GOAL 12 · TARGET 12.5 廃棄物・循環経済 3分 / 2025文字 小島で緑の屋根をかけてごみを資源に変える #090

緑の屋根の40棟で、小さな島の森を残す:カンボジアのシックスセンシズ・クラベイ・アイランドが、ごみを資源に変える方法

カンボジアの南の海岸。本土の専用の船着き場から、船で15分ほど渡った先に、クラベイ島がある。広さ30エーカー(12ヘクタール)、東京ドーム2個半ほどの小さな島だ。本土の船着き場までは、シアヌークビルの空港から車で10分ほど。首都プノンペンからは、車で2時間ほどで着く。島は、本土のリアム国立公園の沖にある。

この島に建つのが、リゾート「シックスセンシズ・クラベイ・アイランド」だ。宿の資料によると、島には豊かな熱帯の森と岩の海岸があり、海岸沿いには板張りの遊歩道がめぐる。部屋は、自然のままの緑に囲まれた40棟のヴィラで、どの棟にも専用のプールがある。ロビーやバーの建物は、昔ながらの漁師の家をかたどってつくられた。島のいちばん高いところには、カンボジアの聖なる川クバール・スピアンに着想を得た、2,000平方メートルのスパがある。

たとえば、朝。島の高いところから見下ろすと、ヴィラの屋根が森の緑にまぎれて、ほとんど見えない。屋根の上にも、草や植物が育っているからだ。

屋根も、島の緑の一部にする

公式サイトによると、ヴィラの屋根は、植物が育つ「緑の屋根」になっている。屋根に植物を育てると、上から見た時に建物が森に溶け込む。一般に、屋根に土と植物があれば、強い日ざしをやわらげ、部屋の中を涼しく保つ助けになる。降った雨も、屋根の植物と土がいったん受け止める。

小さな島では、建物を建てるほど、森は少なくなる。屋根を緑にすることは、建物で失った緑の一部を、屋根の上で取り戻すことでもある。

島の生き物を調べる

宿は、島にどんな生き物がすんでいるかを、専門の団体と一緒に調べてきた。公式サイトによると、生き物の調査では、絶滅のおそれがある「インドシナシルバールトン」という、銀色がかった毛を持つ木の葉を食べるサルや、51種の鳥が確認された。公式サイトは島を「鳥とチョウの楽園」と紹介している。

海の中も調べた。島のまわりの海では、30種を超える魚と、12種類の無脊椎動物、11属のサンゴが確認された。何がいるかを知ることは、守るための最初の一歩だ。どこに、どんな生き物がすんでいるかがわかれば、道や建物の手入れをする時に、避けるべき場所もわかる。調べた結果は、客に島の自然を案内する時の話にもなる。

ごみを、資源に変える

島の宿では、ごみの行き先が大きな問題になる。宿には、「アースラボ」と呼ばれる場所があり、ここでごみをつくり変えて、新しいものに生まれ変わらせている。公式サイトによると、2025年には、1万5,719キロのごみを、埋め立てに回さずにすんだ。

水も、自分たちで用意している。宿は、炭酸の入らない水と炭酸の入った水を自分たちでつくり、宿の飲み水のびんで客に出している。客室にペットボトルを並べる必要がない。島に運び込むものが減れば、島から運び出すごみも減る。

食べ物は、本土にある3,700平方メートルの有機の畑で育てている。島の外の畑で育てた野菜が、島の食卓に届く。

村の学校と、一緒に

宿は、本土の村とのつながりも大切にしている。子どもを支える団体「オールキッズ」や、リアムの小学校、オン村の村長と協力して、地域の暮らしを支えてきた。オン村は、#085で紹介したアリラ・ヴィラズ・コー・ルッセイが、浜のごみ拾いを行った村でもある。同じ海辺の村を、近くの島の宿がそれぞれ支えている。

