GOAL 12 · TARGET 12.5 廃棄物・循環経済 3分 / 2001文字 浜でボトルを捨てずに詰め替える #077

使い捨てのプラスチックは、もうない:ベリーズの浜辺のタートル・インが、ごみを減らして海を守る方法

中米ベリーズの南の海岸から、細長い半島が海に突き出している。プラセンシア半島だ。東にはカリブ海と、ユネスコの世界遺産に登録されたベリーズのサンゴ礁が広がり、西には穏やかなプラセンシアの潟がある。この半島の幅いっぱいに建つのが、浜辺の宿「タートル・イン」だ。

2001年、映画監督のフランシス・フォード・コッポラと妻のエレノアは、この浜辺を見つけた。今、砂浜の上に28棟の建物が並ぶ。かやぶきの屋根で、風が通り抜けるつくりになっていて、家具は手彫りのバリの木でできている。半島の先には、もともと漁村だったプラセンシアの村がある。

たとえば、朝。客がステンレスの水筒を手に、敷地の給水所に立ち寄る。水筒に水を満たして、海へ向かう。

宿の運営から、ごみを減らす

公式サイトによると、コッポラ夫妻は、自分たちをタートル・インが建つ海岸を守る者だと考えてきた。それは、宿の運営、サンゴ礁の保護、そしてプラセンシアの村の支援という三つの形で表れている。

宿の運営では、ごみを減らす工夫が重ねられている。使い捨てのプラスチックは、もうない。客は、繰り返し使えるステンレスの水筒を持ち、敷地のあちこちにあるろ過した水の給水所で水を入れる。水筒が1本売れるごとに1ドルが、自然保護の団体に寄付される。持ち帰り用の容器はトウモロコシからつくられたもので、ストローは金属か竹だ。

浴室の石けんやシャンプーは、地元でつくられた有機のもので、使い切るたびに捨てるのではなく、詰め替えて使っている。

使った生活の水は、ろ過して庭の水やりに使い直す。厨房の生ごみと使い終わった調理用の油は、堆肥と燃料に生まれ変わる。木材は、伐採に合わせて植林をする業者から仕入れ、家具は宿で自分たちでつくっている。

これらの多くは、同じコッポラ家が営む森のロッジ、ブランカノー・ロッジとも共通する取り組みだ。

海の風と、地元の素材で建てる

建物は低く、かやぶき、硬い木、竹、そして地域のタイルでつくられている。そのまわりには、水をあまり必要としない、この土地にもともとある植物が植えられている。

プールは、塩素ではなく塩水できれいにしている。部屋を冷やすのは、普通の扇風機の3分の1の電力で動く省エネ型の天井の扇風機で、照明の95%はLEDだ。冷房があるのは、建物の3分の1だけで、すべての部屋に扇風機がある。

宿の有機の庭は、厨房に野菜やハーブを届けている。客は、庭師の案内で畑を歩き、収穫を手伝ったり、ニワトリにえさをやったりすることもできる。庭の中の茶屋では、マヤの人々のハーブのお茶が出される。魚は、カリブ海からその日に届く。

外来の魚を、食べて減らす

客の多くは、ベリーズのサンゴ礁を目当てに訪れる。そのサンゴ礁にとって最も大きな脅威の一つが、外から入ってきた魚「ミノカサゴ」だ。公式サイトによると、ミノカサゴにはここで天敵がおらず、もともとサンゴ礁に暮らす魚を次々に食べてしまう。

タートル・インでは、客が宿のガイドと一緒に潜り、サンゴ礁のミノカサゴを捕る。そして、捕ったミノカサゴを料理して食べる。潜る前よりもサンゴ礁を健やかにして帰ってくる体験だ。

宿は、大きな魚やウミガメ、サンゴ礁を研究する団体「マーアライアンス」を支えている。この団体の研究は、24年前にベリーズで始まった。けがをした野生動物を治療する施設にも、毎年寄付している。

