GOAL 12 · TARGET 12.5 廃棄物・循環経済 3分 / 2074文字 ごみを減らす工夫は、買う前から始まる #151

使い捨てのプラスチックはゼロ、98%はアフリカ産:モザンビークの6棟の宿「スッスーロ」が、ものの出どころから選ぶ理由

アフリカ南東部、モザンビークの海岸に、スッスーロという小さな宿がある。南部の町ヴィランクロから北へ向かった、ニャマブエ半島の静かな入り江に面し、浜辺には伝統的な木の帆船ダウが浮かぶ。客が泊まるのは、間をあけて建つ6棟のバンガローと、家族向けのスイートが1棟だけだ。

この宿は、自分たちの約束を公式サイトにはっきり書いている。宿で使うものの98%はアフリカで調達し、アフリカで作られたもの。使い捨てのプラスチックは使わない。電気は再生可能エネルギーでまかなう。ごみを減らす取り組みというと、出たごみの分別やリサイクルを思い浮かべがちだが、スッスーロは、ものを選ぶ段階から考えている。

海を守る区域の中の、6棟の宿

旅行誌コンデナスト・トラベラーの2025年12月の宿紹介によると、スッスーロは本土にありながら、バザルト諸島の海洋保護区の中に位置する。約550平方マイルに及ぶこの保護区は、ジュゴンやクジラ、ジンベエザメが行き来する道であり、マンタやウミガメ、色とりどりの魚のすみかでもある。

宿をつくったのは、ジンバブエ生まれのアダム・ハンフリーズとサラ・バーケットの夫婦だ。二人はヨーロッパでの忙しい仕事を離れてアフリカに戻り、地域の暮らしと自然をじゃましない形で、この場所を人と分かち合うことにした。アダムにとっては、少年のころ父と陸路でジンバブエから車を走らせ、浜辺でキャンプをした思い出の土地だという。

宿の規模は、とても小さい。公式サイトのよくある質問によると、宿全体で泊まれるのは16〜18人だ。最寄りのヴィランクロの空港からは、道路と、潮によっては浜辺を通って、車で1時間半かかる。同誌はこの宿を、潮の満ち引きに合わせて暮らしが流れていた、静かで人の少ない昔のインド洋の海岸に戻ったようだと評している。

98%をアフリカで、手でつくる

同誌によると、宿のものはすべて手づくりか、地元で手に入れたもので、建てるのに4年かかった。公式サイトによると、バンガローはそれぞれ1,000平方フィートを超える広さがあり、モザンビークの伝統的な建築を生かした屋根の下に、敷地で作り、彫った家具が置かれる。床には編んだ敷物、天井にはヤシの葉で編んだ「マクティ」が使われている。

98%という数字にも、正直な説明がついている。公式サイトによると、残りは主に電子機器で、アフリカの中では調達できなかった。そのため、外国製の品をアフリカの中で買うことにしたという。すべてを100%と言い切らず、できなかった部分を書いているところに、この宿の考え方が表れている。

宿を建てた人たちが、そのまま宿で働いていることも特徴だ。同誌によると、給仕や料理人、バーの担当、客室の掃除をする人たちは、宿を建てたのと同じチームだという。公式サイトも、宿は地域の人の手で建てられ、地域の人の手で運営されていると説明している。

客室から、使い捨てを外す

使い捨てを減らす工夫は、客の目に入るところにもある。同誌によると、客室の石けんやシャンプーは、有機栽培の原料を使い、自然に分解されるもので、陶器の入れ物に入れて置かれている。バスローブは手で縫った綿だ。公式サイトは、客が使う消耗品も、できる限り有機のものにすると書いている。

同誌によると、厨房は客席との仕切りのない開かれたつくりで、並べられた新鮮な野菜を前に、料理人と客が言葉を交わす。

食べものも、遠くから運ばない。公式サイトによると、厨房の献立は植物を中心にしたもので、バオバブやモリンガといったアフリカの伝統的な食材も使う。宿の有機菜園でとれる野菜が季節ごとの献立を決め、たんぱく源は主に貝や、一本釣りの魚と、モザンビークの鶏料理だ。牛などの赤身の肉は、ふだんは出さない。特別な食事を希望する場合は、地元の農家とのやりとりを無理なく整えられるよう、前もって知らせてほしいという。公式サイトは、支えるのは持続可能な小さな漁と地元の農業だけだ、とも約束している。

