GOAL 12 · TARGET 12.5 廃棄物・循環経済 3分 / 2079文字 水を宿で詰め、使い捨てを減らす #126

年に35万本のペットボトルを、宿の中でなくす:インドのアリラ・ディワ・ゴアが、飲み水をガラス瓶に詰め直す方法

インド西海岸のゴア州は、白い砂浜で知られる観光地だ。その南部、マジョルダ村に「アリラ・ディワ・ゴア」がある。ヤシの木と緑の田んぼに囲まれ、その先にアラビア海が広がる。ゴアの空港から車で20分、いちばん近いゴンスア・ビーチまでは500メートルの距離だ。

2023年の宿の資料によると、宿には110の客室と8つのスイートがある。敷地の中心には、田んぼの段々に向かって延びるプールがある。敷地の中には、「リゾートの中のリゾート」として設計された「ディワ・クラブ」もある。

浜辺の観光地では、客が飲んだあとのペットボトルが大量に出る。アリラ・ディワ・ゴアは、その飲み水の出どころから変えることにした。

ゴアで初めて、宿の中に瓶詰めの設備

公式サイトによると、アリラ・ディワ・ゴアは、ゴアで初めて、自動で水を瓶に詰める設備を入れたホテルだ。2022年の業界誌の記事によると、設備は、水の新興企業「ブーン(旧スワジャル・ウォーターキューブ)」と組んで入れた。

この「ゼロ・マイル・ウォーター(運ぶ距離ゼロの水)」の取り組みは、資源を回し続ける「循環経済」の考え方に基づく。宿の中の自動の設備が、ガラス瓶を洗い、殺菌し、水を詰める。プラスチックのごみが減るだけでなく、工場からホテルまでボトルを運ぶときに出る炭素もなくなる。

公式サイトは、この取り組みで、年に約35万本の使い捨てのペットボトルをなくし、50トンを超える炭素の排出を減らしていると説明している。客には、殺菌して封をしたガラス瓶で水を出す。ジムと地元のスタジオには、水を注ぐ給水器を置いている。

業界誌の記事によると、ブーンの仕組みは、飲み水の質を一滴ずつ見守る。客は、瓶のQRコードを読み取ると、飲み水の質や、取り組みの効果をその場で確かめられる。

たとえば、客室の机の上。ガラス瓶のQRコードをスマートフォンで読み取ると、いま飲もうとしている水の質が画面に出る。水の出どころが、目に見えるようになる。

2022年の記事で、総支配人のスヴィール・ソディさんは、環境を意識し、責任ある旅を求める客が増えていると話し、殺菌して封をしたガラス瓶で安全な水を出せることを、この設備の良さに挙げている。組んだ会社ブーンの最高経営責任者ヴィブハ・トリパティさんは、こう話している。「使い捨てのペットボトルをガラス瓶に替えることは、小さな一歩です。けれども、環境について考えるうえでは、大きな飛躍です」。

ストローも、皿も、容器も替える

宿が減らそうとしているのは、ペットボトルだけではない。公式サイトによると、宿のすべての飲食店で、プラスチックのストローを出すのをやめた。プラスチックのストローをなくそうという世界の運動「#NoPlasticStraws」を支えるためだ。

代わりのストローは、自然に分解されるプラスチックでできている。宿の説明では、ふつうのプラスチックは分解に400年かかるのに対し、このストローは18か月で自然に分解される。

屋外の宴会やケータリングでは、「アレカ」と呼ばれるヤシの葉の皿や器を使う。自然に落ちたヤシの葉からつくる皿で、すべて自然に分解され、堆肥にもできる。

客室の浴室の石けんやシャンプーは、プラスチックのチューブやボトルではなく、金属の容器に入れて置く。スパの製品は、ガラスの瓶に入れて保管する。

木を残し、土地の石で建てる

宿の建て方にも、環境への配慮がある。公式サイトによると、設計と建設では、土地の形に合わせて、環境への影響を小さくするよう努めた。木々を建物の配置に溶け込ませ、もとからある生き物のすみかを守った。宿の紹介ページは、何百年も生きてきた木々を囲むように空間をつくったと説明している。

建物の材料は、すべて地元から集めた。宿のあちこちに、この地方の赤レンガ色の石「ラテライト」がたっぷり使われている。宿の資料によると、レストランの一つ「スパイス・スタジオ」は、堂々としたバニヤンの木を囲むように建てられている。

