1,038種を数え、動物の通り道を残す:コスタリカの「ペニンシュラ・パパガヨ」が、開発と自然の釣り合いを確かめる方法
中米コスタリカの北西部、太平洋に面したグアナカステ州に、ペニンシュラ・パパガヨという大きなリゾートがある。半島の上に、フォーシーズンズとアンダーズ、それに2025年に開業したリッツ・カールトンの高級ブランド「ネカフイ」の三つのホテルと、別荘地、ゴルフ場、マリーナが集まっている。
このあたりは、熱帯の乾いた森が広がる土地だ。雨の多い熱帯雨林と違い、乾季には木々が葉を落とす。リゾートの運営会社は、ホテルや家を建てながら、この森と海の生き物を減らさないことを目標に掲げている。そのために続けているのが、敷地にどんな生き物がどれだけいるのかを、毎年数えて記録することだ。
開発と自然を、数字で確かめる
運営会社の公式サイトによると、リゾートは、コスタリカのグアナカステ保全地域などが支持する「バイオ開発」という考え方をとっている。従来のエコツーリズムの枠を超えて、人の暮らしと自然を一つの場所で結びつけ、生き物についての知識を広めて、守る人を増やそうとする考え方だ。リゾートは、敷地の生き物を「すべて知る」ことを約束し、種の多さと数を調べ、傷んだ生息地を、大切な野生の生き物を支えられる状態に戻すとしている。
2026年に公開された2025年の報告書の要約によると、この年までに敷地で記録された生き物は1,038種で、前の年より12.5%増えた。開発と保全の釣り合いをとるために、生き物を見守る仕組みを取り入れることも、目標の一つに挙げている。
報告書の要約は、この報告書がまだ第三者の検証を受けていないことも明記している。2025年に段階的に開業したネカフイについては、まだ1年分のデータがそろっていないため、その数字を今後の比較の基準に使わないよう断っている。リゾートの報告書は2018年に始まり、2022年からは国際的な報告の基準GRIに沿っている。2025年6月のプレスリリースによると、2024年の報告書では初めて、欧州の持続可能性の報告基準も取り入れた。
動物の通り道と、緑の橋
生き物を守るには、すむ場所を残すだけでなく、動けるようにすることも欠かせない。報告書の要約によると、リゾートには11本の野生動物の通り道と、6本の緑の橋がつくられた。道路や建物で森が分断されても、動物が行き来できるようにするためだ。
プレスリリースによると、リゾートの中のパルマレス保護区は、250エーカーの守られた土地で、熱帯の乾いた森、河口、マングローブがつながる大切な生き物の通り道の上にある。オウムやサル、アライグマの仲間のハナグマのすみかで、ユネスコの世界遺産であるグアナカステ保全地域への入り口にもなっている。
サンゴを、客と一緒に植え直す
海の中でも、取り組みは続いている。公式サイトによると、リゾートは、コスタリカの環境省や専門家とともに、クレブラ湾のサンゴ礁をよみがえらせる連合をつくった。200を超えるサンゴの構造物を沈めた、国内で最大規模の取り組みで、今は2023年のエルニーニョ現象によるサンゴの白化からの回復に力を入れている。報告書の要約によると、2025年には1万1,000個のサンゴのかけらが海の中で育ち、計画したサンゴの再生の半分を終えた。
客も、この活動に加われる。公式サイトによると、客は自分の手でサンゴのかけらを枠に取りつけ、ダイビングの指導者がそれを湾の苗床に置く。客はその後1年、サンゴが育つ様子を見守ることができ、育ったサンゴは近くのサンゴ礁に移される。ダイビングの資格がある客は、苗床の掃除や、育ったサンゴの植えつけを手伝える。サンゴの「里親」になる寄付もある。
報告書の要約によると、森の中を歩いてサルを探すツアーや、マングローブを訪ねるツアーなど、客が参加する体験の一部は、収益の一定の割合が保全の活動に回る。
水や資源の使い方も見直している。プレスリリースによると、2023年から2024年にかけて、ゴルフ場で使う水を51%減らし、リゾート全体の水の使用量を13%減らした。フォーシーズンズでは、食べ残しを記録する仕組みを入れて、生ごみを107トン減らした。
