GOAL 12 · TARGET 12.3 廃棄物・循環経済 4分 / 2103文字 皿の上で、終わらせない #164

食べ残しは、鶏のえさと畑の土に:コスタリカの山の宿「ホテル・ベルマール」が、皿から農園へ戻す循環

コスタリカの中部、霧に包まれた雲霧林で知られるモンテベルデに、ホテル・ベルマールがある。公式サイトによると、宿は1985年に、モンテベルデで2番目の宿として開業した。家族で運営を続ける宿で、2025年に更新された宿の資料によると、客室は26室だ。

この宿の台所では、料理を出して終わりにはならない。食事で出たコーヒーのかすや卵の殻などは、宿の農園で動物のえさや堆肥になり、その農園でとれた野菜や卵が、また宿の食卓に戻ってくる。宿はこの流れを、「畑から食卓へ」をひっくり返して「食卓から畑へ」と呼んでいる。

創業者が育てた農園

宿をつくったのは、ペドロ・ベルマール氏とベラ・セレドン氏だ。公式サイトの紹介によると、二人はオーストリアで10年を過ごし、チロル地方の山の宿に影響を受けた。宿の建物には、山小屋風の木の造りが生かされている。

二人は2011年に、宿から離れた土地に農園「フィンカ・マドレ・ティエラ(母なる大地の農園)」をつくった。宿の自然保護の資料によると、農園は隣のアバンガレス郡のラ・シエラ地区にあり、有機の作物と家畜を組み合わせて育てている。今も創業者のベラ氏が、自ら農園の運営を見守っている。

農園では、ハーブ、有機の野菜、木陰で育てるコーヒー、手づくりのチーズ、放し飼いの鶏の卵のほか、季節にはアボカドやグアバ、料理用のバナナ、フトモモ、タロイモの仲間のマランガがとれる。狭い畑でも多くの種類の作物を育て、水を大切に使い、虫は自然の方法で防ぎ、有機のもので土を豊かにする。とれたものは宿のレストランやバーで使うほか、宿の中の店で地域の人にも売っている。

食卓から、畑へ戻す

公式サイトの持続可能性のページによると、宿の食事で出たものは、コーヒーのかすや卵の殻まですべて集め、動物のえさの足しと、栄養のある堆肥に回す。自然保護の資料でも、食べものの残りを栄養のある堆肥か鶏のえさに変え、それが宿の庭と農園に戻ると説明している。こうして農園は、宿の食卓と輪のようにつながっている。

宿の持続可能性の手引き(2025年1月更新)によると、宿には持続可能性の担当の責任者と調整役がいて、6か月ごとにすべての部署を点検している。点検で見る数字には、水と電気の使用量、ごみ、温室効果ガスに加えて、有機の畑でとれた量も含まれる。

客が、循環を自分の目で見る

この流れは、客が体験することもできる。公式サイトによると、「ファーム・トゥ・テーブル・トゥ・ファーム」という約4時間の体験では、まず農園でコーヒーの実を摘み、サトウキビを搾り、放し飼いの鶏や牛、馬に会う。カーボンニュートラルの考え方が農園と宿でどう生かされているかも学ぶ。そのあとはレストランのすぐ近くの有機の畑へ移り、料理長が季節の食材で昼食をつくる。宿の客は無料で参加できる。

別の「農園の見学」でも、季節によって牛の乳しぼりやチーズづくり、卵集め、コーヒーの実摘み、サトウキビ搾りを体験できる。こちらも宿の客は無料だ。食卓に並ぶものがどこで、どう育つのかを客が自分の目で確かめられる。

プラスチックも、捨てずに生かす

宿は、食べもの以外のごみも減らしている。公式サイトによると、バーでは果汁をその場で搾り、地元の品を仕入れることで、プラスチックをほとんど使わずに営業している。さらに「エコヒーローズ」という団体と組み、リサイクルできないプラスチックを毎月約18ポンド(約8キロ)、建物のブロックに生まれ変わらせる手助けをしている。2024年の宿のブログによると、この団体はグアカリージョの浜の家族にお金を払ってプラスチックを集めてもらい、それを砂の代わりに使って、首都サンホセでブロックをつくっている。

洗濯物は太陽の熱で乾かす部屋を使い、電気の乾燥機に頼る時間を減らしている。手引きによると、すべての建物に太陽の熱でお湯を沸かす設備があり、その容量は合わせて1,800リットルだ。

