GOAL 7 · TARGET 7.2 エネルギー・脱炭素 3分 / 2081文字 屋根の上を、発電の場所に変える #154

潮風に負けない1,400枚の太陽光パネル:コスタリカの浜辺の宿「カラ・ルナ」が、電気を自分でつくる理由

中米コスタリカの太平洋岸、タマリンド湾の南の端に、カラ・ルナという宿がある。英国のホテル業界誌ブティック・ホテル・ニュースの2019年の記事によると、客室は39室で、浜辺の近く、プラヤ・ラングスタとバウラス国立公園のそばに建つ。公式サイトによると、客室とヴィラは一つの大きな建物にまとめず、森の中に点々と建て、曲がりくねった小道でつないでいる。

公式サイトは、贅沢は決して無駄であってはならないと考え、快適さと控えめさの釣り合いがとれるように建物を設計したと説明している。森を切り開いて大きな建物を一つ建てる代わりに、ジャングルや地形と共に生きる宿にしたという。

この宿の屋根には、1,400枚の太陽光パネルが並ぶ。同誌によると、中米でも最大級の太陽光発電の事業の一つで、2018年12月に完成した。

海辺で、太陽光パネルを使うために

海のそばで太陽光パネルを使うには、ひとつ問題がある。潮風に含まれる塩で、金属がさびやすいことだ。同誌によると、工事を担ったのは、国連の賞を受けたことのあるコスタリカの太陽光発電の会社ソラール・インで、海水による傷みに耐えるよう特別に設計された、海辺向けのパネルを使った。パネルの一部はドイツ製で、さびを防ぐ加工がされている。

同誌によると、この事業は、2019年の終わりまでに宿の二酸化炭素の排出を差し引きゼロにするという、当時の宿の目標の一環だった。コスタリカは2021年までに国全体で排出を差し引きゼロにすることを目指しており、宿はこの国の目標も後押しするとしていた。宿は、コスタリカ観光局の持続可能な観光の認証を保ち続けるため、太陽光パネルのほかにも新しい取り組みを重ね、客が敷地で借りられるハイブリッド車も用意した。同誌は、この事業が排出を減らす大きな一歩となり、コスタリカの緑の観光のあり方を広めることにもつながると伝えている。

当時、総支配人だったフェデリコ・ピルルツは、「旅行者は、これまで以上に社会や環境のことを気にかけ、地球の資源への影響が少ない休暇を求めている。カラ・ルナでは、持続可能性を新しい段階に引き上げ、客が意味のある形で自然とつながるきっかけをつくりたい」と話している。

姉妹とイタリアの家族が始めた宿

公式サイトによると、カラ・ルナを始めたのは、エルス・デピペレとアントニオ・ピルルツ、エルスの妹グリートの3人だ。エルスとアントニオは1970年代の終わりにイタリアのサルデーニャ島で出会い、そこへグリートも加わって、地元の材料を使う手づくりのジェラート店を開いた。店は15年にわたって栄えた。やがて3人は、自然の豊かな土地で小さな宿を開くことを夢見るようになり、コスタリカを訪ねて、静かな町タマリンドに心をひかれた。今は、アントニオの息子フェデリコが宿を率いている。

公式サイトは、母なる地球を宿の大切な価値と位置づけ、有機の食材を使う料理、環境にやさしい建材、太陽の電気、水の再利用に、その考え方が表れていると説明している。

電気だけでなく、水も食べものも

公式サイトによると、宿は2027年までに、環境への負荷を差し引きゼロにすることを目指している。今行っていることとして、洗濯場と厨房から出た水を、植物の力でこす植え込みに通し、庭の水やりに使い直している。プールの水も、処理したあとに庭の土に戻す。建物には自然の光を取り入れ、使う電気を減らす。飲みもののストローは、カリソという植物から宿で手づくりし、自然に分解されるカップと合わせて、使い捨てのプラスチックをなくしている。近いうちに、宿を流れる水を一滴残らず土地に戻すことも計画している。