報告書の要約によると、2025年には、庭やゴルフ場などの水やりに必要な水の21%を、処理した排水でまかなった。
自然を守る活動は、地域の人の暮らしとも結びついている。公式サイトによると、リゾートは2002年から、「ともに育つ」という意味の地域支援の活動「クレシエンド・フントス」を続け、周辺の19の町で、医療や教育、仕事に就く機会を広げてきた。
日本の宿に置き換えると
ペニンシュラ・パパガヨから学べるのは、守りたい自然を、まず数えて知ることだ。日本の宿でも、庭や裏山で見られる鳥や植物を記録する、地元の自然観察の団体と組んで調べてもらう、記録を客に見せて、自然を案内する体験につなげる、といった形で始められる。
InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室・稼働率70%の宿を考える。年に5,110室泊で、1室泊あたり200円を、地域の自然を調べて守る活動に回すとすると、年に102万2,000円になる。地元の団体と組めば、生き物の調査や、森や川の手入れを続ける資金になる計算だ。
持ち帰れる知識
- 守りたい自然は、まず数えて知る
- 生き物には、すむ場所と動ける道の両方が要る
- 保全の活動は、客が参加できる体験にもなる
- まだできていないことも、報告書に書く
宿で考えられること
- 庭や近くの森で見られる生き物を、記録してみる
- 地元の自然観察の団体に、調査を相談してみる
- 自然を案内する体験の収益の一部を、保全に回せないか考えてみる
事業・予約への接続
ペニンシュラ・パパガヨは、乾いた森の生き物やサンゴの海を間近に感じる体験を、滞在の魅力として伝えている。サンゴを植え、その成長を見守ることは、自然とのつながりを求める客にとって、この場所を選ぶ理由の一つになる。
Sources / 参考情報
- Peninsula Papagayo(英文) - 持続可能性の報告書2025年版・要約(2026年)
裏付け: グアナカステ州北部で熱帯の乾いた森に接する、フォーシーズンズ・アンダーズ・ネカフイ(2025年開業)、1,038種を記録し前年比12.5%増、11本の野生動物の通り道と6本の緑の橋、1万1,000個のサンゴのかけらが海の中で育つ、計画したサンゴ再生の50%、水やりに必要な水の21%を処理した排水で、開発と保全の釣り合いのため生き物を見守る仕組みを目標に、第三者の検証をまだ受けていない、ネカフイは段階的な開業で1年分のデータがなく比較の基準にしない、収益の一定の割合が保全に回る体験(サル探し・マングローブなど) - PR Newswire(英文) - ペニンシュラ・パパガヨが2024年の報告書を公開(2025年6月24日)
裏付け: 報告書は2018年に始まり2022年からGRIに沿う、初めて欧州の報告基準ESRSを取り入れた、パルマレス保護区は250エーカーで熱帯の乾いた森・河口・マングローブの通り道、オウム・サル・ハナグマ、世界遺産のグアナカステ保全地域への入り口、ゴルフ場の水を51%・全体の水を13%削減(2023〜2024年)、フォーシーズンズで食べ残しを記録する仕組みにより生ごみを107トン削減 - Peninsula Papagayo(英文) - 持続可能性(公式サイト)
裏付け: 2002年からのクレシエンド・フントスで周辺の19の町の医療・教育・仕事の機会、グアナカステ保全地域などが支持するバイオ開発、生き物の知識を広める、生き物をすべて知る・種の多さと数を調べる・傷んだ生息地を戻す、環境省や専門家とクレブラ湾のサンゴ礁の連合をつくる、200を超える構造物で国内最大、2023年のエルニーニョによる白化からの回復 - Peninsula Papagayo(英文) - サンゴの再生(公式サイト)
裏付け: 客がサンゴのかけらを枠に取りつけダイビングの指導者が湾の苗床に置く、1年見守り育ったサンゴを近くのサンゴ礁に移す、資格のある客は掃除や植えつけを手伝える、サンゴの里親の寄付