認証と、正直に書くべきこと

宿は、コスタリカの持続可能な観光の認証(CST)で、2011年から2024年まで最高の評価を受けてきた。カーボンニュートラルについては、公式サイトの沿革では2016年に宿と農園が達成したとし、実績の一覧では2019年にモンテベルデで初めて認証を受けた宿になったと書いている。年が二つあるため、ここでは両方を記しておく。

日本の宿に置き換えると

ベルマールから学べるのは、食べ残しを「捨てるもの」ではなく、次の食材を育てる材料として考えられるということだ。日本の宿でも、近くの農家と組んで、生ごみを堆肥や家畜のえさに回し、その農家の野菜を宿で使う形から始められる。その流れを客に見せれば、食事そのものが宿の取り組みを伝える場になる。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、1日に10kgの生ごみが出る宿を考える。10kgの365日分で、年に3,650kgになる。これをすべて農家の堆肥や家畜のえさに回し、ごみの処理費が1kgあたり40円かかっていたとすれば、年に14万6,000円分の処理費を減らせる計算だ。

持ち帰れる知識

  • 食べ残しは、次の食材を育てる材料になる
  • 宿と農園をつなぐと、食べものの流れが輪になる
  • 畑でとれた量も、点検する数字に入れられる
  • 年がいくつもある実績は、両方を正直に伝える

宿で考えられること

  • 宿の生ごみが、1日にどれだけ出ているか量ってみる
  • 生ごみを受け取ってくれる近くの農家がないか探してみる
  • 食材の生産者を、客に紹介する方法を考えてみる

事業・予約への接続

ベルマールは、自分たちの農園でとれた食材と、食卓から畑へ戻す流れを、宿の魅力として伝えている。食事の背景にある農園を訪ね、食べものが輪のように回る様子を見られることは、食や自然に関心のある客にとって、この宿を選ぶ理由の一つになる。

Sources / 参考情報

  • Hotel Belmar(英文) - 持続可能性(公式サイト)
    裏付け: 家族で運営、1985年にモンテベルデで2番目の宿として開業、農園の作物(ハーブ・野菜・木陰のコーヒー・チーズ・放し飼いの卵・アボカド・グアバ)、「食卓から畑へ」でコーヒーのかすや卵の殻まですべて動物のえさと堆肥に、バーはプラスチックをほとんど使わない、洗濯物を太陽の熱で乾かす部屋、CSTで2011〜2024年に最高の評価、2019年にモンテベルデで初めてカーボンニュートラルの認証を受けた宿、エコヒーローズと組み毎月約18ポンドのリサイクルできないプラスチックをブロックに
  • Hotel Belmar(英文) - 私たちについて(公式サイト)
    裏付け: ペドロ・ベルマール氏とベラ・セレドン氏、オーストリアで10年、チロル地方の山の宿、2011年にフィンカ・マドレ・ティエラ、2016年に宿と農園がカーボンニュートラルを達成
  • Hotel Belmar(西文) - ホテル・ベルマールの自然保護の資料(2025年)
    裏付け: 26室、農園はアバンガレス郡ラ・シエラ地区の有機の農園、ベラ氏が自ら運営を見守る、作物(料理用のバナナ・フトモモ・マランガを含む)、狭い畑で多くの種類・水を大切に・自然の方法で虫を防ぐ・有機のもので土を豊かに、レストランやバーと宿の店で使う、食べものの残りを堆肥か鶏のえさにして庭と農園に戻す
  • Hotel Belmar(西文) - 持続可能性の手引き(2025年1月更新)
    裏付け: 持続可能性の担当の責任者と調整役、6か月ごとにすべての部署を点検、点検する数字(水・電気・ごみ・水の管理・温室効果ガス・有機の畑でとれた量)、すべての建物に太陽の熱のお湯の設備で容量1,800リットル
  • Hotel Belmar(英文) - ファーム・トゥ・テーブル・トゥ・ファーム(公式サイト)
    裏付け: 約4時間、宿の客は無料、農園でコーヒーの実摘み・サトウキビ搾り・放し飼いの鶏や牛や馬、カーボンニュートラルを学ぶ、レストランの近くの有機の畑で料理長が季節の昼食
  • Hotel Belmar(英文) - 農園の見学(公式サイト)
    裏付け: 季節により牛の乳しぼり・チーズづくり・卵集め・コーヒーの実摘み・サトウキビ搾り、有機でカーボンニュートラルの農園、宿の客は無料
  • Hotel Belmar(英文) - 持続可能性の土台となるブロック(公式ブログ、2024年6月)
    裏付け: エコヒーローズがグアカリージョの浜の家族にお金を払ってプラスチックを集め、砂の代わりにしてサンホセでブロックをつくる

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