モトクロス場だった荒れた農園に、在来の木を5,000本以上:コスタリカの14室の宿「フィンカ・ロサ・ブランカ」が、コーヒー畑に森の日陰を戻した方法
コスタリカの首都サンホセの北、エレディア県の丘の上に、フィンカ・ロサ・ブランカという宿がある。ポアス火山とバルバ火山の斜面に広がるコーヒーの産地で、公式サイトによると、ヴィラやスイートなど14の客室は、どれも手づくりの家具や壁画で飾られている。
この宿の始まりは、木のない荒れた土地だった。公式サイトによると、そこはかつて見捨てられたコーヒー農園で、ぬかるんだモトクロス場として使われていた。その土地で、ある一家が計画を立て、木を植え、コーヒーを育て、森の日陰を取り戻していった。
モトクロス場から始まった家族の計画
公式サイトによると、宿の始まりは1985年で、シルビア・ジャンポルと、息子のグレン、その妻のテリが夢見た計画だった。最初は家族の小さな家とコーヒー農園だったが、やがてさらに30エーカー(約12ヘクタール)のコーヒー畑が加わり、日陰をつくるために何千本もの在来の木が植えられた。今も3代にわたる同じ家族が営む宿と農園で、テリとグレンは宿の隣にある有機コーヒーの農園で暮らしている。グレンは画家でもあり、彼の絵は宿とレストランに飾られている。
公式サイトは、自分たちの考え方を「持続可能」から一歩進んだ「再生」という言葉で説明している。持続可能であることは、地球への害を減らすことにとどまる。これに対して再生は、すでに与えてしまった害を直し、失われた自然を取り戻すことだという。宿は、木のないコーヒー畑に囲まれていたころから環境に配慮してきたが、今は地元の植物を植えて、減ったり消えたりした生き物のすみかを取り戻すことを目指している。
5,000本の木が、コーヒーと鳥を守る
公式サイトのコーヒーのページによると、宿とその隣のカフェ・ロサ・ブランカの農園には、地元の学校の子どもたちと、コスタリカの環境を守る役所(MINAE)の協力で、5,000本を超える在来の木が植えられた。
この木々には、いくつもの役目がある。コーヒーの木に日陰をつくり、土に窒素をもたらす。同時に、鳥やほかの野生の生き物が行き来できる通り道にもなる。公式サイトには、農園の森にすむ鳥を「137種を超える」「143種を超える」と書いたページがあり、どちらにしても130種を超える鳥が暮らしていることになる。
畑のつくり方にも工夫がある。コーヒーは土地の自然な起伏に沿って植え、土が流れたり、水がむだになったりするのを防ぐ。畑のまわりは、在来の低木や木を植えた生け垣で守る。農薬や除草剤は使わず、ミミズを使った堆肥と、宿の厨房から出る生ごみでつくる堆肥を畑に入れる。
コーヒーは、国際的な有機の認証と、レインフォレスト・アライアンス、コスタリカの国のコーヒー機関の持続可能性の認証を受けている。栽培から焙煎、袋詰めまで、すべて敷地の中で行う。2023年には、国際的なコーヒーの品評会で「中央アメリカで最も優れたコーヒー」を含む5つの賞を受けた。育てているのはアラビカ種で、カトゥーラやオバタのほか、世界的に知られるゲイシャなどもある。
公式サイトによると、コーヒーは200年近くにわたって、コスタリカの豊かさの源であり、その象徴でもあった。首都の国立劇場も、コーヒーがもたらした富で建てられたという。
認証と、地域の人の雇用
公式サイトによると、この宿は1999年に、コスタリカの持続可能な観光の認証(CST)を国内のホテルで初めて受けた。今はその最高の「エリート」の段階にあり、いつも100%の評価を得ているという。
ほかにも、電気を太陽光でつくり、お湯を太陽の熱で温め、プールは薬品を使わない仕組みにしている。公式サイトは、過去25年で5,000本を超える在来の木を植え、コスタリカで最初期の「カーボンニュートラル」のホテルの一つになったと書いている。働く人は100%地元から雇っている。農園を案内する博物学者のウリセスは23歳でここで働き始め、予約の責任者エドガルド・ケサダは20年以上勤めている。客室には天井の扇風機と、地元でつくられた有機の石けんやシャンプーが置かれている。