食べものも、近くでつくる。公式サイトによると、宿から15マイル離れた姉妹の地「ラ・センダ」は74エーカーの土地で、そのほとんどは手つかずのまま残し、必要な分だけを畑にしている。ラ・センダのサイトによると、畑は2ヘクタールで、野菜や果物をすべて有機で育て、肥料や虫よけも自分たちでつくる。宿のサイトによると、料理に使う季節の野菜や葉物の大半はこの畑でとれ、足りないものは、同じように有機の考え方をもつ農家から、まずグアナカステ州の中で、必要ならコスタリカの国内で仕入れる。加工された食材は避けている。持続可能な農業と仕入れが、宿の二酸化炭素の排出を小さく保つとしている。

日本の宿に置き換えると

カラ・ルナから学べるのは、屋根の上を、発電の場所として生かしていることだ。日本の宿でも、屋根や駐車場の屋根に太陽光パネルを置く、海の近くなら塩に強いパネルを選ぶ、といった形で、自分で電気をつくる割合を少しずつ増やしていける。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、宿の屋根に20キロワットの太陽光パネルを置いた場合を考える。1キロワットあたり年に1,200キロワット時を発電するとすると、年に2万4,000キロワット時になる。電気を1キロワット時30円で買っているなら、すべてを宿で使い切った場合、年に72万円分の電気を減らせる計算だ。

持ち帰れる知識

  • 屋根の上は、発電の場所になる
  • 海の近くでは、塩に強い設備を選ぶ
  • 電気だけでなく、水や食べものの使い方もあわせて見直す
  • 目標の年を決めて、取り組みを積み重ねる

宿で考えられること

  • 宿の屋根や駐車場で、太陽光パネルを置ける場所を調べてみる
  • 今の電気の使用量と、昼間に使う電気の割合を確かめてみる
  • 洗濯や厨房の水を、庭の水やりに使い直せないか相談してみる

事業・予約への接続

カラ・ルナは、森の中に点在する客室や有機の畑の料理、太陽の電気で動く宿の暮らしを、滞在の魅力として伝えている。自然の中でくつろぎながら、環境への負荷の少ない滞在ができることは、意識の高い旅行者にとって、この宿を選ぶ理由の一つになる。

Sources / 参考情報

  • Boutique Hotel News(英文) - カラ・ルナが再生可能エネルギーの事業を完了(2019年2月1日)
    裏付け: 中米最大級の太陽光発電の事業で前年12月に完成、1,400枚の太陽光パネル、2019年の終わりまでに排出を差し引きゼロにする目標、コスタリカの2021年までの国全体の目標を後押し、コスタリカ観光局の認証を保つための新しい取り組み、客が借りられるハイブリッド車、排出を減らす大きな一歩でコスタリカの緑の観光を広める、国連の賞を受けたソラール・イン、海水に耐える海辺向けのパネルで一部ドイツ製・さびを防ぐ加工、総支配人フェデリコ・ピルルツの言葉、39室でプラヤ・ラングスタとバウラス国立公園
  • Cala Luna(英文) - カラ・ルナについて(公式サイト)
    裏付け: エルス・デピペレとアントニオ・ピルルツが1970年代の終わりにサルデーニャ島で出会う、エルスの妹グリートも加わる、地元の材料の手づくりジェラート店は15年栄えた、コスタリカを訪ねタマリンドに心ひかれた、アントニオの息子フェデリコが率いる、母なる地球を大切な価値に(有機の料理・環境にやさしい建材・太陽の電気・水の再利用)、74エーカーのラ・センダは宿から15マイルでほとんど手つかず、客室を森の中に点在させ小道でつなぐ、贅沢は無駄であってはならない・快適さと控えめさの釣り合い・ジャングルと共に生きる、2027年までに環境への負荷を差し引きゼロに、洗濯場と厨房の水を植物の植え込みでこし庭へ、処理したプールの水を庭へ、屋根の太陽光パネル、自然の光、カリソのストローと生分解性のカップ、水を一滴残らず土地に戻す計画
  • Cala Luna(英文) - カラ・ルナ(公式サイト)
    裏付け: タマリンド湾の南の端に建つ
  • Cala Luna(英文) - ラ・センダを知る(公式サイト)
    裏付け: 2ヘクタールの畑で野菜と果物をすべて有機で育てる、肥料や虫よけも自分たちでつくる
  • Cala Luna(英文) - 料理(公式サイト)
    裏付け: 季節の野菜や葉物の大半を畑でまかなう、足りない食材は有機の考え方をもつ農家からまずグアナカステ州の中で、必要ならコスタリカの国内で、加工された食材を避ける、持続可能な農業と仕入れで排出を小さく保つ

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