GOAL 12 · TARGET 12.5 エネルギー・脱炭素 4分 / 2122文字 生ごみを肥料に変えて陶器でサンゴを育てる #109

昼の電気は、太陽から:モルディブのパティーナ・モルディブが、生ごみを肥料に変え、陶器でサンゴを育てる方法

インド洋に浮かぶ島国モルディブ。首都マレの北、北マーレ環礁に、「ファリ諸島」がある。そのうち42ヘクタールの島に、リゾート「パティーナ・モルディブ」がある。業界誌の報道によると、空港からは高速船で45分。ホテルのブランド「パティーナ」の旗艦となる宿だ。

報道によると、部屋は、1~3寝室の、浜辺と水上のプール付きヴィラが90棟と、「ファリ・スタジオ」と呼ばれる部屋が20室。ブラジルの建築家マルシオ・コーガンの設計事務所「スタジオMK27」が設計した。宿の公式サイトによると、宿には8つの芸術作品が常に置かれ、その一つは、光の芸術家ジェームズ・タレルが空を切り取る作品「スカイスペース」だ。

木で建て、工事の間もごみを減らす

ブランドの公式サイトによると、宿は建てるときから環境に配慮した。島のすべての建物に、森を守る認証「PEFC」を受けた木を使い、その木がどこから来たかを、認証を受けた流れで追えるようにした。宿の公式サイトによると、工場で強く加工した木材「マス・エンジニアード・ティンバー」を使ったことで、二酸化炭素を6,000トン減らした。ヴィラは工場でつくってから運び、島の自然を乱さないようにした。

ブランドの公式サイトによると、工場でつくる工法などで、工事に使うエネルギーを約12%減らした。工事に関わった1,600人の働き手は、全員が繰り返し使える水のボトルを使い、初日から現場の使い捨てプラスチックをなくした。

昼の電気を、太陽でまかなう

ブランドの公式サイトによると、太陽光の電気は、ディーゼル燃料への依存を減らすためのものだ。宿の公式サイトでは、2025年までに、客室や飲食の場所で使う昼の電気の半分を太陽光でまかない、2026年にはすべてをめざす、としていた。ブランドの公式サイトによると、宿はいま、昼の間はすべて太陽光の電気で動いている。パネルは、ヴィラやレストランの屋根と、専用の土地に並び、合わせて2,994キロワットの出力がある。

生ごみが、野菜に戻る

ブランドの公式サイトによると、宿の生ごみは、すべて島の中の装置で分解して、有機の肥料に変える。その肥料で、農薬を使わない野菜を育て、厨房に戻す。食べ物が島の中でぐるりと回る仕組みだ。

宿の野菜中心のレストラン「ルーツ」は、宿の菜園の中にある。宿の公式サイトによると、ゆっくり味わう食の考え方に学び、自然の循環に沿う「パーマカルチャー」の考え方でつくった、ごみを出さない菜園でとれた野菜を料理に使う。

客の手で、サンゴのすみかをつくる

宿の公式サイトによると、宿は、科学者や客と一緒に、海を守る活動を続けている。ブランドの公式サイトによると、陶器の土台をつくってサンゴの成長を助ける取り組みは、モルディブで最初で唯一だ。宿の公式サイトによると、客が陶芸の講座でつくった陶器の板は350枚を超え、サンゴを育てる枠には、4,000を超えるサンゴのかけらが育ち、12種の魚がすみついている。ブランドの公式サイトによると、この活動には、客だけでなく、宿で働く人や地元の学生も、海の生き物の専門家と一緒に加わっている。子どもや家族が、サンゴの枠を「養子」にしたり、専門家の案内でサンゴを植えたりする仕組みもある。宿のチームが育ち具合を見守り、その様子を定期的に知らせる。

浜の掃除も続けている。宿の公式サイトによると、宿は、海を漂う「幽霊網」と呼ばれる捨てられた漁網を125キロ引き上げ、定期的な浜の掃除で500キロのごみを集めた。網は、潜水する職員が、ドローンで上空から見守りながら回収している。引き上げた網は、客と一緒に腕輪につくり直し、海のごみについて考えるきっかけにしている。ブランドの公式サイトによると、浜の掃除は、ファリ諸島の島々で、働く人と客が一緒に続けており、2025年1月から6月までの半年で、267.08キロのごみを取り除いた。

