GOAL 15 · TARGET 15.5 自然・生物多様性・保全 4分 / 2202文字 森がつながっているかを、確かめる #165

宿の森を通る動物を、4台のカメラで確かめる:コスタリカの「アレナス・デル・マール」が、国立公園とつながる森を育てる方法

コスタリカの太平洋側、マヌエル・アントニオ国立公園のすぐそばに、アレナス・デル・マールがある。公式サイトによると、宿は11エーカー(約4.5ヘクタール)の熱帯雨林の保護区に囲まれ、海と二つの浜辺に直接出られる。マヌエル・アントニオで浜辺に面した唯一の高級リゾートだとしている。

持続可能なホテルを集めた「ビヨンド・グリーン」の紹介によると、客室とスイートは38室だ。この宿の森は、国立公園と動物が行き来する通り道の一部になっている。宿は、その通り道が本当に働いているかを、カメラを使って確かめている。

荒れた土地を、森に戻す

ビヨンド・グリーンの紹介によると、30年前、宿の土地は、地元で「タコタル」と呼ばれる荒れた低木地だった。自分たちが食べるための農業で森が切り開かれたあとに残った土地だ。宿のチームは土地を手に入れてから、自然の回復を助ける植え方で熱帯雨林を取り戻してきた。

宿を運営するカユガ・コレクションの共同創業者で社長のハンス・プフィスター氏は、2025年3月の業界誌の取材で、この土地は羊の放牧地だったと語っている。説明には少し違いがあるが、いずれも農業のために森が失われた土地だったことは共通している。

ビヨンド・グリーンが2022年4月に出した発表によると、宿はこの20年ほどの間に、在来の木を約7,000本と、この土地にもとからある植物を数千株植えてきた。宿に泊まる客も、「木を植えよう」という取り組みに参加して、自分の手で木を植えることができる。今では森に鳥の声が響き、サルやナマケモノが暮らしている。

4台のカメラで、動物の通り道を見る

宿の森は、マヌエル・アントニオ国立公園とつながる、動物の通り道になっている。ビヨンド・グリーンの紹介によると、この通り道では、ピューマやオセロットを含む20種類を超える動物が記録されている。

宿は「野生動物の秘密の暮らし」という取り組みで、4台のカメラを使い、国立公園へ続く通り道を動物がどう通るかを見張っている。目的は、生きものがすむ場所がつながっていることを、データで確かめることだ。生きものの種類が減っていく問題に、数字で向き合おうとしている。

客も、この取り組みに関わることができる。ガイドと歩く夜の散歩に参加したり、「ガイドとチャット」という仕組みで、見つけた動物の写真をその場で送ったりできる。集まった写真は、従業員の食堂に飾られ、働く人たちが宿の森の生きものを知るきっかけになっている。

公式サイトによると、宿には自然の案内を専門にするガイドがいる。11エーカーの熱帯雨林に囲まれているため、サルやナマケモノを毎日見られる可能性が高いという。とくに5月から11月は、森の木々に実がなり、サルやナマケモノ、鳥が見やすくなる季節だ。

宿の裏側も、客に見せる

宿では、持続可能性の担当者か自然のガイドが案内する、宿の裏側を見るツアーにも参加できる。ビヨンド・グリーンの紹介によると、台所や畑、倉庫、従業員の場所を回り、働く人と率直に話したり、堆肥づくりを教わったりする。客は、宿が環境への負担を減らし、自然を回復させる方法を、自分の目で確かめられる。

食べものや飲みものも、できるだけ近くから集める。宿には自前の醸造所と飲みものの研究室があり、2人の従業員がビールとノンアルコールのビールをつくれるように学んだ。水は宿の中で、くり返し使えるガラスの瓶に詰める。雨水を集めて使い、季節の料理を出す。

魚は「ドック・トゥ・ディッシュ」という仕組みで、料理人が地元の漁師から直接、その日にとれた魚を仕入れる。とりすぎを防ぎ、特定の魚ばかりをとらないようにするためだ。地元の女性が営む協同組合が育てたカキも出している。働く人は、経営陣を含めて全員がコスタリカ国内から採用され、希望する仕事に移るための訓練も受けられる。

地域の学校と、二つの評価

宿に泊まる客は、近くの学校に寄付することもできる。ビヨンド・グリーンの2022年4月の発表によると、寄付は教室で使う道具や、環境について学ぶ授業に使われる。森を育てる取り組みと、地域の子どもが自然を学ぶ機会を支える取り組みが、同じ宿の中で並んでいる。

