森の宿の畑が、海辺の宿の厨房を支える:ベリーズの「マタチカ」が、余った野菜まで地域へ回す方法
中米ベリーズのカリブ海に、アンバーグリス・キーという細長い島がある。その北の端、サン・ペドロの町から5マイル(約8キロ)北の浜に、マタチカ・リゾート&スパが建つ。公式サイトによると、草ぶき屋根の小さな家とヴィラが33棟並ぶ、大人だけが泊まれる宿だ。
この宿の厨房に届く野菜の一部は、海から遠く離れた内陸の森で育っている。姉妹宿ガイア・リバーロッジの有機菜園だ。2つの宿を結ぶ食べ物の流れは、余った野菜や生ごみの行き先まで考えられている。
弁護士が始めた、家族の宿
公式サイトによると、創業者のダニエル・ライター氏は、カナダのモントリオールで30年以上、検察官、そして弁護士として働いてきた。ホテルを経営したことはなかった。アンバーグリス・キーへの一人でのダイビング旅行から戻ると、土地を探し始め、静かな浜の小さなホテルを買った。それが今のマタチカだ。
その後、ライター氏は内陸のマウンテン・パイン・リッジ森林保護区にあるガイア・リバーロッジを手に入れた。マタチカはサンゴ礁の海、ガイアは森。2つを合わせて「ザ・ライター・コレクション」と呼ぶ。宿は2つ、レストランも2つにとどめ、一人ひとりの客の滞在に責任を持てる大きさを保つという。息子のスティーブン氏は、米国の料理学校で製菓を学び、有名レストラン「フレンチ・ランドリー」などで働いた後、2020年にベリーズへ移り、2つの宿の食事を任されている。
森の畑が、2つの宿を支える
公式サイトによると、ガイアの敷地にある菜園は有機の認証を受け、昔からのマヤの農法で耕されている。とれた野菜は、ガイアのレストランだけでなく、マタチカのレストラン「マンボ」にも運ばれる。
畑の外からも、近くで仕入れる。宿は、内陸のカヨ地区で働く人の家族が営む農園から、直接野菜を買っている。宿はこれを、地域との欠かせないつながりだと考えている。
余った野菜は、お年寄りのもとへ
食べ物の流れは、収穫で終わらない。公式サイトによると、ガイアの敷地では鶏を放し飼いにしている。鶏が見つけなかった生ごみは堆肥にして、2つの宿の植物を育てる土に戻す。
畑で余った野菜は、地元のお年寄りの施設に寄付している。宿は、土地が与えてくれたものを、そこに暮らす人へ返すためだと説明している。とれすぎた野菜を捨てずに、必要とする人に届ける。小さなことだが、食べ物を無駄にしない仕組みだ。
電気も、働く人も、土地のもの
公式サイトによると、ガイアの電気はおよそ4分の3を、ロッジの下を流れるプリバシオン川の水力でまかなっている。別のページでは、太陽光と水力を合わせた、再生可能なエネルギーだけで動いていると説明している。2つの宿はどちらも、持続可能な観光の認証「グリーン・グローブ」を受けている。
ベリーズで働く人は、全員がベリーズの人だ。宿の内装には、ベリーズの硬い木材や手織りの布を使い、カヨ地区やグアテマラの職人の仕上げを取り入れている。カヨ地区のサン・アントニオ村の女性たちの協同組合からも、直接品物を仕入れている。客は、この協同組合を訪ねるマヤ文化の体験に参加し、ユカテク・マヤの手仕事と文化にふれることもできる。マタチカのスパでは、パパイヤやバナナ、コーヒーなど、土地でとれる材料を使った手入れを受けられる。
海辺の宿としてできること
マタチカがあるのは、世界遺産に登録されたベリーズのサンゴ礁の近くだ。宿は、ベリーズの海を守る団体「オセアナ・ベリーズ」と手を組んでいる。2025年には、マウンテン・パイン・リッジで、失われた広葉樹の森を取り戻す植林も始めた。
地域とのつながりも深い。宿は、サン・ペドロの学校ホーリー・クロス・アングリカン・スクールを資金面で支え、働く人たちも教室や校庭でボランティアをする。客は「パック・フォー・ア・パーパス」で、学用品をこの学校などに届けられる。島の暮らしの歴史を伝えるアンバーグリス・キー・エコ博物館とも協力している。予約サイト「カインド・トラベラー」を通じて予約すれば、宿泊代の一部を、確かめられた地元の活動に回すこともできる。マタチカでは、客が浜の掃除に加わることもできる。