学びの場もある。宿の公式サイトによると、「ブルー・スクール」の活動で海への理解を深め、子ども向けのクラブでは、環境にやさしい建て方や材料を使って、ものづくりを試せる。宿は、環境の取り組みの国際的な認証「アースチェック」のシルバーを得たブランドとして、基準に照らして取り組みを見直し続けている。

たとえば、午後の陶芸の部屋。客が、やわらかい土に指で模様をつけながら、この板がやがて海の底でサンゴの家になる日を思い描いている。

日本の宿に置き換えると

パティーナ・モルディブの工夫は、電気も食べ物も島の中で回し、客が海を守る作業に自分の手で加われるようにしたことにある。日本の宿でも、屋根に太陽光パネルを置き、昼の電気の一部をまかなえる。生ごみを堆肥にして菜園に使うこともできる。地元の陶芸家や海の団体と組めば、客が参加できる体験もつくれる。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室・稼働率70%の宿を考える。年に5,110室泊。1室1泊の昼の電気代を300円とし、屋根の太陽光パネルでその半分をまかなえたとすると、1室1泊150円、年に76万6,500円の節約になる。パネルを置く費用は別にかかる。

持ち帰れる知識

  • 建てるときから、木の産地と工事のごみに目を向けられる
  • 太陽光の目標は、段階を決めると進めやすい
  • 生ごみを肥料にして野菜に戻すと、循環が客にも見える
  • 客が手を動かす体験は、海を守る活動への参加になる

宿で考えられること

  • 屋根に太陽光パネルを置けないか、昼の電気の量から調べる
  • 生ごみを菜園の肥料にする方法を探す
  • 地元の職人や団体と、客が参加できる環境の体験をつくる

事業・予約への接続

パティーナ・モルディブは、芸術と自然、そして海を守る体験を、宿の魅力として伝えている。客は、陶器の板をつくってサンゴの成長に関わり、太陽の電気で動く島で過ごすことを選んで、宿を選ぶ。

Sources / 参考情報

  • Patina Hotels & Resorts(英文) - パティーナ・モルディブの持続可能性
    裏付け: 捨てられた漁網125キロと浜の掃除のごみ500キロ、ルーツの菜園の料理、定期的な浜の掃除、2025年までに昼の電気の半分を太陽光で2026年にすべてをめざす、マス・エンジニアード・ティンバーで二酸化炭素6,000トン削減、工場でつくるヴィラ、科学者や客と海を守る、陶芸の講座の陶器の板350枚超、網の腕輪、潜水する職員とドローンによる見守り、ブルー・スクールの活動と子ども向けクラブの環境にやさしい建て方、アースチェックのシルバーを得たブランド、サンゴの枠に4,000を超えるかけらと12種の魚
  • Patina Hotels & Resorts(英文) - パティーナの持続可能性(ブランド)
    裏付け: 生ごみを島の中の装置で有機の肥料にし農薬を使わない野菜を厨房に戻す、陶器の土台でサンゴを育てるのはモルディブで最初で唯一、客・働く人・地元の学生と海の生き物の専門家、サンゴの枠の「養子」と専門家の案内のサンゴ植えと定期的な知らせ、ファリ諸島の浜の掃除で2025年1月から6月に267.08キロ、網を腕輪に、工場でつくる工法などで工事のエネルギーを約12%削減、1,600人の働き手が繰り返し使えるボトル、PEFCの木と認証を受けた流れ、昼の間はすべて太陽光、ディーゼル燃料への依存を減らす、2,994キロワットのパネルをヴィラとレストランの屋根と専用の土地に
  • Patina Hotels & Resorts(英文) - パティーナ・モルディブ
    裏付け: 42ヘクタールの島、ジェームズ・タレルのスカイスペース
  • Patina Hotels & Resorts(英文) - 芸術と空間
    裏付け: 8つの芸術作品が常に置かれる、ジェームズ・タレル
  • Patina Hotels & Resorts(英文) - ルーツ
    裏付け: 野菜中心のレストラン、ゆっくり味わう食の考え方、ごみを出さない菜園、パーマカルチャーの菜園
  • Business Traveller(英文) - パティーナ・モルディブの開業予定(2021年4月14日)
    裏付け: パティーナの旗艦の宿、北マーレ環礁のファリ諸島、空港から高速船で45分、1~3寝室の浜辺と水上のプール付きヴィラ90棟とファリ・スタジオ20室、マルシオ・コーガンのスタジオMK27

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