GOAL 15 · TARGET 15.5 自然・生物多様性・保全 3分 / 2052文字 漁村の形でカメを守って放流する #084

3万5,000匹を超える子ガメを海へ:ベトナム・コンダオ島のシックスセンシズが、国立公園と一緒にウミガメを守る方法

ベトナム南部の沖合に、小さな島々が連なっている。コンダオ諸島だ。ホーチミン市から飛行機で45分。島の多くは森におおわれた山で、群島の大部分は保護されている。海の一部は、湿地を守る国際的な条約「ラムサール条約」にも登録されている。

島のダットドック浜に、「シックスセンシズ・コンダオ」は建っている。2019年には、ナショナル・ジオグラフィックの「世界最高のエコロッジ」の一つに選ばれた。2キロの金色の砂浜に面し、背後には緑の森が迫る。宿は、保護されたコンダオ国立公園の中にある。

たとえば、夏の夜。浜の見回りをしていた宿の人が、砂の上に大きなカメの足跡を見つける。足跡をたどると、母ガメが静かに卵を産んでいた。

漁村の形をした50棟

公式サイトによると、宿は、ベトナムの漁村に似せてつくられている。今の時代の建物でありながら、昔ながらの漁村の雰囲気を受け継いでいる。50棟のヴィラと邸宅には、使い直したチークの木材などが使われ、どの棟にも、専用のプールと外の浴室があり、木の質感を生かした仕上げになっている。

公式の資料によると、風の通り道を考えた設計で、冷房を使う必要を減らしている。島の風を部屋の中に取り込むためだ。

島の季節は、それぞれに表情が違う。1〜2月の涼しい乾季には、熱帯の森を歩き、島の歴史の跡を訪ねる。3〜5月は、海の見通しが平均20〜30メートルになり、サンゴ礁に潜るのに向いている。10〜12月には、隣の国立公園に渡り鳥がやってくる。

浜を、カメのために整える

この浜には、絶滅のおそれのあるアオウミガメが卵を産みにやってくる。公式サイトによると、卵が産まれるのは4月から10月で、子ガメがかえるのは5月から12月だ。

宿は、コンダオ国立公園と一緒に、浜をアオウミガメが卵を産みやすいように整えてきた。生まれた子ガメが命を落とす割合を減らすためだ。卵を育てる施設は「レッツ・ゲット・クラッキング」と名づけられ、毎年、何千匹もの子ガメがここで生まれている。

宿と国立公園は、浜の巣を見守り、卵を守るための囲いのある施設に移して、密猟などの危険から守る。2018年から、3万5,000匹を超える子ガメが海に放たれた。2025年だけで、3,818匹がかえり、自然に帰った。浜をきれいに保ち、卵を守ることが、毎年カメが戻ってくる浜を守ることにつながっている。

客は、時期が合えば、子ガメを海に放つ活動に参加できる。ただし、国立公園が定めた決まりに従って行う。運がよければ、宿の浜で母ガメが卵を産む姿を見られることもある。

宿は、働く人や地域の人に向けて、ウミガメを守るための研修も行っている。将来は、より多くの海の研究者に、コンダオのウミガメの研究に加わってもらうことを目指している。

島のごみと、水

宿の公式サイトによると、2025年には、国立公園の浜で1,763キロのごみを集めた。自然保護団体のWWFと地元の若者の団体と組み、島の埋め立て地に送るごみを減らす活動も行っている。2025年には、305キロのプラスチックのごみを埋め立てずに済ませた。

客への水は、繰り返し使うガラスのびんで出している。これで2025年には、9万7,656本のペットボトルを使わずに済んだ。

宿は、3,000平方メートルの畑や、ニワトリ小屋、キノコの小屋を持ち、レストランやバーに食材を届けている。2025年には、畑で5,641.70キロのハーブと野菜がとれた。畑では、昔ながらの農法を取り入れている。宿の中の「アース・ラボ」では、身近な材料を役に立つ新しい物に作り替える教室も開かれる。

