4.6トンから8.9トン、幅のある答え:ドイツの「モーテル・ワン・アーヘン」が、259室のごみ箱を三つに分けた3か月
客室のごみ箱は、たいてい一つだ。客が捨てたペットボトルも紙も、まとめて「燃えるごみ」や「その他のごみ」になる。
ドイツ西部の町アーヘンにある「モーテル・ワン・アーヘン」は、2026年3月から5月までの3か月、259室すべてのごみ箱に、分けるための仕切りを入れる試みをした。世界自然保護基金(WWF)のドイツ支部と、ハンブルクのキューネ物流大学が、ホテルの会社と組んで調べた試みの一つだ。報告書は2026年9月17日に公表された。
裏の部屋では、もう分けていた
WWFドイツの報告書によると、この宿では2025年の初めから、ごみを五つに分けていた。燃やすごみなどの「残りのごみ」、軽い包装、紙、ガラス、食べ残しだ。ただし、それは事務所や裏の作業場だけで、客室では残りのごみしか集めていなかった。裏ですでに分ける仕組みがあったことが、この宿が選ばれた理由だった。
前の年の2025年には、ケルンのホテルの一つの階で、一部の部屋に仕切りを入れる小さな試みをしていた。そこで分かったのは、最初のうちは、清掃の人にもっと付きそうと、正しく分けられるということだった。
準備したこと
報告書によると、準備は次のとおりだった。
- 客室:今あるごみ箱に、印をつけた三つの仕切り(残りのごみ、プラスチック、紙)を入れた。全室の取りつけは、営業しながら数日で終わった
- 清掃のワゴン:分けた袋をぶら下げずに済むよう、いくつにも仕切った入れものを新しく作って買った
- 研修:全員に約45分の研修をした。外から来る清掃の人の多くがドイツ語を話さないので、英語、アラビア語、ロシア語などで、絵を多く使った
- 客:エレベーターのポスターで知らせた
4.6トンと8.9トン、二つの計算
この宿では、2025年に28.2トンの残りのごみが出ていた。試みを始めた2026年3月から、残りのごみははっきり減り、軽い包装が増えた。そこで試みの終わる5月末に、残りのごみの回収箱を一つ減らし、軽い包装の箱を一つ増やした。
1年でどれだけ減るかについて、報告書は二つの数字を出している。
- 回収の会社が作った予定の回収量をもとにした、控えめな計算:年に約4.6トン
- 2025年の実際の回収の回数(追加の回収を含む)をもとにした計算:年に最大8.9トン
1室あたりでは18〜34キロになる。幅があるのは、箱がどれだけいっぱいだったかや、追加の回収の回数が、ホテルの混み具合で変わるからだ。報告書は、回収の量や回数は、実際の重さと直接は結びつかず、データを集めるのが難しかったとも書いている。28.2トンと比べると、4.6トンは約16%、8.9トンは約32%にあたる。
費用は約31.5%減、かかったのは約5,300ユーロ
報告書によると、回収箱を替えたことで、残りのごみの処理の費用は、年に約31.5%減る見込みだ。軽い包装の箱は、自治体の回収の仕組みで無料になる見込みなので、増える費用はない。業界のニュースでは「約30%」と丸めて伝えられている。
最初にかかった費用は約5,300ユーロ。客室の仕切りが約2,800ユーロ、清掃のワゴンの入れものが約2,500ユーロだった。研修は通常の勤務時間の中で行ったので、別の費用はかかっていない。外の清掃会社への支払いも増えなかった。
客は迷わず、課題は別にあった
報告書によると、客から目立った苦情はなく、細かい説明がなくても、客は直感で分けていた。清掃の人も、仕切りを空にして拭く作業を、いつもの流れに組み込めた。担当者が最初の数日、階をまわって付きそった。
課題として挙がったのは、次のようなことだ。
- 特注の仕切りの開発と調達に、予定より時間がかかった
- 回収の箱を増やす手続きが、自治体の決まりや、建物の持ち主と借り手の関係で違い、時間がかかる
- 分けると、1つの袋に入るごみが少なくなる。小さい袋に替えないと、袋のプラスチックが無駄になる
モーテル・ワンのグループで持続可能性を担当するフェルナー氏は、ホテル業界のニュースで「残りのごみが減って費用が下がる見込みと、環境への利点。しかも、ホテルの運営の手間はわずかしか増えない。それで、試みの期間が終わってすぐに、アーヘンで続けると決めた」と話している。分別は、期限を決めずに続けている。
日本の宿に置き換えると
日本では、事業所のごみの分け方や処理の費用は、自治体や契約する業者によって違う。まず、自分の宿の決まりを確かめたい。
InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室の宿が、客室から出る燃えるごみのうち、ペットボトル、缶、紙を分けることで、燃えるごみを年に1.2トン減らせたとする。処理の費用が1キロ35円なら、年に4万2,000円だ。1室に3,000円の仕切りを入れると6万円で、約1年5か月で元が取れる。資源ごみの回収に費用がかかる場合は、その分を差し引く。
幅のある答えを、そのまま出す
モーテル・ワン・アーヘンの報告書は、「4.6トン」と言い切らず、「4.6〜8.9トン」と幅で示し、その理由も書いた。重さを直接はかれないとき、控えめな数字と多めの数字を並べるのは、正直な伝え方だ。次に広げるときは、初日から種類ごとにごみの量を記録するよう勧めている。
持ち帰れる知識
- 回収の量や回数は、重さと同じではない。幅で示すと誤解が少ない
- 裏の作業場で分ける仕組みがあると、客室に広げやすい
- 清掃の人への研修は、言葉より絵が伝わる
宿で考えられること
- 客室のごみの中身を、1日分だけ分けて重さをはかってみる
- 自治体や業者に、資源ごみの回収の条件と費用を聞く
- 清掃のワゴンに、分けた袋を置く場所をつくる
事業・予約への接続
アーヘンでは、エレベーターのポスターで客に分別を知らせ、客は説明がなくても分けていた。客室の分別は、客が自分の手で参加できる取り組みとして伝えられる。
Sources / 参考情報
- WWF Deutschland(独文) - ホテル業界の循環経済:実際に試した循環の方法(報告書)(2026年)
裏付け: 2026年3月1日〜5月31日、2025年初めから裏で五つに分別、ケルンの前の試み、三つの仕切り、数日で取りつけ、ワゴンの入れもの、約45分・多言語・絵の研修、エレベーターのポスター、2025年の残りのごみ28.2トン、箱を1つ減らし1つ増やす、4.6トンと最大8.9トンの二つの計算、1室18〜34キロ、約31.5%、約5,300ユーロ(2,800と2,500)、苦情なし、課題(調達、自治体、データ、袋の大きさ)、期限を決めずに継続 - WWF Deutschland(独文) - ホテル業界の循環経済(2026年9月17日)
裏付け: WWF、キューネ物流大学、レオナルド・ホテルズ、モーテル・ワンの共同の試み、アーヘンで仕切りにより残りのごみが減った - Tageskarte(独文) - ホテルが営業しながら循環経済を試す(2026年9月17日)
裏付け: 報告書の公表は2026年9月17日、259室、4.6〜8.9トン、1室18〜34キロ、約31.5% - Tophotel(独文) - モーテル・ワンが循環経済を試す(2026年9月)
裏付け: 年に平均4.6トン、費用は約30%減、フェルナー氏の言葉 - HOGAPAGE(独文) - ホテル業界の循環経済は機能する(2026年9月17日)
裏付け: アーヘンの仕切りの試み、約30%、フェルナー氏の言葉