船でしか行けない森の宿の電気は、水力と太陽から:コスタリカの「プラヤ・ニクエサ」の、エネルギーをむだにしない暮らし方
コスタリカの南の端、オサ半島と本土の間にあるゴルフォ・ドゥルセという静かな湾の岸に、プラヤ・ニクエサ・レインフォレスト・ロッジがある。公式サイトによると、宿へは船でしか行けない。首都サンホセから国内線で30〜45分ほどのゴルフィートかプエルト・ヒメネスの町へ飛び、そこから船で約30分かかる。
宿は、ピエドラス・ブランカス国立公園の森に抱かれた、165エーカー(約67ヘクタール)の自然保護区の中にある。町から離れた森の中で、この宿は電気を水力と太陽でまかない、お湯も洗濯の乾燥も、できるだけエネルギーを使わない方法を選んでいる。公式サイトによると、客室にはそれぞれ専用のテラスがあり、空の下で浴びるシャワーもある。泊まれるのは6歳以上だ。
電気は、水力と太陽から
公式サイトの持続可能性のページによると、宿の電気は、水の流れで回す水力のタービンと、太陽光パネルでまかなわれている。それでも足りないときに備えた予備の発電機は、使い終わった植物油を再利用した燃料で動く。
電気を使う量そのものも、少なくする工夫がある。照明の電球や冷蔵庫、冷凍庫は省エネのものを使い、森の小道の明かりには太陽光のランタンを使う。客室や建物は、山と浜辺から吹く風が通り抜ける向きに建てられ、自然の風で換気できるようにしている。
お湯も乾燥も、むだなく
お湯は、使うときにだけ沸かす仕組みだ。公式サイトによると、蛇口をひねったときにだけプロパンガスで温めるため、ためておくお湯を温め続ける必要がない。
洗濯物は、すべて太陽の熱を生かした乾燥室で乾かす。乾燥機を回せば多くの電気を使うが、この宿では太陽の熱が代わりをしている。客を運ぶ船にも、燃費のよい4ストロークのエンジンを使っている。食事も、できるだけ敷地でとれたものや近くで育てたものを使い、コスタリカと地域の料理を出す。
建物は、敷地の2%に
エネルギーだけでなく、建て方にも森への配慮がある。公式サイトによると、宿の建物は敷地の2%に満たない場所にあり、残りの98%は守られた保護区だ。建てるときも、まわりの自然をほとんど乱さないようにした。
屋根の瓦は、バナナの袋などのリサイクルプラスチックでつくられている。公式サイトのプレスのページが紹介するガイドブックは、これを、バナナの房を守るのに使われていた袋からつくった瓦だと説明している。木材は、自然に倒れた木を国の許可を得て牛で森から運び出したものか、育てて切った木だ。建物の設計は、コスタリカの建築家と一緒に行った。
水の扱いにも気を配る。台所やシャワーなどの水と、トイレの水を分けて流し、浄化槽では有機の微生物の力で汚れや病気のもとを取り除く。大雨の水は溝で流し、土が削られるのを防いでいる。ごみはガラス、プラスチック、紙、アルミ、紙パックに分けてリサイクルに回し、生ごみは堆肥にして庭の肥料にする。庭には化学肥料や農薬を使わず、虫よけにはニンニクとタマネギ、トウガラシでつくった手づくりの液を使う。
地域の人と、森の暮らしを伝える
公式サイトによると、宿を建てたのは海岸や、プエルト・ヒメネス、ゴルフィートの町の人たちだ。今も働く人の98%が地元やコスタリカの人で、かつて狩りをしていた人をガイドとして雇っている。宿は、地元の女性の団体と協力してプエルト・ヒメネスにリサイクルの回収所をつくる手助けをし、町の図書館の建設も支援した。働く人には宿で無料の英語の授業を開き、一人をサンホセでの1か月の英語の集中講座に送り出したこともある。
このほか、毎年地元の生徒一人がバイリンガルの学校に通えるよう支え、地元のサンゴを再生する活動も支援している。食料や工具などの品も、近くの町から買っている。
宿は、コスタリカの持続可能な観光の認証(CST)で最高の「エリート」の評価を受け、海岸の環境を守る取り組みとしてブルーフラッグも受けた。口コミサイトのトリップアドバイザーが環境に配慮した宿を示す「グリーンリーダー」の仕組みでも、最高のプラチナの段階に選ばれた。毎日無料で開く「持続可能性ツアー」では、リサイクルの場所や堆肥づくりの場所、植林の拠点、太陽の乾燥室、太陽光の設備を客に見せている。