同誌は、宿のコーヒーが、モザンビーク中部のゴロンゴサ山の斜面で育ったフェアトレードの豆だと伝えている。さらに、宿が出す二酸化炭素の埋め合わせとして、宿の苗床で育てた在来のマングローブを、ニャマブエの塩田跡に植え、森をよみがえらせたと紹介している。

日本の宿に置き換えると

スッスーロから学べるのは、ごみを減らす工夫が、ものを買う前から始まっているということだ。日本の宿でも、客室のアメニティを詰め替えのできる容器に変える、食材や備品をできるだけ近くの作り手から買う、どうしても地元で手に入らないものは正直に伝える、といった形で始められる。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室・稼働率70%の宿を考える。年に5,110室泊で、1室泊あたり6点の使い捨てのプラスチック製品を置いているとすると、年に3万660点になる。1点6円とすれば、すべてを詰め替えの容器などに変えた場合、年に18万3,960円分の購入と、同じ数のごみを減らせる計算だ。

持ち帰れる知識

  • ごみを減らす工夫は、ものを買う前から始まる
  • できなかった部分も、正直に書いて伝える
  • アメニティは、使い捨てでない入れ物でも出せる
  • 食材は、近くの作り手から仕入れる

宿で考えられること

  • 客室に置いている使い捨ての品を、すべて書き出してみる
  • 備品や食材のうち、地元で手に入るものを調べてみる
  • アメニティを詰め替えのできる容器に変えられないか試してみる

事業・予約への接続

スッスーロは、手づくりの家具や地元の素材で整えた客室と、使い捨てを使わない暮らしを、滞在の魅力として伝えている。ものの出どころがわかる宿で、静かな海辺の時間を過ごすことは、環境に配慮した旅を望む客にとって、この宿を選ぶ理由の一つになる。

Sources / 参考情報

  • Condé Nast Traveler(英文) - スッスーロ:宿の紹介(2025年12月15日)
    裏付け: 潮の満ち引きに合わせた静かな昔のインド洋の海岸、6棟のバンガロー、ダウが浮かぶ入り江、ヴィランクロの北のニャマブエ半島、約550平方マイルのバザルト海洋保護区の中(ジュゴン・クジラ・ジンベエザメ・マンタ・ウミガメ)、ジンバブエ生まれのアダム・ハンフリーズとサラ・バーケット、ヨーロッパの仕事を離れた、少年のころ父と陸路でキャンプ、すべて手づくりか地元で調達し建設に4年、給仕・料理人・バー・客室係は宿を建てたチーム、手縫いの綿のバスローブ、有機で生分解性の石けん・シャンプーを陶器の入れ物に、編んだ敷物とマクティの天井、仕切りのない厨房で料理人と客が交わる、ゴロンゴサ山のフェアトレードのコーヒー、宿の苗床の在来マングローブでニャマブエの塩田跡を再生し炭素を埋め合わせ
  • Sussurro(英文) - 私たちの考え方(公式サイト)
    裏付け: 98%をアフリカで調達・製造、残りは主に電子機器で外国製の品をアフリカの中で購入、地域の人が建て運営、再生可能エネルギー、使い捨てプラスチックゼロ、客の消耗品も含めできる限り有機、持続可能な小さな漁と地元の農業だけを支える
  • Sussurro(英文) - スッスーロ(公式サイト)
    裏付け: バンガローは1,000平方フィート超、モザンビークの伝統建築、敷地で作り彫った家具、家族向けスイート
  • Sussurro(英文) - 食事(公式サイト)
    裏付け: 植物を中心にした献立、バオバブとモリンガ、有機菜園が季節の献立を決める、貝と一本釣りの魚とモザンビークの鶏料理、赤身の肉はふだん出さない、地元の農家とのやりとりのため事前の連絡を求める
  • Sussurro(英文) - よくある質問(公式サイト)
    裏付け: 6棟のダブルスイートと家族向けスイート1棟、宿全体で16〜18人、空港から道路と浜辺を通って1時間半

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