ベリーズの地元ラジオ局ラブFMによると、マタチカは2026年のミシュランガイドで一つの「ミシュランキー」を受けた。アンバーグリス・キーの宿が選ばれたのは初めてだという。
宿の畑に置き換えると
マタチカとガイアから学べるのは、畑でとれたものの行き先を、厨房、堆肥、地域の3つに分けて考えたことだ。余りが出ることを前提にすれば、捨てずに済む道を先に用意できる。
InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)。宿の畑で週に30kgの野菜がとれ、そのうち1割が厨房で使いきれずに余るとする。余りは週に3kg、1年(52週)で156kgになる。これを近くの施設や子ども食堂に届け、届けられない傷んだものだけを堆肥に回す。
持ち帰れる知識
- 畑の野菜は、厨房、堆肥、地域の3つの行き先を持てる
- 余りが出る前提で、届け先を先に決めておくと捨てずに済む
- 近くの農家から直接買うことは、地域とのつながりになる
- 2つの宿が1つの畑を分け合うと、とれたものを使い切りやすい
宿で考えられること
- 宿の畑や仕入れで、どれだけ余りが出ているか書き出してみる
- 余った食材を届けられる、近くの施設を探してみる
- 近くの農家から、直接仕入れられるものがないか調べてみる
事業・予約への接続
マタチカは、海辺の静かな滞在と、地元の食材を生かした料理を、宿の魅力として伝えている。森の宿とあわせて泊まれることや、食べ物の行き先まで考えた取り組みが、土地を深く味わいたい客にとって、この宿を選ぶ理由になる。
Sources / 参考情報
- The Lighter Collection(英文) - マタチカ・リゾート&スパ(公式サイト)
裏付け: アンバーグリス・キー北部の大人だけの宿、草ぶき屋根の小さな家とヴィラが33棟、職人の技と持続可能性を取り入れた設計、フレンチ・ランドリーの元シェフを含む厨房、地元の食材、パパイヤ・バナナ・コーヒーを使うスパ、サン・ペドロの北5マイル - The Lighter Collection(英文) - 私たちについて
裏付け: ダニエル・ライター氏はモントリオールで30年以上検察官と弁護士、一人でのダイビング旅行の後に小さなホテルを買いマタチカに、ガイア・リバーロッジを取得、2つの宿と2つのレストランにとどめる、息子のスティーブン氏は料理学校で製菓を学びフレンチ・ランドリーなどで働き2020年から2つの宿の食事を担当、ベリーズの硬い木材と手織りの布、カヨ地区とグアテマラの職人、サン・アントニオ村の女性の協同組合、ガイアの電気の約4分の3をプリバシオン川の水力で、菜園は有機認証でマヤの農法、ベリーズで働く人は全員ベリーズ人、2つの宿ともグリーン・グローブ認証、植林を支える、オセアナ・ベリーズ - The Lighter Collection(英文) - ザ・ライター・コレクションの持続可能性
裏付け: ガイアは太陽光と水力の再生可能エネルギーだけで動く、菜園の野菜をマタチカのマンボ・レストランにも、鶏の放し飼いと堆肥を2つの宿の土に、働く人の家族の農園から直接仕入れ、余った野菜をお年寄りの施設に寄付、2025年に広葉樹の植林を開始、世界遺産のサンゴ礁とオセアナ・ベリーズ、全員がベリーズ人、ホーリー・クロス・アングリカン・スクールへの資金と働く人のボランティア、パック・フォー・ア・パーパス、アンバーグリス・キー・エコ博物館、カインド・トラベラー、サン・アントニオ村の協同組合とマヤ文化の体験、浜の掃除 - Love FM(英文) - ベリーズの5つの宿がミシュランキーに(2026年10月)
裏付け: 2026年のミシュランキーで、アンバーグリス・キーの宿として初めてマタチカが一つのキー