使い捨てをやめ、拾ったプラスチックを作品に変える:スペインのシックスセンシズ・イビサが、島のごみと向き合う方法
地中海に浮かぶスペインのイビサ島。その北の端、シャラカ湾を見下ろす崖の上に、リゾート「シックスセンシズ・イビサ」がある。宿の資料によると、2021年に開業した。20エーカー(8ヘクタール)の敷地に、スイート116室、レジデンス19棟、大きな邸宅2棟の、あわせて137の宿泊施設がある。崖をくりぬいてつくった89平方メートルの「ケーブ・スイート」もある。空港からは30分ほどだ。部屋の広さは44から80平方メートルで、1,200平方メートルのスパもある。
島は、限られた土地と資源で多くの旅行者を迎える。だから、ごみをどう減らすかは、島にとって大きな課題になる。
たとえば、昼の工房。テーブルに、蜜ろうを染み込ませた布が並んでいる。客はその布で器を包みながら、ラップを使わずに食べ物を保存する方法を教わっている。
使い捨てを、元から減らす
宿の資料によると、宿は飲み水を自分でろ過して瓶に詰め、使い捨てのプラスチックをなくした。公式サイトによると、建物は、自然に寄り添う設計と、材料の再利用を大切にしてつくられた。開業のときには、建物の環境性能を評価する英国生まれの認証「BREEAM」を、バレアレス諸島のリゾートとして初めて取った。
宿は、環境の管理の国際規格ISO 14001と、品質の管理の国際規格ISO 9001の認証も受けている。公式サイトによると、エネルギーや水、ごみ、排出の量を毎年はかって報告している。
客も、使い捨てを減らす方法を学べる。宿の「アース・ラボ」では、プラスチックの容器を別のものに置き換える工房を開く。手づくりの体験には、発酵食品やリップクリーム、蜜ろうの布づくりがある。蜜ろうの布は、食品用のラップの代わりに使える。
拾ったプラスチックを、作品に変える
ごみを減らす取り組みは、島の若い人とも進めている。公式サイトによると、宿は「クリエイティブズ・フォー・ザ・プラネット」という取り組みで、島の5つの高校と組み、337人が環境について学んだ。生徒たちは、231キロのプラスチックから「フィッシュ・バンク」という彫刻をつくった。材料には、379個の紙パックと、2万4,000個のふたが含まれる。
島の自然を守る活動もある。2021年からは、400キロのごみを集め、ボランティアの活動は430時間になった。
島の森と生き物を、取り戻す
宿は、総売上の0.5%を「再生のための基金」に回し、島の環境や自然を守る活動に使う。公式サイトによると、2023年からは「レジェネラ・ナチュラ」という取り組みで、サン・ジョアン・デ・ラブリチャの7万平方メートルの森をよみがえらせてきた。土地の植物を植え直し、地中海の木々がまざった森を育てる。
島のハリネズミも守る。保護施設「カンホグ」と組み、2021年から2,018匹のハリネズミを助けた。2025年には290匹を治療して自然に返した。部屋には、地元でデザインされたハリネズミのぬいぐるみが置かれ、買うと保護施設の支えになる。
海の学びも支える。2023年から、海の学びの取り組み「ベルマリ」に資金を出し、2025年には、イビサ島とフォルメンテラ島の学校で2,567人に届いた。地域とのつながりも広い。公式サイトによると、2025年には、6,233人が宿の支えで学びの機会を得た。2024年から2025年にかけては、島の8つの非営利団体を支えた。
電気と食べ物も、島の中で
公式サイトによると、2025年には、電気の100%を、自前の太陽光か、再生可能なエネルギーであることが証明された電気でまかなった。298枚の太陽光パネルが、必要な電気の10%をつくった。
食べ物は、サンタ・ジェルトルディスの近くにある宿の農場「カン・タンカ」から届く。宿の資料によると、地元の季節の有機の作物を育てている。その作物は、宿のレストラン「ジ・オーチャード」や、宿の中の市場「ファーマーズ・マーケット」に並ぶ。2025年には、農場に学びの場を開き、季節の収穫や、島の文化、土地の生き物、森を守ることを学べるようにした。
日本の宿に置き換えると
シックスセンシズ・イビサの工夫は、使い捨てを減らすだけでなく、拾ったごみを作品に変えて、島の人や客に伝えたことにある。日本の宿でも、地元の学校と浜のごみを拾い、その一部で小さな作品をつくってロビーに飾ることができる。蜜ろうの布づくりのような体験は、客が家に帰ってからも続けられる学びになる。売上の一部を地元の自然のために積み立てる仕組みも、小さな宿から始められる。
InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室・稼働率70%の宿を考える。年に5,110室泊で、1室泊あたり5個の使い捨ての小さな容器を使っているとすると、年に2万5,550個になる。詰め替え式に変えて8割を減らせれば、年に2万440個の容器が、ごみにならずにすむ。
持ち帰れる知識
- 飲み水を宿で詰めれば、使い捨てのボトルを元から減らせる
- 拾ったごみを作品に変えると、ごみの問題が目に見えて伝わる
- 客が家でも続けられる体験は、宿の外まで学びを広げる
- はかって報告し続けることが、取り組みの土台になる
宿で考えられること
- 客室の小さな使い捨ての容器を、詰め替え式に変えられないか考える
- 地元の学校と、浜や川のごみを拾う活動を相談してみる
- 蜜ろうの布づくりのような、持ち帰れる体験を考えてみる
事業・予約への接続
シックスセンシズ・イビサは、使い捨てをなくす取り組みや、島の森と生き物を守る活動を、宿の魅力として伝えている。客は、島の自然に貢献できる宿として、ここを選ぶ。
Sources / 参考情報
- Six Senses(英文) - シックスセンシズ・イビサの持続可能性
裏付け: バレアレス諸島で初めてBREEAM認証のリゾート、自然に寄り添う設計と材料の再利用、総売上の0.5%の再生のための基金、アース・ラボ、ISO 9001とISO 14001、エネルギー・水・ごみ・排出を毎年はかって報告、2025年に電気の100%を自前の太陽光か由来が証明された再生可能な電気で・298枚のパネルが10%、2023年からレジェネラ・ナチュラでサン・ジョアン・デ・ラブリチャの7万平方メートルの森、カンホグと2021年から2,018匹・2025年に290匹、ハリネズミのぬいぐるみ、クリエイティブズ・フォー・ザ・プラネットで5つの高校・337人・231キロのプラスチック・379個の紙パック・2万4,000個のふた、2021年から400キロのごみと430時間のボランティア、2023年からベルマリに資金・2025年に2,567人、2025年に6,233人が学びの機会、2024年から2025年に島の8つの非営利団体を支援 - Six Senses(英文) - シックスセンシズ・イビサ(宿の資料、PDF)
裏付け: 2021年開業、イビサ島の北の端でシャラカ湾を見下ろす、20エーカー(8ヘクタール)、スイート116室・レジデンス19棟・邸宅2棟の137、崖につくった89平方メートルのケーブ・スイート、部屋は44から80平方メートル、1,200平方メートルのスパ、レストランのジ・オーチャードとファーマーズ・マーケット、飲み水をろ過して瓶に詰める、使い捨てのプラスチックをなくす、開業時にバレアレス諸島で初めてBREEAM、2025年に農場の学びの場を開く、アース・ラボのプラスチックの容器を置き換える工房、発酵食品・リップクリーム・蜜ろうの布の体験、サンタ・ジェルトルディス近くの農場カン・タンカで地元の季節の有機の作物 - Six Senses(英文) - シックスセンシズ・イビサの紹介
裏付け: 空港から30分