日本の宿に置き換えると
プラヤ・ニクエサから学べるのは、電気をつくる方法を変えるだけでなく、使う量を減らす工夫を重ねることが大切だということだ。日本の宿でも、洗濯物を天日や風で乾かす、使っていない間のお湯の保温を見直す、といった形で始められる。冷蔵庫や照明を省エネのものに替えるときは、その理由を客に伝えると、宿の取り組みを知ってもらうきっかけにもなる。
InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、乾燥機で1日30kWhの電気を使う宿を考える。洗濯物をすべて太陽の熱で乾かせるようにすると、30kWhの365日分で、年に1万950kWhを減らせる。1kWhを30円とすれば、年に32万8,500円分になる計算だ。
持ち帰れる知識
- 電気は、つくる方法と使う量の両方から考えられる
- 乾燥機の代わりに、太陽の熱が使える
- お湯は、ためずに使うときだけ温める方法がある
- 省エネの設備を、客に見せて伝えることもできる
宿で考えられること
- 乾燥機やお湯の保温に、どれだけ電気やガスを使っているか調べてみる
- 天日や風で洗濯物を乾かせる場所がないか探してみる
- 宿の省エネの工夫を、客に案内する方法を考えてみる
事業・予約への接続
プラヤ・ニクエサは、船でしか行けない森の中の滞在と、毎日の持続可能性ツアーを、宿の魅力として伝えている。森と海の間で、エネルギーをむだにしない暮らしを体験できることは、自然の中で過ごしたい客にとって、この宿を選ぶ理由の一つになる。
Sources / 参考情報
- Playa Nicuesa Rainforest Lodge(英文) - 持続可能性(公式サイト)
裏付け: 165エーカーの保護区、ピエドラス・ブランカス国立公園の中、毎日無料の持続可能性ツアー(リサイクル・堆肥・植林の拠点・太陽の乾燥室・太陽光の設備・建設の工夫)、CSTのエリート、ブルーフラッグ、海岸やプエルト・ヒメネス・ゴルフィートの人が建設、建物は敷地の2%未満で98%は保護区、バナナの袋などのリサイクルプラスチックの屋根瓦、自然に倒れた木を許可を得て牛で運び出すか育てた木、山と浜辺の風が通り抜ける向き、自然をほとんど乱さない、電気は水力のタービンと太陽光パネル、予備の発電機は再利用の植物油、洗濯物はすべて太陽の乾燥室、お湯は蛇口をひねったときだけプロパンで温める、船は燃費のよい4ストロークのエンジン、省エネの電球・冷蔵庫・冷凍庫、小道に太陽光のランタン、働く人の98%が地元・コスタリカの人、元狩猟者をガイドに、コスタリカの建築家と設計、台所やシャワーなどの水とトイレの水を分け有機の微生物で浄化、雨水の溝で土の流出を防ぐ、ガラス・プラスチック・紙・アルミ・紙パックの分別、生ごみの堆肥、化学肥料・農薬を使わない、ニンニク・タマネギ・トウガラシの虫よけ、女性の団体とプエルト・ヒメネスのリサイクル回収所、図書館の建設を支援、無料の英語の授業とサンホセでの1か月の集中講座、毎年地元の生徒一人をバイリンガルの学校へ、地元のサンゴの再生を支援、食料や工具を近くの町から購入、食事は敷地でとれたものか近くで育てたもの、トリップアドバイザーのグリーンリーダーでプラチナ - Playa Nicuesa Rainforest Lodge(英文) - プラヤ・ニクエサ(公式サイト)
裏付け: 船でしか行けない、ゴルフォ・ドゥルセ、サンホセからゴルフィートかプエルト・ヒメネスへ国内線で30〜45分、船で約30分、専用のテラスと空の下のシャワー、6歳以上 - Playa Nicuesa Rainforest Lodge(英文) - プレスルーム(公式サイト)
裏付け: ガイドブックの紹介:バナナの房を守るのに使われていた袋からつくった屋根瓦、船でしか行けない