各部署から一人ずつ集まる「グリーンチーム」:ベリーズの浜辺の宿「ハマナシ」が、ごみの仕分けから地域の子どもまでを担う方法
中米ベリーズの南部、カリブ海の浜辺にある村ホプキンスの近くに、ハマナシ・アドベンチャー&ダイブ・リゾートがある。カリブ海のサンゴ礁と、マヤ山地の森にはさまれた宿だ。2010年の発表によると、宿は2000年の開業当初から、環境を守ることをいちばんに置いてきた。
その取り組みを動かしているのが、「グリーンチーム」だ。宿のどこか一つの部署ではなく、あらゆる部署から集まった人たちが、宿の環境の決まりごとを日々の仕事に落とし込んでいる。
認証を、チームの目標にした
2010年4月の発表によると、グリーンチームは2007年1月、国際的な持続可能性の認証「グリーン・グローブ」を取ることを最初の目標に掲げた。準備を本格的に始めたのは2009年9月3日で、2010年4月7日に認証を受けた。ベリーズの浜辺の宿で初めての取得だった。
オーナーのダナ・クラウスコフ氏は、うわべだけの環境配慮だと言われないよう、本気で取り組む信頼できる制度に参加したかったと語っている。今の公式サイトによると、宿はその後グリーン・グローブのゴールドの認証を受け、2017年には環境を大切にする独立系の高級宿の集まり「リジェネラティブ・リゾーツ」の創設メンバーになった。
各部署の「声」になる
公式サイトによると、グリーンチームは、各部署から集まったボランティアのスタッフで構成される。メンバーはそれぞれ自分の部署の代表として、宿の環境の決まりが守られているかを確かめる役目を担う。経営陣の後押しを受けて、各部署に新しい取り組みを考えるよう働きかけるのも仕事だ。
チームは週に一度、バーで客向けに短い発表会「グリーン・アワー」を開く。客は、裏側で何をしているのか、これから何をするのかを、メンバーに直接たずねられる。客から新しい案をもらう場にもなっている。
ごみは、仕分けて行き先を決める
公式サイトには、ごみの行き先が細かく書かれている。敷地には分別の表示を付けたごみ箱を置き、すべてのごみをリサイクルと堆肥づくりに仕分けて、埋め立てに回る量を減らす。生ごみや自然に分解されるごみは、1日に100ポンド(約45キロ)以上を堆肥にし、花壇や菜園に戻す。宿の木工所で出る削りくずは、土の乾燥を防ぐ敷きわらの代わりに使う。
返却できないガラス瓶は砕いて、通路やコンクリートの基礎に混ぜて使い直す。使い終えた食用油も、さまざまな形で再利用する。客には繰り返し使えるステンレスの水筒を無料で配り、ペットボトルをなくした。プラスチックのストローは置かず、頼まれたときは地元でつくった竹のストローを出す。発泡スチロールの製品は買わない。仕入れ先にも、宿の環境に配慮した買い方の方針を伝えている。
菜園は、ベリーズの有機農業の団体から有機生産の証明を受けている。自分たちの作物から種をとり、ミミズのふんからできた堆肥で苗を育て、敷地の池の水をまく。
森と浜を残し、地域へ広げる
宿は、海岸の森を残してきた。公式サイトによると、こうした海辺の森は、沿岸の開発で切られやすい、世界で最も脅かされている森の一つだ。浜の満潮線には植物の帯を残し、浜が削られたり、土砂がサンゴ礁に流れ込んだりするのを防ぐ。2010年の発表では11エーカーの自然保護区とあり、今の公式サイトでは、尾根から湿地までを含む26エーカーの保護区を設けている。
チームの活動は、宿の外にも広がる。チームは、マンゴー祭りやホプキンスの日の祭りにも出かけ、取り組みを地域の人に紹介している。ホプキンスの子どもたちの環境クラブには30人を超える子どもが参加し、チームが堆肥づくりや菜園、リサイクルを教えている。学校が始まる前の8月には、客から寄せられた文房具を詰めたかばんを子どもたちに手渡す催しを開く。働く人の97%以上がベリーズ出身で、その多くが周辺の地域から来ている。女性と男性の割合は41対59で、3分の1以上が5年以上働いている。全員が接客や持続可能性、安全と応急手当の研修を受ける。客は予約のときやチェックアウトのときに、自然保護団体ザ・ネイチャー・コンサーバンシーへ寄付でき、全額が団体に届く。
