GOAL 12 · TARGET 12.5 水・衛生・循環 3分 / 2023文字 島で100%循環させる #075

水はすべて再生し、食べ残しは土に返す:パナマの島のリゾート、イスラス・セカスが、海の真ん中で資源を回す方法

中米パナマの太平洋側、チリキ湾。本土の海岸から20マイル(約32キロ)沖に、14の火山島からなる「イスラス・セカス」諸島がある。このうち13の島は手つかずのまま残され、宿泊施設があるのは一つの島だけだ。首都パナマシティからは、専用の小型機でおよそ1時間で着く。

まわりの海は、商業的な漁が禁じられた守られた海域で、さまざまな生き物であふれている。公式サイトによると、ここでは750種の魚、80種の鳥、128種の植物が見られる。船ですぐの場所には、ユネスコの世界遺産に登録されたコイバ国立公園がある。

たとえば、夕方。客がシャワーを浴びる。その水は、やがてきれいにされ、島の木々を潤す水として、もう一度使われる。

決めるたびに、環境への影響を考える

イスラス・セカスは、環境への影響をできるだけ小さくすることに、深く力を注いでいる。公式サイトによると、運営や建築からもてなしまで、環境への影響を考えずに決めることは一つもない。地球上でも特に豊かな海に囲まれているからこそ、影響の小さいやり方が、チリキ湾の生き物を守るために欠かせないという。

島は本土から遠く離れている。公式サイトは、島に入ってくるものと、島から出ていくもののすべてに細心の注意を払い、ごみを減らし、循環させる方法を優先していると書いている。

水は、すべて再生する

水は、島では貴重で限られた資源だ。イスラス・セカスでは、使った水をすべて回収し、処理して、木々や庭の水やりに使い直している。地下水への影響を最小限にするためだ。

飲み水は3段階で処理し、3か月ごとに検査している。新しく導入したガラスのボトルに詰める設備によって、島の外から運び込むボトル入りの水は、すべてなくなった。

使い捨てのプラスチックも、島からなくそうとしている。使い捨てのペットボトルはすべて、繰り返し使える水のボトルに替えた。ボトルは、到着した客一人ひとりに手渡される。

食べ残しは、土に返す

食べ物のごみも、島の中で循環させている。イスラス・セカスでは、食べ残しをすべて乾燥させ、それを堆肥にして肥料に変えている。公式サイトは、これを、ごみを出さない循環の仕組みだと説明している。

新しく、エネルギーを使わない「バイオダイジェスター(生ごみを分解する装置)」も導入し、堆肥づくりを支えている。手間とエネルギーのかかる処理に頼る部分を減らすためだ。島の中に有機の畑をつくる計画も進んでいる。再生した排水で水をやり、しっかりした堆肥づくりと組み合わせる。

ほかのごみも、細かく管理する。運営で出る固いごみは、すべて分けて、まとめて、リサイクルに回す。段ボールやガラス、アルミは島で処理してから本土へ運び、責任を持ってリサイクルしている。できるだけ多くを、埋め立てに回さないためだ。

太陽の電気で、島を動かす

島のエネルギーは、主に太陽の光でまかなっている。長さ300メートルの列に並ぶ1,500枚の太陽光パネルは、パナマで最も大きな、送電網につながらない太陽光発電の設備だという。余った電気は蓄電池にため、夜や日の光が弱いときに使う。

激しい天候や緊急のときに備えて、予備の発電機も用意している。発電機を使った分は、持続可能な観光を進める国際的な団体と組み、確かな気候の取り組みに投資して埋め合わせている。

客室の建物も、最初の図面の段階から環境に配慮した。認証を受けた持続可能な木材を使い、できるだけ土地を傷つけない建て方で、涼しい風と自然の日陰を生かすように設計した。建物は杭の上に建てられ、地面の湿気から離し、床下に風が通るようにしている。

島の植物も守っている。主な島の植物をできるだけ傷つけずに建てたうえで、諸島全体で外から入った植物を取り除き、何千本もの在来の植物を植え直している。

量って、見直す

イスラス・セカスは、エネルギーの使用量、排出量、水、ごみ、リサイクルまで、環境への影響のすべてを専用の管理の仕組みで記録している。そのデータをもとに、運営の判断をしている。

2025年には、これまでで最もくわしい環境への影響の評価を終えた。そして、リゾートと船と飛行機で使う燃料から出る排出のすべてを、埋め合わせの対象に広げた。

日本の宿に置き換えると

イスラス・セカスのように、「宿に入ってくるものと、出ていくもの」に目を向けることは、日本の宿でもできる。離島や山あいの宿ほど、ものを運ぶ費用と手間は大きい。運び込む量を減らすことが、そのまま費用とごみの削減につながる。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室の宿で稼働率を70%とすると、年に5,110室泊。1室泊あたり2本の水のペットボトルを置いているとすると、年に1万220本になる。これを繰り返し使えるボトルと給水所に替え、1本の仕入れを50円とすると、年に51万1,000円分のボトルの購入と、その分のごみがなくなる。

持ち帰れる知識

  • 離れた場所ほど、入ってくるものと出ていくものの管理が大切になる
  • 使った水は、処理すれば庭や木の水やりに使える
  • 食べ残しは、乾燥させて堆肥にすれば土に返せる
  • 量って記録することが、次の判断の土台になる

宿で考えられること

  • 宿に運び込んでいるものと、運び出しているごみの量を書き出してみる
  • 客室のペットボトルを、繰り返し使えるボトルと給水所に替えられないか考えてみる
  • 生ごみを堆肥にできる方法や協力先を探してみる

事業・予約への接続

イスラス・セカスは、海の豊かさと、それを守るための島の仕組みを、ひとつの価値として伝えている。守られた海で過ごす時間そのものが、この島を選ぶ理由になっている。

Sources / 参考情報

  • Islas Secas(英文) - サステナビリティ
    裏付け: 環境への影響を考えずに決めることはない、チリキ湾の生き物を守る、1,500枚の太陽光パネルと300メートルの列、パナマ最大の送電網につながらない太陽光、蓄電池、予備の発電機と国際団体との埋め合わせ、水はすべて回収・処理し水やりへ、飲み水は3段階の処理と3か月ごとの検査、ガラスのボトルに詰める設備で運び込むボトル入りの水をなくした、使い捨てのペットボトルを繰り返し使えるボトルに替え到着時に渡す、食べ残しをすべて乾燥させ堆肥と肥料に、ごみを出さない循環、有機の畑の計画、エネルギーを使わない生ごみの分解装置、20マイル沖、入ってくるものと出ていくものの管理、固いごみを分けて本土でリサイクル、認証を受けた木材と土地を傷つけない建て方、専用の仕組みでエネルギー・排出・水・ごみを記録、2025年の評価と燃料の排出すべてを埋め合わせ
  • Islas Secas(英文) - 島々
    裏付け: 14の火山島、13の島は手つかず、750種の魚・80種の鳥・128種の植物、コイバ国立公園、商業的な漁が禁じられた海域、主な島の植物をできるだけ傷つけない建設、外来の植物を取り除き何千本もの在来の植物を植え直す
  • Islas Secas(英文) - アクセス
    裏付け: 太平洋岸から20マイル沖、パナマシティから専用機で1時間、コイバ国立公園は世界遺産
  • Islas Secas(英文) - 持続可能な設計:イスラス・セカスのカシータ
    裏付け: 風を生かす配置、杭の上に建てて地面の湿気から離し床下に風を通す

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