GOAL 12 · TARGET 12.5 廃棄物・循環経済 3分 / 2026文字 満室でも30人の島 #173

満室でも30人の島に、ごみを持ち込まない:ベリーズの「サッチ・キー」が、水筒と雨水と週に一度の島の掃除で続けること

中米ベリーズの港町ダングリガから、船で9マイル(約14キロ)。カリブ海に浮かぶ細長い島に、サッチ・キー・リゾートがある。公式サイトによると、島の長さはおよそ1マイル。海の上に建つバンガローと海辺の小屋に、一度に泊まれる客は30人までだ。ミシュランガイドによると、客室は15室である。

公式サイトによると、この島は、1961年のハリケーン・ハッティで地形が変わり、3つの小さな島に分かれたココ・プラム・キーの一つだ。宿が正式に開業したのは2015年。ベリーズのサンゴ礁までは4マイル、船で15分ほどの距離にある。島には、ダイビングの指導団体PADIから5つ星の認定を受けたダイビングショップがあり、サンゴ礁でのシュノーケリングやダイビングを案内する。

小さな島では、運び込んだものはすべて残る

本土から離れた島では、持ち込んだものは、使い終えても島に残る。ペットボトルも、包装も、運び出さなければ島のごみになる。だからこそ、最初から持ち込まない工夫が大切になる。

公式サイトの「トラベル・ベター」のページには、島での取り組みが並んでいる。客には一人ひとりに繰り返し使える水筒を渡し、サンゴに害の少ない日焼け止めを無料で用意する。雨水をためる設備を持ち、宿の運営には太陽光の電気を使う。そして、週に一度、島の掃除をする。

よくある質問のページを読むと、水の使い方がよくわかる。島は、保護されたサウス・ウォーター海洋保護区に囲まれている。シャワーや洗面所の水は、ためた雨水と、海水を真水に変える設備を組み合わせてまかなう。飲み水は、客室と共用のラウンジに置いた大きな給水器から注ぐ。客に渡す水筒は、滞在中に使い、記念に持ち帰ってもらう。真水は島でいちばん貴重なものの一つだとして、客にも大切に使うよう呼びかけている。お湯をつくる給湯器は小さく、一度に使えるお湯の量には限りがあるとも、正直に書いている。

宿が属するムヨノ・リゾーツのグループ全体では、これまでに140万本を超えるペットボトルを減らしたとしている。この数字はサッチ・キー1軒ではなく、グループ全体のものだ。

食材は、内陸の農園から

食事は、内陸のカヨ地区にあるグループの農園「ムヨノ・ファームズ」から届く。公式サイトによると、広さは6エーカー(約2.4ヘクタール)で、グループの5つの宿に食材を送っている。育てている果物や野菜、ハーブは400種類を超える。手作業で、自然の力を生かした有機のやり方で育て、水やりには太陽光で動くポンプと、ためた雨水を使う。

旬のものを近くの畑から届けることで、遠くから運ぶ食材とその包装を減らせる。島の宿にとって、届く荷物の中身を変えることは、出るごみを変えることでもある。

1泊ごとに、地域の学校へ

この宿の取り組みは、ごみを減らすことだけではない。公式サイトによると、1室が1泊するごとに、宿は5ベリーズ・ドルを地元の学校や非営利団体に寄付する。客は、チェックアウトのときに同じ額を足して、寄付を倍にできる。

客が文房具などの必要な品を荷物に入れて持ってくる「パック・フォー・ア・パーパス」にも加わっている。寄付の品は地元の子どもや家族に届けられる。慈善団体のオークションには、大きく割り引いた5泊の宿泊を出品し、団体の資金集めを助けている。

グループ全体では、2018年から120万ベリーズ・ドルを寄付し、これまでに300を超える仕事を生み出したとしている。

少ない人数だから、目が届く

公式サイトによると、島では客1人に対して働く人が1人という割合を保っている。満室でも30人の客に、同じくらいの数の働く人がいる。島の暮らしの細かいところまで、目が届きやすい。

ミシュランガイドは、2025年にこの宿を「ミシュランキー」の一つに選んだ。地元のラジオ局ラブFMによると、2026年にも一つのキーを受けている。ミシュランのホテルの評価では、建物と内装、サービス、個性、価格に見合う価値に加えて、周りの地域への貢献も見る。