公式サイトによると、学校の先生に30時間のデジタルの研修を行った。宿の取り組みで学びの環境がよくなった人は、1,485人にのぼる。学校には、太陽の光で動くポンプのついた5,000リットルの水のタンクを置いた。カンボジア北部のプレアビヒア州では、3つのトイレの設備をつくり、1,000人が使えるようになった。

ごみの取り組みは、村にも広がっている。使い終わった電池を集める箱を置き、489人に届けた。地域でのごみ拾いでは1,170キロのごみを集め、1,975人がさまざまな活動に参加した。宿のごみの取り組みが、村の人と一緒に、村の中にも広がっている。

日本の宿に置き換えると

クラベイ島の工夫は、建物の屋根まで緑にし、ごみを島の中で資源に変える場所をつくったことにある。日本の宿でも、平らな屋根や駐車場の屋根に植物を育てたり、使い終わった電池や瓶を集める場所を、地域の人にも開いたりすることができる。宿の敷地にどんな生き物がいるかを、地元の大学や自然の会に頼んで、一緒に調べることもできる。調べた結果を館内に掲示すれば、客に宿のまわりの自然を伝える材料になる。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室・稼働率70%の宿を考える。年に5,110室泊で、1室1泊あたり0.3キロの瓶や缶、プラスチックなどの資源ごみが出るとすると、年に1,533キロになる。これをきちんと分けて資源に戻せば、その分だけ燃やすごみや埋めるごみを減らせる。

持ち帰れる知識

  • 屋根を緑にすると、建物を森に溶け込ませることができる
  • どんな生き物がいるかを調べることが、守るための第一歩になる
  • ごみをつくり変える場所を宿の中に持つことができる
  • 宿のごみの取り組みを、地域の村に広げることができる

宿で考えられること

  • 宿の屋根や壁に、植物を育てられる場所がないか探してみる
  • 宿の敷地に来る鳥や虫を、1年かけて記録してみる
  • 使い終わった電池や瓶を、地域の人も持ち込める回収箱を置けないか考える

事業・予約への接続

シックスセンシズ・クラベイ・アイランドは、緑に溶け込む島の滞在と、ごみを資源に変える取り組みを、宿の魅力として伝えている。客は、小さな島の森と村を守る宿だと知って、宿を選ぶ。

Sources / 参考情報

  • Six Senses(英文) - クラベイ・アイランドの持続可能性
    裏付け: 本土の3,700平方メートルの有機の畑、炭酸なしと炭酸入りの水を自分たちでつくる、アースラボでごみをつくり変え2025年に1万5,719キロを埋め立てずに、生き物の調査で絶滅のおそれのあるインドシナシルバールトンと51種の鳥、海の調査で30種を超える魚・12種類の無脊椎動物・11属のサンゴ、子どもを支える団体・子どもを支える団体オールキッズ・リアムの小学校・オン村の村長と協力、先生に30時間のデジタルの研修と1,485人、5,000リットルのタンクと太陽のポンプ、プレアビヒア州で3つのトイレの設備と1,000人、電池を集める箱と489人、1,170キロのごみ、1,975人の参加
  • Six Senses(英文) - シックスセンシズ・クラベイ・アイランド
    裏付け: 緑の屋根の独立したプール付きヴィラ40棟、リアム国立公園の沖、鳥とチョウの楽園
  • Six Senses(英文) - クラベイ・アイランドの立地
    裏付け: 30エーカー(12ヘクタール)の島、自然のままの緑に囲まれた40棟のプール付きヴィラ、本土から15分、2,000平方メートルのスパ
  • Six Senses(英文) - クラベイ・アイランド(宿の資料、PDF)
    裏付け: 30エーカーの島に40棟のプール付きヴィラ、熱帯の森と岩の海岸と板張りの遊歩道、ロビーやバーは漁師の家をかたどる、本土の専用の船着き場から船で15分、空港から船着き場まで車で10分、プノンペンから車で2時間、島の高いところのクバール・スピアンに着想を得たスパ(2,000平方メートルは立地のページ)、宿の飲み水のびん

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