村の若い人たちと

宿は、地域とのつながりも大切にしている。公式サイトによると、宿は地元の高校の施設を良くする手伝いをし、マジョルダ村の若者のクラブにスポーツ用品を贈っている。浜辺の一角を、地元の若者と一緒に手入れもしている。地元の人たちに仕事と研修の機会を用意し、多くの村の人が宿で働いている。

日本の宿に置き換えると

アリラ・ディワ・ゴアの工夫は、ペットボトルを減らすだけでなく、「水を運ぶ」こと自体をなくしたことにある。日本の宿でも、ろ過した水をガラス瓶やピッチャーで出したり、館内に給水器を置いたりできる。ストローや宴会の使い捨ての皿を、自然に戻る素材に替えることもできる。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室・稼働率70%の宿を考える。年に5,110室泊で、1室泊あたり2本のペットボトルの水を置いているとすると、年に1万220本になる。これをすべてガラス瓶の水に替えれば、年に1万本を超えるペットボトルのごみがなくなる。

持ち帰れる知識

  • 水を宿の中で詰めれば、ボトルのごみと運ぶときの炭素を同時に減らせる
  • 水の質を客に見せると、ボトルの水でなくても安心してもらえる
  • ストローや皿、容器など、小さな使い捨ても一つずつ替えられる
  • 地元の材料と残した木は、宿らしさを伝える景色になる

宿で考えられること

  • 客室に置くペットボトルの本数を、1年分数えてみる
  • ろ過した水をガラス瓶やピッチャーで出せないか調べてみる
  • 宴会や外のイベントで使う使い捨ての皿を見直してみる

事業・予約への接続

アリラ・ディワ・ゴアは、ゴアで初めての瓶詰めの設備と、なくしたペットボトルの数を、公式サイトで伝えている。客は、浜辺の自然を守る宿だと知って、ここを選ぶ。

Sources / 参考情報

  • Hyatt(英文) - アリラ・ディワ・ゴアの持続可能性の取り組み(公式サイト)
    裏付け: ゴアで初めて自動の瓶詰めの設備を入れたホテル、ゼロ・マイル・ウォーター、殺菌して封をしたガラス瓶、年に約35万本の使い捨てのボトルをなくし50トンを超える炭素を減らす、ジムと地元のスタジオの給水器、すべての飲食店でプラスチックのストローをやめる(#NoPlasticStraws)、分解されるストロー(18か月と400年)、屋外の宴会で自然に落ちたヤシの葉のアレカの皿、浴室のアメニティは金属の容器、スパの製品はガラスの瓶、土地に合わせた設計、木々を溶け込ませ生き物のすみかを守る、材料はすべて地元から、ラテライトの石、地元の高校の支援、マジョルダの若者のクラブにスポーツ用品、浜辺の一角を若者と手入れ、地元の雇用と研修
  • Hyatt(英文) - アリラ・ディワ・ゴアの資料(2023年、PDF)
    裏付け: マジョルダ村、ヤシと田んぼとアラビア海、空港から20分、ゴンスア・ビーチまで500メートル、110の客室と8つのスイート、田んぼの段々に延びるプール、リゾートの中のリゾートのディワ・クラブ、バニヤンの木を囲むスパイス・スタジオ
  • Outlook Traveller(英文) - アリラ・ディワ・ゴアの新しい瓶詰めの設備が年に約35万本のペットボトルをなくす(2022年3月)
    裏付け: ブーン(旧スワジャル・ウォーターキューブ)、ソディ総支配人の言葉(環境を意識し責任ある旅を求める客、殺菌して封をしたガラス瓶)、ブーンのトリパティ最高経営責任者の言葉(小さな一歩と大きな飛躍)
  • Alila Hotels(英文) - アリラ・ディワ・ゴアについて(公式サイト)
    裏付け: 何百年も生きてきた木々を囲むようにつくった空間、ゴアで初めての瓶詰めの設備、年に約35万本
  • Business Traveller(英文) - アリラ・ディワ・ゴアがゴアで初めて瓶詰めの設備を入れたホテルに(2022年2月24日)
    裏付け: ブーンと組む、宿の中でガラス瓶を洗い殺菌し詰める循環経済の仕組み、運ぶときの炭素をなくす、飲み水の質を見守る仕組み、QRコードで水の質と効果を確かめる

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