GOAL 2 · TARGET 2.4 食品・フードロス・堆肥 3分 / 2033文字 畑と蒸留所と宿をつなぐ #169

砂糖きびの搾りかすで、蒸留所の火を焚く:ベリーズの「コパル・ツリー・ロッジ」が、畑とラムと宿をひとつの輪にした方法

中米ベリーズの南の端、トレド地区の町プンタ・ゴルダの近くに、コパル・ツリー・ロッジがある。公式サイトによると、宿は1万6,000エーカーの熱帯雨林に囲まれ、そのうち1万2,000エーカーは森を切らないよう守られている。客室は17室だけだ。

この宿の中心にあるのは、客室よりも畑だ。宿の隣には有機農園があり、その隣にはラムの蒸留所がある。砂糖きびを育て、搾り、ラムにし、残ったものをまた畑へ返す。その輪の中に、客が泊まる。

砂糖きびの記憶がある土地

公式サイトの歴史によると、この土地には600年ごろのマヤ文明の時代から人が暮らし、リオ・グランデ川がカリブ海へ出る交通路だった。1860年代には、アメリカのアラバマやテキサスから来た入植者が、砂糖きびを育て、牛を飼い、ラムをつくった。その子孫でベリーズ生まれのマリー・ルイーズ・ヤングさんが、のちにこの土地を買い、80エーカーの砂糖きび畑で蒸留所を営んだ。当時の砂糖きびの圧搾機は、今も農園の見学所に残っている。

2001年には釣りの宿として建設が始まった。2005年には、海の保全に熱心なトッド・ロビンソン氏が宿を買い、地域の環境保全にかかわるようになった。2009年までに「ベルカンポ・ロッジ」と名を変え、その後、今のコパル・ツリー・ロッジになった。宿は、ベリーズで初めて有機の認証を受けた農園を持つと紹介している。釣りの宿として始まった伝統も残り、今も釣り道具の老舗オービスが推薦する釣りの宿だ。

畑が、台所と森をつなぐ

公式サイトによると、農園ではコーヒーやカカオ、砂糖きび、バニラなど、この土地に合う作物を育てている。有機の農園と宿の菜園は、レストランで出す食材の多くをまかなう。鶏は1日に50〜75個の卵を産む。土には、堆肥や敷地で出る家畜のふん、カカオの殻を使う。虫よけには、ニームの油やにんにくを混ぜた手づくりの液を使う。

2013年には、83エーカーに有機のクリオロ種のカカオを植えた。かやぶき屋根の育苗場では、接ぎ木したカカオの苗を何千本も育て、宿のまわりの森の下に植えていく。カルダモンやナツメグ、オールスパイスなどの香辛料も育てている。

搾りかすは燃料に、残り水は畑に

宿の隣の蒸留所は、2018年からラム「コパリ」をつくっている。公式サイトによると、砂糖きびを育てるところから、搾り、蒸留し、寝かせ、瓶に詰めるまで、すべてを敷地の中で行う。原料は、農園で育てた黒と赤の昔からの品種の砂糖きびの搾りたての汁、雨水、天然の酵母の三つだけだ。糖蜜は使わない。蒸留には、少量で豊かな味が出る単式の蒸留器と、すっきりした味になる連続式の蒸留器を使い分ける。カカオのラムには、焙煎した有機のカカオの粒を漬け込む。砂糖きびの畑は手を入れすぎないように育て、ジャガーやサル、鳥が暮らせるようにしている。

輪をつくっているのは、残りものの行き先だ。砂糖きびを搾ったあとの繊維、バガスは、蒸留所のボイラーの燃料になる。燃えた灰と、蒸留のあとに残る液は畑に戻し、土を肥やす。蒸留で余った水も畑に返す。樽は新しいものではなく、バーボンを寝かせたあとのアメリカンオークの樽を使う。外箱や中敷きもつけない。蒸留所は、瓶1本あたりの二酸化炭素の排出が、業界の平均の半分に満たないとしている。

働く人の99%が、地元から

公式サイトによると、宿は40を超える地元の取引先と組み、働く人の99%がベリーズ南部の出身だ。マヤの人々がつくる産品も、取引を通じて支える。この地域では政府以外で最大の雇い主で、平均より高い賃金を払うとしている。森の木を切る仕事に代わる、長く続く仕事をつくることも、目標に挙げている。

魚介は地元の漁師が持続可能なやり方でとったものを使い、ベリーズの環境団体「ヤーシェ自然保護トラスト」と組んで、絶滅のおそれのある木を守っている。敷地では、重力で流す雨水の集水とろ過の仕組みを使い、ペットボトルは置かない。家具の一部には、持続可能な形で得た硬い木材を使う。客の1泊ごとに、宿は5ベリーズ・ドルを地域の学校や団体に寄付している。客は、プンタ・ゴルダの病院の小児病棟に必要な品を荷物に入れて持ってくることもできる。

