GOAL 12 · TARGET 12.3 食品・フードロス・堆肥 4分 / 2202文字 見えたあとに、何を変えたか #214

ソーセージを小さく、皿も小さく:「ホテル・バルセロナ・プリンセス」が、朝食ビュッフェの食品ロスを8か月で63%減らした方法

スペインのバルセロナに、「ホテル・バルセロナ・プリンセス」がある。食品ロスを減らす仕組みを提供する英国の会社ウィノウの事例紹介によると、このホテルは2024年10月、捨てた食べ物を記録する仕組みを入れた。8か月で、食べ物のごみは63%減った。最初の目標は40%だった。

捨てた食べ物をはかる仕組みは、ほかのホテルでも使われている。けれども、はかるだけでは、ごみは減らない。この記事では、捨てたものが見えたあと、ホテルが朝食のビュッフェで何を変えたのかを見ていく。

たとえば、朝食の片づけのあと。料理長が画面を見ながら、翌朝につくる量を決めていく。

ホテルの考え方「プリンセス360°」

ウィノウの事例紹介によると、ホテルは「プリンセス360°」という社会的責任の計画に沿って動いている。環境への影響を減らすこと、働く場から外れやすい人々を雇うこと、客を巻きこむこと、安全で力を発揮できる職場をつくることを掲げている。

計画を率いるのは、ホテル・バルセロナ・プリンセスと、同じ町のネグレスコ・プリンセスの両方を見る総支配人だ。食品ロスの取り組みは、フランスで修業し、このホテルで19年働く料理長と、副料理長が中心になって進めた。

見えたのは、朝食のつくりすぎ

ウィノウの仕組みでは、捨てた食べ物の重さと種類が記録される。そのデータから、ホテルは、特に朝食で多くの食べ物が捨てられていることを見つけた。スクランブルエッグ、ソーセージ、パン、菓子パンのつくりすぎだ。新鮮な食材も、うまく使い切れていなかった。

変えたのは、6つのこと

事例紹介によると、ホテルは次のことを変えた。

1つめ。最も多く捨てられていた品の一つ、大きなソーセージを、小さなひと口サイズに替えた。2つめ。皿を小さくして、客が取りすぎないようにした。3つめ。ビュッフェの専任の係を置き、料理の残り具合を見て、厨房と補充を調整するようにした。

4つめ。余った菓子パンは、地元の非営利団体に寄付する。5つめ。余った朝食の料理は、働く人の食事に回す。6つめ。毎日のデータを見て、翌日につくる量を決める。

パイナップルの芯は、ケーキに

データは、思いがけないごみも見せた。パイナップルの皮のまわりや芯が、驚くほど多く捨てられていたのだ。ホテルは、切り落とした部分を、働く人向けのジュースや、スムージーのもとにした。芯は、朝食のビュッフェに出す手づくりのケーキの材料にした。

料理長は、「資源をうまく使い、傷んだ食材の損を減らし、在庫の管理もよくなる」と話している。事例紹介には、「料理の質も上がった。必要な分だけを使い、食材は新しく、チームははっきりした意図を持って料理する。それは皿の上に表れ、客も気づいてくれる」という言葉も紹介されている。

客にも、呼びかける

厨房だけでなく、客にも呼びかけた。ホテルは2024年、ネグレスコ・プリンセスとともに、「食べ物を愛そう、むだをなくそう」という運動を始めた。ホテルのブログによると、平均的なホテルは、年に2万5,000〜3万3,000キロ、1日に70〜90キロの食べ物を捨てているという。運動では、食事の計画の立て方や、食べられる量だけ取ることなど、簡単な工夫を客に伝える。

事例紹介によると、ホテルはSNSや館内の掲示、ウェブサイトで呼びかけている。ホテルの話として、「ほとんどの客は責任ある行動をとってくれるが、国や文化によって違いがある。だから、こうした呼びかけが大切だ」という言葉も紹介されている。

63%を、読み解く

事例紹介によると、成果は年に換算して、食べ物のごみ8.5トン、食材の費用2万2,700ユーロ、二酸化炭素に換算して36.4トン、2万1,000食分にあたる。

これを割ってみる。2万1,000食分を8.5トンで考えると、1食分は約0.4キロだ。食材の費用は、1キロあたり約2.67ユーロになる。数字を1食や1キロに直すと、厨房の毎日の行動と結びつけやすい。

ウィノウのホテル向けのページによると、ホテルやリゾートの厨房は、ふつう、買った食べ物の5〜15%を捨てている。ウィノウは、2013年に創業し、94か国の3,500か所を超える厨房で使われている。

日本の宿に置き換えると

日本の宿でも、朝食のビュッフェでは、見栄えのために多めに並べ、終わりに残りを捨てることが多い。はかって見えるようにしたら、次は「何を変えるか」を決める番だ。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室・稼働率70%(年5,110室泊)の宿で、1室泊あたり1.8人が朝食をとるとする。年9,198食だ。1食あたり80グラムが捨てられているなら、年735.84キロになる。

ここで、取りすぎを防ぐ皿の大きさ、補充の係、翌日の量の見直しで、40%減らせたとする。年294.336キロのごみが減る。捨てていた食べ物の仕入れの値段を1キロあたり1,000円とすると、年29万4,336円だ。1食あたりでは約32円になる。

見えたら、変える

ホテル・バルセロナ・プリンセスは、捨てたものを記録して、朝食のつくりすぎを見つけた。そして、ソーセージと皿を小さくし、専任の係を置き、パイナップルの芯をケーキに変えた。はかることは始まりで、何を変えるかを決めて動くことが、食品ロスを減らす力になる。

持ち帰れる知識

  • はかって見えるようにしたあと、何を変えるかが大切
  • 皿の大きさや料理の大きさで、取りすぎを防げる
  • 客への呼びかけも、厨房の工夫を支える

宿で考えられること

  • 朝食で、何が多く捨てられているか調べてみる
  • 皿や料理の大きさを、見直してみる
  • 余った料理の行き先を、決めておく

事業・予約への接続

ホテル・バルセロナ・プリンセスでは、食品ロスを減らしたことで、食材が新しくなり、料理の質が上がったと伝えている。ごみを減らすことが、客の満足にもつながっている。

Sources / 参考情報

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