浜辺の運動場には、流木でつくったバーベルが置かれている。流木も、ここでは運動の道具になる。島の遊びも、海とともにある。カヤックやパドルボード、小さな双胴のヨットは宿泊代に含まれ、浜辺のバーの下には、魚と一緒に泳げる自然の入り江がある。ラブFMによると、同じムヨノ・リゾーツのコパル・ツリー・ロッジも、2026年に一つのミシュランキーを受けた。

宿のごみに置き換えると

サッチ・キーから学べるのは、ごみを出さないために、最初に持ち込むものを変えたことだ。水筒、雨水、近くの畑の食材は、どれも運び込む荷物を減らす。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)。12室の宿の稼働率を70%とすると、年に3,066室泊になる。1室1泊あたりペットボトル2本を、繰り返し使える水筒と給水に置き換えると、1年で6,132本のペットボトルを減らせる。

持ち帰れる知識

  • 島の宿では、持ち込んだものがそのままごみになる
  • ごみを減らす近道は、最初に持ち込むものを変えることだ
  • 近くの畑の食材は、運ぶ距離と包装を減らす
  • 1泊ごとの寄付は、客と一緒に地域を支える仕組みになる

宿で考えられること

  • 宿に届く荷物の中で、いちばん多い包装を調べてみる
  • ペットボトルの代わりに、水筒と給水の場所を用意してみる
  • 1泊ごとの寄付に、客が同じ額を足せる仕組みを考えてみる

事業・予約への接続

サッチ・キーは、満室でも30人という静けさと、海の上の客室を、宿の魅力として打ち出している。泊まることが島と地域を支えることにつながる点が、旅で何かを残したい客にとって、この宿を選ぶ理由になる。

Sources / 参考情報

  • Thatch Caye Resort(英文) - サッチ・キーについて
    裏付け: ダングリガ沖9マイルの私有の島、一度に30人まで、ミシュランキー、1961年のハリケーン・ハッティでココ・プラム・キーが3つの島に分かれた、2015年に正式に開業、サンゴ礁まで4マイル・船で15分、PADIの5つ星のダイビングショップ、客1人に働く人1人、ムヨノ・リゾーツの一員
  • Thatch Caye Resort(英文) - トラベル・ベター / 島の設備
    裏付け: グループで2018年から120万ベリーズ・ドルの寄付、140万本超のペットボトル削減、300超の仕事、1室1泊ごとに5ベリーズ・ドルを学校や団体へ寄付し客が同額を足せる、パック・フォー・ア・パーパス、慈善オークションに割引の5泊、週に一度の島の掃除、太陽光での運営、雨水の集水、無料のサンゴに害の少ない日焼け止め、客ごとの水筒、ムヨノ・ファームズは6エーカーで5つの宿に供給・400種類超・有機のやり方・太陽光の水やりと雨水、流木のバーベル、宿泊代に含まれるカヤック・パドルボード・小さな双胴のヨット、バーの下の自然の入り江
  • Thatch Caye Resort(英文) - よくある質問
    裏付け: 島はサウス・ウォーター海洋保護区に囲まれサンゴ礁まで4マイル、シャワーと洗面所の水は雨水と海水を真水に変える設備、飲み水は客室と共用ラウンジの大きな給水器、客ごとの水筒は記念に持ち帰れる、真水は貴重で大切に使うよう呼びかけ、給湯器は小さくお湯の量に限りがある
  • Thatch Caye Resort(英文) - 公式サイトのトップページ
    裏付け: 長さ1マイルの私有の島、一度に30人まで
  • MICHELIN Guide(英文) - サッチ・キー(ミシュランガイドのホテル)
    裏付け: 15室、一つのミシュランキー
  • Love FM(英文) - ベリーズの5つの宿がミシュランキーに(2026年10月)
    裏付け: 2026年のミシュランキーでサッチ・キーとムヨノ・リゾーツのコパル・ツリー・ロッジが一つのキー、評価は建物と内装・サービス・個性・価格に見合う価値・周りへの貢献

関連する記事