GOAL 12 · TARGET 12.5 水・衛生・循環 3分 / 2004文字 0.5%基金で再生して水を削減する #100

売上の0.5%を、海と村に回す:トルコのシックスセンシズ・カプランカヤが、海から10トンのごみを引き上げた方法

トルコの南西部、エーゲ海に面したボドルム。その北の海岸に、リゾート「シックスセンシズ・カプランカヤ」がある。宿の資料によると、常緑の木や野生のオリーブ、イトスギに覆われたなだらかな丘に、トルコ石のような色の海の波が寄せる。近くには、古代の世界の七不思議のうち2つの跡がある。宿からは、古代ギリシャの都市ミレトスや、エフェソスのアルテミス神殿の跡などを訪ねる旅に出かけられ、船でギリシャの島々に渡ることもできる。近くのミラス空港からは、ヘリコプターで10分、天気が悪い時は車で50分ほどだ。

宿の資料によると、部屋は、6つのスイートを含む141室。本館に75室、尾根に建つテラスつきの部屋が66室あり、どの部屋からもエーゲ海が見える。部屋は、まわりの景色になじむよう、地元の自然の材料でつくられた。曲がりくねった小道で結ばれ、宿全体が小さな地中海の村のようだ。

たとえば、朝の浜。ダイバーたちが、海から引き上げた古いロープを、船の上でほどいている。

売上の0.5%を、地域のために

公式サイトによると、宿は、売上の0.5%を「再生のための基金」に回している。この基金のお金は、環境や教育、地域の取り組みに使われる。売上の決まった割合を回す仕組みにしておけば、宿が忙しい年ほど、地域に回るお金も増える。

宿は、持続可能な観光の国際的な基準を定める団体「GSTC」の認証を受けている。エネルギーの使い方を管理し、改善していくための国際規格「ISO 50001」も取り入れた。

海から、10トンのごみを引き上げる

宿の目の前の海でも、取り組みが進んでいる。公式サイトによると、2024年に、カプランカヤの施設を管理する会社と組んで、海を守る取り組みを始めた。176回の潜水で、12キロの海岸を清掃し、古いタイヤやロープ、海に捨てられた漁網など、10トンのごみを海から取り除いた。

2025年には、取り組みを生き物のすみかの再生にまで広げた。アンヒンガ・ビーチの海に、20個の人工の礁のブロックを沈め、海綿を移し植えた。近くのアクビュク港では、ボランティアによる清掃で、1.5トンのごみを集めた。ごみを取り除くだけでなく、生き物が戻ってこられる場所をつくることも、海を守る仕事だ。

ごみを資源に、水を少なく

公式サイトによると、宿は2025年に、プラスチックや段ボール、ガラス、金属を、合わせて1万6,449キロ、資源として回収した。木の製品713キロは、別のものにつくり変えて使った。宿の畑では、267キロの野菜を育てた。

水も減らしている。2025年の1室1泊あたりの水の使用量は、2019年と比べて10.49%少なかった。基準の年を決めて、毎年同じものさしで比べ続けることで、取り組みの効果が見えるようになる。

客は、宿の施設「アースラボ」で、自然や文化に着想を得た、手を動かす体験ができる。

村の子どもと、町の動物

宿は、地域の人とも一緒に取り組んでいる。公式サイトによると、近くの村の学校と組んだ「地元の気候の戦士」という取り組みでは、カズクル村の学校のそうじや修理、手入れを支えている。近くの学校の生徒を宿に招き、気候の変化や環境について学び、実際に手を動かす活動も行う。2025年には、155人の生徒が参加した。

2025年には、生徒や宿の人、森を管理する役所と一緒に、180本の木の苗を植えた。基金は、トルコの教育財団と組んだ奨学金も支え、観光を学ぶ10人の学生に贈られた。町の動物も守っている。2025年には、76匹の猫や犬に、不妊の手術と予防接種を受けさせた。動物の健康と安全を守り、飼い主のいない動物が増えすぎないようにするためだ。協力する地元の動物と自然の保護団体の施設には、診察室をつくり、動物の治療を続けられるようにした。

公式サイトによると、宿は、地元の人を雇い、責任ある買い物をすることで、地域の経済も支えている。

日本の宿に置き換えると

カプランカヤの工夫は、売上の決まった割合を基金に回し、海や村の取り組みを続けて支える仕組みをつくったことにある。日本の宿でも、売上や宿泊1泊ごとに決まった額を積み立て、地域の浜の清掃や子どもの学び、保護団体の活動に回すことができる。地元のダイバーや漁協と組んで、海の底のごみを調べることもできる。地域の学校の子どもを宿に招いて、環境について学ぶ場を開くこともできる。基金の使い道と成果を、毎年、数字で客に知らせれば、泊まることが地域を支えることにつながると、客にも伝わる。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室・稼働率70%の宿を考える。年に5,110室泊で、1室1泊の売上を1万5,000円とすると、年の売上は7,665万円になる。その0.5%を基金に回すとすると、年に38万3,250円を地域の取り組みに使えることになる。

持ち帰れる知識

  • 売上の決まった割合を回す仕組みにすると、地域への支えが続く
  • ごみを取り除いたあとに、生き物のすみかをつくることもできる
  • 基準の年を決めて比べると、取り組みの効果が見える
  • 地域の学校と組むと、宿が学びの場になる

宿で考えられること

  • 売上や宿泊1泊ごとに、地域のための積み立てをできないか考える
  • 宿のまわりの浜や川のごみを、地域の人と一緒に拾ってみる
  • 水の使用量の基準の年を決めて、毎年比べてみる

事業・予約への接続

シックスセンシズ・カプランカヤは、売上の一部を海や村に回す仕組みと、目に見える成果を、宿の魅力として伝えている。客は、泊まることがエーゲ海と地域を支えることにつながる宿だと知って、宿を選ぶ。

Sources / 参考情報

  • Six Senses(英文) - カプランカヤの持続可能性
    裏付け: 売上の0.5%を再生のための基金に回し環境・教育・地域の取り組みへ、アースラボ、GSTCの認証、ISO 50001、2025年の1室1泊あたりの水が2019年比10.49%減、2025年に1万6,449キロのプラスチック・段ボール・ガラス・金属を回収、267キロの野菜、713キロの木の製品をつくり変え、2024年に施設の管理会社と海を守る取り組み、176回の潜水で12キロの海岸と10トンのタイヤ・ロープ・漁網、2025年にアンヒンガ・ビーチで20個の人工の礁のブロックと海綿の移植、アクビュク港で1.5トン、カズクル村の学校のそうじと修理、2025年に155人の生徒、180本の苗を生徒・宿の人・森を管理する役所と植える、トルコ教育財団と組んだ奨学金で10人、76匹の猫や犬の手術と予防接種、地元の動物と自然の保護団体の施設の診察室、地元の雇用と責任ある買い物
  • Six Senses(英文) - カプランカヤ(宿の資料、PDF)
    裏付け: ボドルムの北のエーゲ海の海岸、常緑の木・野生のオリーブ・イトスギの丘、古代の七不思議の2つ、6つのスイートを含む141室(本館75室と尾根の部屋66室)、すべてエーゲ海の眺め、地元の自然の材料、小さな地中海の村のよう
  • Six Senses(英文) - カプランカヤの立地
    裏付け: ミラス空港からヘリコプターで10分、天気が悪い時は車で50分、ミレトスやエフェソスのアルテミス神殿などへの旅、ギリシャの島々への船

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