毎年、地球の日の前には、働く人たちがプラセンシアの浜辺のごみ拾いを行い、集めたごみの量を量って記録している。この習慣は、15年以上続いている。

村とともに

タートル・インは、プラセンシアの村も支えている。地元の学生の授業料や教科書を、卒業まで支える奨学金を出している。客は、ノートからパソコンまで、学校で使う物を持ってきて、自分で学校に届けることもできる。宿は毎月、村の診療所の薬や設備のために寄付をし、障害のある子どもたちを支える施設も応援している。

客の宿泊料金には、ベリーズの地域のための基金として、1泊ごとの料金の5%が加えられる。経費を除いた全額が、毎年、地元の団体に寄付される。

日本の宿に置き換えると

タートル・インのように、使い捨ての物を一つずつ「繰り返し使える物」に替えていくことは、日本の宿でもできる。水筒と給水所、詰め替えの浴室用品、トウモロコシなどからつくった容器。一つひとつは小さくても、積み重なれば大きな差になる。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室の宿で稼働率を70%とすると、年に5,110室泊。1室泊ごとに、シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、ローションの小分けのボトルを4本置いているとすると、年に2万440本になる。これを詰め替えの容器に替え、1本の仕入れを20円とすると、年に40万8,800円分の購入と、その分のごみがなくなる。

持ち帰れる知識

  • 使い捨ての物は、一つずつ繰り返し使える物に替えられる
  • 詰め替えにすれば、小分けの容器のごみはなくなる
  • 外来の生き物を「食べて減らす」ことも、海を守る方法になる
  • ごみ拾いの量を記録し続けると、取り組みの歴史になる

宿で考えられること

  • 客室で使い捨てにしている物を、すべて書き出してみる
  • 浴室用品を詰め替えの容器に替えられないか調べてみる
  • 地域の海や川のごみ拾いに、客と一緒に参加できないか考えてみる

事業・予約への接続

タートル・インは、使い捨てのない滞在と、サンゴ礁を守る体験を、浜辺の休日の一部として伝えている。客は、楽しむことがそのまま海を守ることにつながると知って、宿を選ぶ。

Sources / 参考情報

  • The Coppola Hideaways(英文) - タートル・イン
    裏付け: 2001年にコッポラ夫妻がこの浜辺を見つけた、砂浜の上の28棟、かやぶきで風が通る、手彫りのバリの木の家具、漁村プラセンシア
  • The Coppola Hideaways(英文) - アクセス
    裏付け: ベリーズ南部の細長いプラセンシア半島、東にカリブ海と世界遺産のサンゴ礁、西にプラセンシアの潟、もとは漁村
  • The Coppola Hideaways(英文) - サービスと設備
    裏付け: 半島の幅いっぱいに建つ、塩水のプール、給水所、ミノカサゴを減らす潜水、マーアライアンス、学校・奨学金・浜辺のごみ拾い
  • The Coppola Hideaways(英文) - サステナビリティと保全
    裏付け: 海岸を守る者、三つの形、低い建物とかやぶき・硬い木・竹・地域のタイル、水をあまり使わない在来の植物、塩水のプール、3分の1の電力の扇風機、照明の95%がLED、使い捨てのプラスチックはない、ステンレスの水筒と給水所、1本ごとに1ドルを自然保護団体へ、トウモロコシ由来の容器と金属か竹のストロー、生活の水をろ過して水やり、生ごみと油を堆肥と燃料に、有機の庭と収穫・ニワトリ、植林する業者の木材と自前の家具、地元の有機の浴室用品を詰め替え、ミノカサゴは天敵がなく在来の魚を食べる、客がガイドと潜って捕り食べる、24年前にベリーズで始まったマーアライアンスの研究、野生動物の治療施設への寄付、15年以上続く浜辺のごみ拾いと計量、奨学金、学校の物を届ける、診療所への毎月の寄付、障害のある子どもを支える施設、ベリーズの地域のための基金
  • The Coppola Hideaways(英文) - 料理
    裏付け: カリブ海から届く魚、庭のハーブと野菜、庭の茶屋のマヤのハーブのお茶
  • The Coppola Hideaways(英文) - よくある質問
    裏付け: 冷房は建物の3分の1、すべての部屋に扇風機、1泊ごとの料金に5%の地域の基金を加え経費を除いた全額を寄付

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