課題を隠さないのも、この宿らしさだ。2010年の発表では、使った水を再利用する仕組みへの投資を計画に挙げていた。今の公式サイトでは、その仕組みは「調査中」と書かれている。
宿のチームに置き換えると
ハマナシから学べるのは、環境の担当を一人や一つの部署に任せず、各部署の中に「声」を置いたことだ。ごみは、出る場所ごとに中身が違う。だから、その場所で働く人が考えるのがいちばん早い。
InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)。フロント、客室、厨房、施設の4つの部署から1人ずつ、月に1回、1時間集まるとする。かかる時間は年に48時間だ。毎回、それぞれの部署で困っているごみを一つ持ち寄り、行き先を一つ決める。1回に一つでも、1年で12のごみの行き先が決まる。
持ち帰れる知識
- 環境の担当を、各部署の中に置くと、取り組みが現場に届く
- ごみは、出る場所ごとに中身も行き先も違う
- 認証は、チームの目標にすると取り組みを進める力になる
- 客に裏側を話す場は、新しい案をもらう場にもなる
宿で考えられること
- 各部署から一人ずつ集まる場をつくってみる
- 部署ごとに、いちばん困っているごみを書き出してみる
- 客に宿の裏側を話す、短い場を設けてみる
事業・予約への接続
ハマナシは、サンゴ礁と森の両方を楽しめる滞在とあわせて、環境への取り組みを客に見せることを、宿の魅力として伝えている。働く人が自分の言葉で取り組みを語れることが、自然を大切にしたい客にとって、この宿を選ぶ理由になる。
Sources / 参考情報
- Hamanasi Adventure & Dive Resort(英文) - 持続可能性
裏付け: 環境の管理の方針、グリーン・グローブのゴールド、ベリーズ観光局が認めたベリーズの浜辺の宿で初めての取得、2017年にリジェネラティブ・リゾーツの創設メンバー、2019年にカリビアン・ジャーナルのグリーン・リゾート賞 - Hamanasi Adventure & Dive Resort(英文) - 環境への意識
裏付け: 海岸の森は最も脅かされている森の一つ、満潮線の植物の帯、尾根から湿地までの26エーカーの保護区、木のなくなった土地に森を戻す、地元の材料の家具と木工所、分別のごみ箱とすべてのごみの仕分け、1日100ポンド以上の堆肥、木工所の削りくず、ガラス瓶を砕いて通路と基礎に、食用油の再利用、ステンレスの水筒、竹のストロー、発泡スチロールを買わない、仕入れ先に方針を伝える、有機生産の証明、自家採種、ミミズの堆肥、池の水で水やり、使った水の再利用は調査中、8月のかばんの催し - Hamanasi Adventure & Dive Resort(英文) - グリーンチーム
裏付け: 各部署のボランティアで構成、部署の代表として決まりを確かめる、経営陣の後押しで新しい取り組みを促す、ホプキンスの環境クラブに30人超、堆肥・菜園・リサイクルを教える、週1回のグリーン・アワー、マンゴー祭りやホプキンスの日の祭り - Hamanasi Adventure & Dive Resort(英文) - 地域とのかかわり
裏付け: 働く人の97%以上がベリーズ出身で多くは周辺の地域から、女性と男性は41対59、3分の1以上が5年以上勤務、全員への接客・持続可能性・安全と応急手当の研修、ザ・ネイチャー・コンサーバンシーへの寄付は全額が団体へ、地元の動物愛護団体への寄付に年1万ベリーズ・ドルまで同額を上乗せ、高校生の実習 - PR Newswire(英文) - ハマナシが、ベリーズの浜辺の宿で初めてグリーン・グローブの認証を取得(2010年4月)
裏付け: 2000年の開業から環境を重視、オーナーのダナ・クラウスコフ氏の発言、11エーカーの自然保護区、使った水の再利用などへの投資計画、2007年1月にグリーンチームの最初の目標に、2009年9月3日に準備開始、2010年4月7日に認証