても、最大28人だ。
たとえば、夕方のテントのデッキ。客が双眼鏡をのぞくと、キャンプの前の水場に、ゾウの親子が水を飲みにやってくる。その水は、昨日までキャンプのどこかで使われていた水だ。
水場の水は、使ったあとの水
サファリの宿にとって、キャンプの前の水場は、動物を間近に見られる大切な場所だ。ただ、水場の水をどこから持ってくるかは、乾いた土地では小さくない問題になる。
ガロンガの公式サイトによると、キャンプには、洗面やシャワーなどで使った水をろ過する装置がある。ろ過してきれいにした水を、メインキャンプの前の水場に送り直す。そのため、水場のために、地下の井戸から新しい水をくみ上げる必要がなくなった。英国のマーケティング会社のブログは、きれいにした水は動物が飲めるほどで、井戸の水を大量に節約できていると紹介している。
宿で使う水そのものも、細かく見ている。水道のメーターで使った量を記録し、毎週、使用量の報告をまとめて、むだがないかを確かめる。敷地には水の質を保つための浄水の設備もある。
必要なときだけ、お湯をわかす
お湯のわかし方も変えた。客室のお湯は、すべてヒートポンプでわかす。一つの客室には、空気の熱を使う別の方式の給湯器も入れた。公式サイトは、電気の給湯器が一日中電気を使うのに対し、ヒートポンプはお湯が必要なときだけ電気を使う、と説明している。
スタッフの宿舎では、まきを燃やして水を温める昔ながらのボイラーと、電気を使わずにすぐお湯が出るガスの給湯器を使う。まきは、保護区の中の枯れた木から集める。生きた木を切らずに済み、野火の危険も減らせる。
電気は、すべてのキャンプで太陽光の設備でまかなう。天気が悪いときなどは、発電機で補う。水、ガス、軽油、ごみの量は毎週報告にまとめ、太陽光の発電量も毎週記録して、どこを改善できるかを確かめている。
ごみを量り、ペットボトルを置かない
ごみも、出さない工夫と、出たごみを知る工夫の両方をしている。避けられないごみは、紙、缶、ガラス、プラスチック、食べ物に分け、捨てる前に重さを量る。食べ物のくずは別に分けて量ったあと、イボイノシシのえさ場に運ぶ。ごみ袋も、プラスチックの袋からリサイクルできるものに替えた。
飲み水は、敷地の装置で冷たい水と炭酸水をつくり、ガラスの瓶で出す。客には到着したときに金属の水筒を渡し、滞在中に使ってもらう。水筒は記念に持ち帰ってもらい、家に帰ってからも使い捨てのボトルを減らすきっかけにしてもらう。
保護区そのものも、野生動物を守る取り組みを続けている。公式サイトによると、保護区は世界自然保護基金のクロサイの生息地を広げる事業と組み、サイを移す費用や、密猟を防ぐレンジャーや犬の部隊を支えている。保護区では200種を超える鳥が見られ、リカオンやチーター、センザンコウもすむ。先に触れたマーケティング会社のブログによると、宿は地元の学校の子どもたちを招き、昼食とサファリのドライブで野生の動物に触れてもらう取り組みもしている。
動物との距離と、客が植える木
動物の見せ方にも決まりがある。公式サイトによると、ガロンガは責任ある観光として、動物と敬意のある距離を保ち、一つの動物を見る時間を限っている。三つのキャンプで最大28人という少なさも、動物にかける負担を抑えることにつながる。
宿は、二酸化炭素を多く吸収するといわれる南アフリカの多肉植物「スペックボーム」を客に植えてもらう取り組みも用意している。ゾウやサイに食べられないよう、囲いの中に植えるという。公式サイトは、スペックボームが高さ5メートルまで育ち、200年生きることもあると紹介している。客が植えた木は、客が帰ったあとも、長くこの土地に残る。
日本の宿に置き換えると
宿でも、ペットボトルの水を置かずに、給水の設備と水筒に替えることはできる。
InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室の宿で稼働率を70%とすると、年に5,110室泊。1室に2本、1本60円のペットボトルの水を置いていれば、年に約61万円になる。代わりに、各階に冷水と炭酸水の出る給水器を置き、レンタル料と水道代を合わせて年15万円かかるとしても、差し引き約46万円が浮く。空になったボトルを集めて捨てる手間も減る。浮いた分の一部で、売店に水筒を用意してもよい。
動物が水場で飲む水は、もとは宿で使った水だ。水の行き先を一つ変えるだけで、乾いた土地の井戸の水を、くみ上げずに済む。
持ち帰れる知識
- 水の行き先を変えれば、くみ上げる水を減らせる
- 毎週量って報告すると、むだに早く気づける
- お湯は「必要なときだけ」わかす方式に替えられる
- 客に渡す水筒は、帰ってからの行動も変えるきっかけになる
宿で考えられること
- 水道のメーターを毎週読み、使用量を記録してみる
- 客室のペットボトルを、給水器と水筒に替える費用を比べてみる
- ごみを種類ごとに量り、何が多いかを調べてみる
事業・予約への接続
ガロンガは、少人数で動物を静かに見られることを、泊まる理由にしている。キャンプの前の水場は、その体験の中心であり、水の使い方を客に伝える場所にもなっている。
Sources / 参考情報
- Garonga Safari Co.(英文) - 保全とサステナビリティ
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裏付け: 名前の意味(秘密がばれた)、メインのキャンプは最大12人 - Garonga Safari Co.(英文) - 公式サイト
裏付け: 200種を超える鳥、リカオン・チーター・センザンコウ、クルーガー国立公園の西、メインのキャンプの6つのスイートと水場、クロサイの生息地を広げる事業(サイの移動、レンジャーと犬の部隊) - Ethos Marketing(英文) - 持続可能なガロンガ・サファリ(2023年3月30日、マーケティング会社のブログ)
裏付け: きれいにした水は動物が飲めるほど、井戸の水の大量の節約、地元の学校の子どもたちを招く取り組み