ビヨンド・グリーンを運営するプリファード・ホテルズの紹介によると、宿の浜辺は、エスパディージャとプラジータスの二つだ。レストランも二つあり、高台の「エル・ミラドール」と、浜辺の「プラジータス」で、地元の持続可能な食材を中心に料理を出す。同じ紹介は、宿が、5つ星の評価と、コスタリカの持続可能な観光の認証で最高の「5枚の葉」の評価を、両方そろえた最初のコスタリカの高級ホテルだとしている。

日本の宿に置き換えると

アレナス・デル・マールから学べるのは、木を植えて終わりにせず、その森を生きものが本当に使っているかを確かめられるということだ。日本の宿でも、敷地の林や庭に動物を記録するカメラを置き、どんな生きものが来ているかを調べることから始められる。記録した写真を客や働く人に見せれば、宿の自然の価値を伝える材料にもなる。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、1台3万円の動物を記録するカメラを4台買う宿を考える。3万円の4台分で、最初の費用は12万円になる。これを5年使うとすれば、1年あたり2万4,000円の費用になる計算だ。

持ち帰れる知識

  • 木を植えたあとは、生きものが使っているかを確かめられる
  • カメラの記録は、森がつながっている証拠になる
  • 客の写真も、働く人が森を知るきっかけになる
  • 土地の歴史は、説明の違いも含めて伝える

宿で考えられること

  • 敷地の林や庭に、どんな生きものが来ているか調べてみる
  • 動物を記録するカメラを置ける場所を探してみる
  • 記録した写真を、客や働く人に見せる方法を考えてみる

事業・予約への接続

アレナス・デル・マールは、浜辺のすぐそばで熱帯雨林の動物に出会える滞在を、宿の魅力として伝えている。宿の森が国立公園とつながり、その様子を客も一緒に記録できることは、自然の中で意味のある時間を過ごしたい客にとって、この宿を選ぶ理由の一つになる。

Sources / 参考情報

  • Arenas Del Mar(英文) - アレナス・デル・マール(公式サイト)
    裏付け: 11エーカーの熱帯雨林の保護区、海と二つの浜辺に直接出られる、マヌエル・アントニオで浜辺に面した唯一の高級リゾート、自然の案内を専門にするガイド、サルやナマケモノを毎日見られる可能性が高い、5月から11月は実がなり動物が見やすい、カユガ・コレクションの一員
  • Beyond Green(英文) - アレナス・デル・マール
    裏付け: 38室、11エーカーの私有の保護区、動物の通り道の入口、30年前は自給の農業でできた「タコタル」、自然の回復を助ける植え方、鳥の声とサルとナマケモノ、ピューマやオセロットを含む20種類超を記録、持続可能性の担当者か自然のガイドが案内する裏側のツアー(台所・畑・倉庫・従業員の場所・堆肥づくり)、4台のカメラで国立公園への通り道を見張りつながりをデータで確かめる、夜の散歩、「ガイドとチャット」の写真を従業員の食堂に、自前の醸造所と飲みものの研究室で2人を育成、ガラスの瓶の水、雨水、季節の料理、ドック・トゥ・ディッシュ、女性の協同組合のカキ、全員をコスタリカ国内から採用
  • Hospitality Net(英文) - アースデーに、ビヨンド・グリーンが地域と地球に還元する旅を呼びかけ(2022年4月)
    裏付け: 11エーカーの私有の保護区、地域の動物の大切な通り道、この20年で在来の木7,000本と固有の植物数千株、地元の学校への寄付、「木を植えよう」の取り組み
  • Preferred Hotels & Resorts(英文) - アレナス・デル・マール(会議・団体向けの紹介)
    裏付け: 11エーカーの熱帯雨林の保護区、エスパディージャとプラジータスの二つの浜辺、38室、エル・ミラドールとプラジータスの二つのレストランで地元の持続可能な食材、5つ星と「5枚の葉」の評価を両方そろえた最初のコスタリカの高級ホテル
  • Business View Caribbean(英文) - カユガ・コレクション:還元するという贅沢(2025年3月)
    裏付け: 共同創業者で社長のハンス・プフィスター氏、アレナス・デル・マールの土地は羊の放牧地だった

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