こうした取り組みが認められ、ベリーズ観光局は2025年11月の表彰式で、この宿を「年間グリーン・チャンピオン」と「年間最優秀ホテル」に選んだ。

宿の畑に置き換えると

コパル・ツリーから学べるのは、作物を育てるだけでなく、搾ったあと、使ったあとに残るものの行き先まで決めていることだ。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)。宿の畑でとれる柚子で、自家製のシロップをつくるとする。ソーダ割り1杯500円で年に2,000杯出れば、売り上げは100万円だ。皮は香りづけや入浴剤に使い、搾りかすは堆肥にして畑に戻す。畑と台所と客の一杯がつながれば、果物ひとつを、最後まで宿の中で生かせる。

持ち帰れる知識

  • 作物の残りものの行き先を決めると、畑と台所がひとつの輪になる
  • 搾りかすや残り水も、燃料や肥料として生かせる
  • 土地の歴史にある作物は、宿の物語にもなる
  • 森を切る仕事に代わる仕事をつくることも、森を守ることになる

宿で考えられること

  • 宿の台所で出る搾りかすや皮の行き先を調べてみる
  • 畑の作物を、飲みものや土産にできないか考えてみる
  • 土地の歴史に出てくる作物を、調べてみる

事業・予約への接続

コパル・ツリー・ロッジは、畑を歩き、カカオやコーヒーの育て方を学び、敷地でつくったラムを味わう滞在を、宿の魅力として伝えている。食材の生まれる場所に泊まれることが、食や農に関心のある客にとって、この宿を選ぶ理由になっている。

Sources / 参考情報

  • Copal Tree Lodge(英文) - コパル・ツリー・ロッジ(公式サイト)
    裏付け: 1万6,000エーカーの熱帯雨林のうち1万2,000エーカーを森林伐採から守る、プンタ・ゴルダ、ミシュランのキーなどの評価
  • Copal Tree Lodge(英文) - 私たちの歩み
    裏付け: 600年ごろのマヤ文明、リオ・グランデ川の交通路、1860年代にアラバマとテキサスからの入植者が砂糖きび・牛・ラム、マリー・ルイーズ・ヤングさんが80エーカーの砂糖きびと蒸留所、圧搾機が見学所に残る、2001年に釣りの宿の建設、2005年に海の保全に熱心なトッド・ロビンソン氏が購入、2009年までにベルカンポ・ロッジと改名しその後今の名前へ、17室、オービスが推薦する釣りの宿
  • Copal Tree Lodge(英文) - 有機農園
    裏付け: ベリーズで初めて有機認証を受けた農園、コーヒー・カカオ・砂糖きび・バニラ、食材の多くを農園と菜園から、鶏が1日50〜75個の卵、堆肥と家畜のふん、ニームの油やにんにくの虫よけ、2013年に83エーカーのクリオロ種カカオ、接ぎ木の苗を森の下へ、香辛料、黒と赤の昔からの品種の砂糖きび
  • Copal Tree Lodge(英文) - コパル・ツリー蒸留所
    裏付け: 2018年から、栽培から瓶詰めまで敷地内、バガスをボイラーの燃料に、灰と蒸留の残り液と余った水を畑へ、使い終えたバーボン樽、外箱や中敷きなし、瓶1本あたりの排出は業界平均の半分未満、原料は砂糖きびの汁・雨水・天然の酵母、糖蜜を使わない、単式と連続式の蒸留器、焙煎した有機カカオの粒を漬けたラム、ジャガーやサルや鳥が暮らせる砂糖きび畑
  • Copal Tree Lodge(英文) - 持続可能性 / 地域への貢献
    裏付け: カカオの殻も肥料に、持続可能な形で得た硬い木材の家具、マヤの産品を取引で支える、ヤーシェ自然保護トラストと絶滅のおそれのある木を守る、地元の漁師の持続可能な魚介、木を切る仕事に代わる仕事、ペットボトルを置かない、重力で流す雨水の集水とろ過、40超の地元の取引先、99%がベリーズ南部の出身、政府以外で地域最大の雇い主、平均より高い賃金、1泊ごとに5ベリーズ・ドルの寄付、プンタ・ゴルダの病院の小児病棟への品、2025年のグリーン・チャンピオン
  • Travel Belize(ベリーズ観光局、英文) - ベリーズ観光賞2025のふり返り
    裏付け: 2025年11月の表彰式、コパル・ツリー・ロッジが年間グリーン・チャンピオンと年間最優秀ホテル
  • Breaking Belize News(英文) - ベリーズ観光局が2025年観光賞の表彰式(2025年11月)
    裏付け: ベリーズ観光局の表彰式、コパル・ツリー・ロッジがグリーン・チャンピオンと年間最優秀ホテル

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