地域の子どもと、きれいな水

宿は、地域の6歳から14歳の子どもたちに、週2回、英語の授業を開いている。2025年には、合わせて84時間の授業を行った。言葉の力が、子どもたちの将来の可能性を広げると考えているからだ。授業は、学びの場であると同時に、文化を交わし、人がつながる場にもなっている。

2024年からは、「すべての人に水を」という取り組みも始めた。これまでに12台の浄水の機械を置き、地域の3,879人がきれいな水を使えるようになった。あわせて、子どもたちに勉強の道具を届け、宿の健康と環境の取り組みも紹介している。

日本の宿に置き換えると

日本でも、ウミガメが卵を産みにくる浜は少なくない。宿だけでなく、地域の保護団体や行政と組むことで、浜を守る取り組みは長く続けられる。生き物に関わる体験は、やり方を誤ると、守るはずの生き物を傷つけかねない。コンダオが国立公園の決まりに従っているように、専門家の助言を受けることが欠かせない。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室の宿で稼働率を70%とすると、年に5,110室泊。1室泊ごとに200円を、地域の浜の保全や子どもの学びの活動にあてるとすると、年に102万2,000円になる。宿が、その使い道と成果を客に伝え続ければ、客も地域を支える一員になる。

持ち帰れる知識

  • 産卵の浜を整え、卵を守る施設に移すことで、子ガメを守れる
  • 客の参加は、保護区の決まりに従って行うことが大切
  • 風の通り道を考えた設計は、冷房を使う必要を減らす
  • 地域の水や学びを支えることも、宿の役割になる

宿で考えられること

  • 宿の近くの浜や川で、守るべき生き物を調べてみる
  • 地域の保護団体や役所に、一緒にできることを聞いてみる
  • 地域の子どもたちと宿がつながる機会を考えてみる

事業・予約への接続

シックスセンシズ・コンダオは、子ガメを海に放つ体験と、島を支える取り組みを、滞在の一部として伝えている。客は、泊まることがウミガメと島の暮らしを守ることにつながると知って、宿を選ぶ。

Sources / 参考情報

  • Six Senses(英文) - シックスセンシズ・コンダオのサステナビリティ
    裏付け: レッツ・ゲット・クラッキング、国立公園と組み2018年から3万5,000匹超、2025年に3,818匹、浜を産卵に合わせて整え子ガメの死亡率を下げる、密猟などから守る囲いのある施設、国立公園の決まりに従う子ガメの放流、宿の浜で母ガメの産卵、働く人と地域への研修、海の研究者を増やす、国立公園の浜で1,763キロ、WWFと若者の団体の2Rステーションで305キロ、ガラスびんで9万7,656本、3,000平方メートルの畑・ニワトリ小屋・キノコ小屋、5,641.70キロ、昔ながらの農法、アース・ラボの作り替えの教室、2019年ナショナル・ジオグラフィックの世界最高のエコロッジ、6〜14歳に週2回の英語で84時間・文化を交わしつながる場、2024年から12台の浄水の機械で3,879人、勉強の道具と健康と環境の取り組みの紹介
  • Six Senses(英文) - シックスセンシズ・コンダオ
    裏付け: 保護されたコンダオ国立公園の中、昔ながらの漁村の雰囲気、ホーチミン市から45分、ダットドック浜、ベトナムの漁村に似せた50棟、使い直したチークの木材、群島の大部分が保護されラムサール条約に登録された海、絶滅のおそれのあるアオウミガメ
  • Six Senses(英文) - ファクトシート
    裏付け: 2キロの金色の砂浜と緑の森、50棟のヴィラにプールと外の浴室と木の仕上げ、風の通り道の設計で冷房の必要を減らす
  • Six Senses(英文) - コンダオを訪ねる時期
    裏付け: 1〜2月は涼しい乾季で森歩きと歴史の跡、3〜5月は海の見通しが平均20〜30メートルでサンゴ礁、10〜12月は国立公園に渡り鳥、卵が産まれるのは4月から10月・かえるのは5月から12月、卵を育てる施設レッツ・ゲット・クラッキングで毎年何千匹も生まれる

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