220枚の太陽光パネルと、10基の小さな水力タービン:コスタリカのラパ・リオスが、森の中で電気と水とごみを回す方法
中米コスタリカの南、太平洋に突き出たオサ半島。熱帯雨林が海と出会う場所に、1993年に開業したエコロッジ「ラパ・リオス」がある。名前の意味は「コンゴウインコの川」。ロッジは1,000エーカーの私設の自然保護区の中にあり、隣には10万エーカーのコルコバード国立公園が広がる。
人里から離れた森の中で、17棟の客室とスタッフの宿舎を動かす電気と水を、どうまかなうのか。ごみはどこへ行くのか。ラパ・リオスは、その答えを、ロッジの裏側の仕組みで示している。
たとえば、昼下がり。客室のシャワーから、温かいお湯が出る。そのお湯を温める電気の多くは、太陽の光と、水の流れからつくられている。
太陽と水の力で、電気をつくる
ラパ・リオスは、220枚の太陽光パネルと、10基の小さな水力発電の装置「ナノ水力タービン」からなる仕組みを自分たちで設計し、取り付けた。公式サイトによると、この仕組みが、ロッジに必要なエネルギーの大部分をまかなっている。17棟のスイートとヴィラ、そしてスタッフの宿舎のお湯も、この電気で温める。
曇りの日には、ためておいた余分な電気を蓄電池から使うか、省エネ型の補助の湯沸かし器を使う。
電気と水の使い方には、管理の計画がある。計画を続けるために、技術の更新とデータの分析に、定期的にお金をかけている。客とスタッフにも、エネルギーを上手に使い、減らす工夫を呼びかけている。洗濯機と乾燥機は省エネ型を選び、ロッジでつくった電気を無駄なく使う。
水を量り、汚さずに返す
水は、量ることから始める。ラパ・リオスは、場所ごとに水のメーターを取り付け、ロッジの水の使い方を分析して、無駄を防ぐ手立てをとっている。
ロッジから出る排水は、すべて最新の浄化槽に流れる。浴室には自然に分解されるシャンプー、コンディショナー、シャワージェルを置き、洗濯もすべて自然に分解される石けんで行う。
プールは、塩素ではなく、塩と安定剤できれいにしている。公式サイトは、塩を使う方法は、環境にも肌にもずっとやさしいと説明している。
生ごみは、堆肥と豚へ
ごみの管理の仕組みは、ロッジのすべての部署と客室で行われている。ごみは、生ごみなどの有機物と、それ以外に分けられる。
分けたごみの行き先は三つある。ロッジの堆肥場で堆肥にするか、ロッジで飼っている豚のえさにするか、地元のリサイクルセンター「ラ・パルマ」に送るか、だ。使い捨てのプラスチックはできるだけ避け、運営の中でも客にも、繰り返し使える容器を勧めている。
ロッジの裏側が、子どもたちの教室になる
ラパ・リオスは、熱帯雨林を守ることと並んで、教育を、持続可能であるための最も大切な柱だと考えている。
ロッジの「裏側」の設備は、地元の子どもたちの教室にもなる。公式サイトによると、生徒たちはここで、きれいなエネルギーの選び方、ごみの管理、責任ある消費について学ぶ。ロッジは、カルボネラとピロの学校などに、環境の教育のための資金や道具も提供している。
客も、この仕組みに参加する。ラパ・リオスは、水を大切に使うこと、電気を節約すること、ごみを正しく捨てることを客にお願いしている。公式サイトは、こうした取り組みを通じて、持続可能な暮らしはすぐに実現できるものだと、スタッフと客に示したいと書いている。ロッジでは、「持続可能性の実践」と名づけた体験も用意されている。案内するガイドはコスタリカの出身で、地元の文化や習わしについて、興味深い話を聞かせてくれる。
ロッジには、有機の畑もある。客がコスタリカの農業を学び、この地域でよく育つ作物を味わう場所だ。公式サイトは、この畑だけではロッジの厨房やスタッフの食堂をまかなうほどは収穫できないと、正直に書いている。それでも、作物を育てながら、学びの場をつくることを目指している。
近くのマタパロの浜は、きれいな海辺に与えられる「バンデラ・アスル(青い旗)」の認証を受けている。その委員会を運営しているのは、ラパ・リオスのスタッフだ。
ラパ・リオスの取り組みは、外からも認められている。2018年には、コスタリカ観光局の持続可能な観光の認証を、2度目に受けた。
日本の宿に置き換えると
ラパ・リオスのように、水やエネルギーを「量る」ことから始め、ごみの行き先を地域の中で考えることは、日本の宿でもできる。宿の裏側を、地域の子どもたちの学びの場にすることもできる。まずは1か月、毎日同じ時間にメーターを読むだけでも、水や電気の使い方の癖が見えてくる。
InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室の宿で稼働率を70%とすると、年に5,110室泊。1室泊あたり250リットルの水を使うとすると、年に1,277.5立方メートルになる。場所ごとにメーターを付けて無駄を見つけ、1割の水を減らせれば、年に127.75立方メートル。上下水道の料金を1立方メートル300円とすると、年に3万8,325円の節約になる。
持ち帰れる知識
- 太陽と水の力を組み合わせると、森の中でも電気をつくれる
- 水やエネルギーは、場所ごとに量ると無駄が見える
- 生ごみは、堆肥や家畜のえさとして地域の中で生かせる
- 宿の裏側の仕組みも、子どもや客の学びの材料になる
宿で考えられること
- 宿の水と電気の使用量を、場所ごとに量れないか考えてみる
- 生ごみを使ってくれる農家や畜産の家がないか調べてみる
- 地元の学校に、宿の裏側を見学してもらえないか相談してみる
事業・予約への接続
ラパ・リオスは、電気や水やごみの仕組みを隠さず、客や子どもたちに見せている。宿の裏側の工夫も、伝え方次第で宿の魅力になる。
Sources / 参考情報
- Lapa Rios Lodge(英文) - サステナビリティ
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裏付け: コンゴウインコの川、1993年開業