旅行誌コンデナスト・トラベラーの英国版のコスタリカを紹介するページは、この宿を、農園と温室、果樹園でとれた有機の作物で季節の料理をつくる、環境への取り組みのすぐれた例として紹介している。
日本の宿に置き換えると
フィンカ・ロサ・ブランカから学べるのは、荒れた土地でも、木を植え続ければ森と畑の両方がよみがえるということだ。日本の宿でも、使われなくなった畑や空き地に地元の木を植える、地域の学校と一緒に植樹の日をつくる、といった形で始められる。木が育つには長い年月がかかるが、植えた日の記録や、増えていく鳥の姿は、客に伝えられる宿の物語にもなる。
InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、毎年20本の在来の木を植える宿を考える。苗木と植え付けに1本5,000円かかるとすると、年に10万円になる。これを25年続ければ、合わせて500本を植え、費用は250万円になる計算だ。
持ち帰れる知識
- 荒れた土地でも、木を植え続ければ森がよみがえる
- 日陰の木は、作物と生き物の両方を守る
- 土地の起伏に沿って植えると、土と水を守れる
- 厨房の生ごみは、畑の肥料に変えられる
宿で考えられること
- 宿のまわりで、使われていない土地を探してみる
- その土地にもともと生えていた木の種類を調べてみる
- 地域の学校や団体と、植樹の日をつくってみる
事業・予約への接続
フィンカ・ロサ・ブランカは、森に囲まれたコーヒー農園を、ガイドと一緒に歩くツアーとして客に案内している。荒れた土地から育った森と、そこで育つコーヒーを味わえることは、自然の中で学びたい客にとって、この宿を選ぶ理由の一つになる。
Sources / 参考情報
- Finca Rosa Blanca(英文) - 私たちの物語(公式サイト)
裏付け: 見捨てられたコーヒー農園がぬかるんだモトクロス場として使われていた、家族の小さな家とコーヒー農園から始まり30エーカーのコーヒー畑が加わり日陰のため何千本もの在来の木を植えた、1985年にシルビア・グレン・テリが始めた、3代の家族、テリとグレンは宿の隣の有機コーヒー農園で暮らす、1999年に国内のホテルで初めてCSTを受けた、エリートでいつも100%、太陽光の電気と太陽熱のお湯・薬品を使わないプール、過去25年で5,000本超の在来の木と最初期のカーボンニュートラルのホテルの一つ、100%地元から雇用、グレンの絵が宿とレストランに、持続可能は害を減らすこと・再生は害を直し失われたものを取り戻すこと、地元の植物で生き物のすみかを取り戻す、ガイドのウリセスは23歳で働き始めた、予約の責任者エドガルド・ケサダは20年以上 - Finca Rosa Blanca(英文) - コスタリカのコーヒー(公式サイト)
裏付け: ポアス火山とバルバ火山の斜面、30エーカーの日陰で育つ有機コーヒー、地元の学校の子どもたちとMINAEの協力で5,000本超の在来の木、日陰と窒素・鳥と野生の生き物の通り道、143種を超える鳥、起伏に沿って植え土の流出と水のむだを防ぐ、在来の低木と木の生け垣、ミミズの堆肥と宿の生ごみの堆肥、農薬・除草剤を使わない、Kiwa BCSの有機認証とレインフォレスト・アライアンス・ICAFEの認証、栽培から袋詰めまで敷地内、カトゥーラ・オバタ・ゲイシャなどのアラビカ種、コーヒーは200年近くコスタリカの豊かさの源で国立劇場を建てた、2023年の国際的な品評会で中央アメリカ最優秀を含む5つの賞 - Finca Rosa Blanca(英文) - フィンカ・ロサ・ブランカ(公式サイト)
裏付け: 14のヴィラ・スイート・スタジオ、手づくりの家具と壁画、森に覆われた有機コーヒー農園に137種を超える鳥、ガイドと歩く農園のツアー - Finca Rosa Blanca(英文) - よくある質問(公式サイト)
裏付け: 14のスイート、天井の扇風機、地元でつくられた有機の石けん・ローション・シャンプー - Condé Nast Traveller(英文) - コスタリカを訪れる5つの理由
裏付け: 環境への取り組みのすぐれた例、農園・温室・果樹園の有機の作物で季節の料理