設計は95%以上、今は約92%:ボツワナの「キジェラ・サファリ・ロッジ」が、太陽の光でサファリの宿を動かす方法
アフリカ南部のボツワナに、オカバンゴ・デルタという広い湿地がある。世界遺産に登録された土地だ。その中のモレミ動物保護区に、「キジェラ・サファリ・ロッジ」がある。公式サイトによると、客室は12のスイートと、2つの寝室がある家族用のスイート。2026年には、ミシュランの「キー」を2つ受けた。ボツワナがミシュランガイドに選ばれたのは、これが初めてだという。
このロッジは、太陽の光で動く。この記事では、開業前に示された設計の数字と、今の公式サイトの数字を並べて、電気のない湿地の宿が太陽の光をどう使っているかを見ていく。
たとえば、昼の湿地。木々の陰に並んだ太陽光パネルが電気をつくり、大きな電池にためていく。
設計の数字:95%以上
南アフリカの技術ニュースサイト、エンジニアリング・ニュースの2019年11月7日の記事によると、ロッジの発電の仕組みは、南アフリカの会社「1エナジー」が設計し、取りつけた。
仕組みの中身はこうだ。太陽光パネルは400キロワット。その中心に、テスラの大型の蓄電池「パワーパック」が5台ある。出力は285キロワット、ためられる電気は合わせて1.14メガワット時だ。
記事によると、この仕組みは、ロッジのエネルギーの95%以上をまかなうよう設計された。発電機は、悪い天気が長く続いたときだけ動かす。軽油を年に約17万5,000リットル、二酸化炭素を年に500トン減らせると見積もられていた。軽油で動かさなければ、自然の豊かな土地を通って軽油を運ぶ必要も減る。
発電機は、残しておく
1エナジーの公式サイトによると、この仕組みは2019年12月のもので、電気の通っていない土地で動く。予備として、350キロボルトアンペアのディーゼル発電機2台を持つ。
太陽の光は、天気に左右される。曇りや雨の日が続けば、電池の電気は足りなくなる。だから発電機をなくさず、めったに使わない予備として残す。
数字は、記事によって違う
減らせる軽油の量は、記事によって違う。ボツワナの旅行誌ユア・ボツワナの2026年5月の記事は、工事に関わった技術者の話として、軽油を年に1万9,300ガロン(約7万3,000リットル)減らし、二酸化炭素を約42万1,000トン減らすと伝えている。英国の雑誌カントリー・アンド・タウン・ハウスの2022年12月の記事は、軽油を年に1万6,060ガロン(約6万1,000リットル)、二酸化炭素を約190トン減らすと書いている。どれも、エンジニアリング・ニュースの数字とは大きく違う。どの数字も、開業前の見積もりだということに注意がいる。
今の数字:約92%
開業後、ロッジ自身はどう伝えているのか。公式サイトのサステナビリティのページによると、ロッジは92%を太陽のエネルギーで動かしている。2026年9月24日の公式サイトの記事も、「今、エネルギーの約92%が太陽の光から来ている」と書いている。設計の「95%以上」より少し低い。それでも、ほとんどを太陽の光でまかなっていることに変わりはない。
公式サイトによると、お湯は、空気の熱を使う給湯器でわかす。水は、逆浸透膜という細かい膜でこして、ミネラルを足し直し、ロッジのどこでも飲めるようにしている。使い捨てのプラスチックは使わない。生ごみは、すべて敷地で堆肥にする。
建物は、2年かけて建てた。公式サイトによると、鉄の柱の上に建物を持ち上げ、洪水の水が下を自然に流れるようにした。汚水の設備も、地面の上に置いている。
人と食べ物も、近くから
公式サイトによると、働く人の多くはボツワナの人だ。2026年9月24日の公式サイトの記事によると、ボツワナの国籍を持つ従業員のための信託もある。生鮮食品の90%以上は、約60マイル(約97キロ)離れた町マウンから届く。近くのハブ村の子どもたちには、太陽の光で灯る明かりと、自然を学ぶ教材を配っている。
日本の宿に置き換えると
日本の宿でも、太陽光パネルを取りつけるとき、「電気の何割をまかなえるか」という設計の数字が示される。大切なのは、取りつけたあとに実際の数字をはかり、設計と比べることだ。
InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室・稼働率70%(年5,110室泊)の宿が、1室泊あたり30kWhの電気を使うとする。年間で15万3,300kWhになる。設計では、太陽光で30%の4万5,990kWhをまかない、1kWhあたり30円の電気を買わずにすむ。年137万9,700円、1室泊あたり270円の節約だ。
ところが、実際にはかると27%だったとする。4万1,391kWhで、節約は年124万1,730円。設計との差は年13万7,970円になる。毎月の数字を記録していれば、差に早く気づき、パネルの汚れや影を確かめることができる。
設計と、実際を並べる
キジェラ・サファリ・ロッジは、設計で「95%以上」を目指し、今は「約92%」と伝えている。発電機を予備に残し、お湯や水の仕組みも合わせて工夫する。設計の数字と実際の数字を並べて見ることが、太陽の光を使いこなす第一歩になる。
持ち帰れる知識
- 設計の数字と、実際の数字は違うことがある
- 予備の発電機を残すことで、太陽の光に安心して頼れる
- 電気だけでなく、お湯や水の仕組みも合わせて考える
宿で考えられること
- 太陽光の発電量を、毎月記録してみる
- 設計の数字と実際の数字を、並べて比べてみる
- お湯をわかす仕組みを、見直してみる
事業・予約への接続
キジェラ・サファリ・ロッジでは、太陽の光で動く宿であることが、湿地の自然を守る姿勢として客に伝わっている。数字を正直に示すことが、信頼につながる。
Sources / 参考情報
- Engineering News(英文) - 太陽の光で動く:キジェラ・サファリ・ロッジ(2019年11月7日)
裏付け: 1エナジーが設計し取りつけた、400キロワットの太陽光、テスラのパワーパック5台で出力285キロワット・1.14メガワット時、95%以上をまかなう設計、発電機は悪い天気が長く続いたときだけ、軽油を年に約17万5,000リットル・二酸化炭素を年に500トン減らす見積もり、軽油を運ぶ量も減る - 1Energy(英文) - 事業の実績(公式サイト)
裏付け: 2019年12月、400キロワットの電気の通っていない土地の太陽光、350キロボルトアンペアのディーゼル発電機2台を予備に - Xigera Safari Lodge(英文) - サステナビリティ(公式サイト)
裏付け: 92%を太陽のエネルギーで、空気の熱を使う給湯器、逆浸透膜とミネラルの足し直し、使い捨てのプラスチックなし、生ごみをすべて堆肥に、洪水の水を流す持ち上げた建物、働く人の多くはボツワナの人、ハブ村の子どもに太陽の光の明かりと教材、生鮮食品の90%以上を約60マイル先のマウンから - Xigera Safari Lodge(英文) - ボツワナの誇らしい初めて(公式サイト、2026年9月24日)
裏付け: 2026年にミシュランのキー2つ、ボツワナがミシュランガイドに選ばれたのは初めて、エネルギーの約92%が太陽の光から、従業員の信託、80人を超えるアフリカの作り手 - Xigera Safari Lodge(英文) - 私たちの物語(公式サイト)
裏付け: 2年かけて建てた、鉄の柱の上の建物、地面の上の汚水の設備、使い捨てのプラスチックの禁止 - Xigera Safari Lodge(英文) - ロッジ(公式サイト)
裏付け: 世界遺産の土地、12のスイートと2つの寝室がある家族用のスイート、太陽の光で動く - Your Botswana(英文) - ボツワナのキジェラ・ロッジは、足跡は小さく、影響は大きい
裏付け: テスラの太陽光の仕組みで95%、技術者の話として軽油を年に1万9,300ガロン・二酸化炭素を約42万1,000トン減らす見積もり - Country & Town House(英文) - 今予約したい、持続可能なサファリ(2022年12月)
裏付け: テスラの太陽光の仕組みで95%、軽油を年に1万6,060ガロン・二酸化炭素を約190トン減らす見積もり