GOAL 12 · TARGET 12.5 廃棄物・循環経済 3分 / 2016文字 行き先まで追う型 #261

生ごみを「水にする」機械は、どこへ流すのか:米チャールストンの「スペクテイター・ホテル」の6万1,000ポンドと、下水という行き先

米国サウスカロライナ州のチャールストン。古い街並みが残る中心部の、シティ・マーケットとフレンチ・クオーターが交わる角に、小さな高級ホテル「スペクテイター・ホテル」がある。

このホテルは2018年、食べ残しを埋め立てに回さない取り組みを始めた。使っているのは、敷地の中に置いた「ダイジェスター」と呼ばれる機械だ。生ごみを入れると、微生物が分解して液体にする。この記事では、ホテルが公表した数字を読み、分解された生ごみがどこへ行くのかを追ってみる。

微生物が、生ごみを液体にする

ホテル業界の専門メディア「ホテル・ダイブ」は、2023年9月8日の記事でこの機械を紹介している。

  • 2018年から、リクープ・テクノロジーズ社のダイジェスターを使っている
  • 従業員が、食べかけの料理を機械に入れる。機械の中の生きた微生物が分解し、水に変える。その水は下水に流れる
  • 従業員は、生ごみをリサイクルの品や普通のごみと分けておき、1日を通して、たまった生ごみを機械に「食べさせる」

総支配人のカルロ・カロッチャ氏は、「堆肥づくりに似ているが、土ではなく水をつくる」と話し、費用の小さな投資で、ホテルの運営に大きな違いが生まれたと述べている。

チャールストンの観光局が2021年3月2日に公開した案内でも、果物やペストリーなどの食べかけを機械に入れていると紹介されている。

二つの時点の数字

ホテルの数字は、二つの記事に出てくる。

  • 2021年3月の観光局の案内:2018年8月から、3万1,000ポンド(約14トン)以上を埋め立てに回さず、2,670ガロン(約1万100リットル)以上の水をつくった
  • 2023年9月のホテル・ダイブ:6万1,000ポンド(約27.7トン)以上を埋め立てに回さず、5,000ガロン(約1万8,900リットル)以上の水をつくった

二つの記事のあいだは約2年半で、その間に約3万ポンド増えている。単純に割ると、1年に約1万2,000ポンド(約5.4トン)、1日に約15キログラムになる。ただし、記事の日付は掲載の日で、いつまでの量を数えたのかは書かれていない。目安として読みたい。

「埋め立てを避けた」生ごみは、下水へ行く

ここで考えたいのは、分解された生ごみの行き先だ。ホテルの説明では、「再利用できる水」は下水に流れる。ホテルの中で使い直すわけではない。

米国の環境保護庁(EPA)は2023年10月、食べ物のごみの扱い方を、環境への影響の順に並べた「ウェイステッド・フード・スケール」を出した。最も良いのは、食べ物のごみを出さないこと。その次が、寄付や、食べ物として作り直すことだ。

一方、いちばん下の段には、埋め立て、焼却と並んで、「下水に流す」が置かれた。EPAの報告書は、下水に流した食べ物は、ほかの汚水と一緒に処理場で処理されると説明し、下水道の中を運ばれる間にメタンが漏れることなどから、埋め立てと並んで排出が大きいとしている。報告書は、この「下水に流す」に、事前に砕くなどの処理をしたものも含めている。

この定義に当てはめると、生ごみを分解して下水に流す機械も、同じ段に入ると読める。「埋め立てを避けた」ことと、「環境への影響が小さい行き先を選んだ」ことは、同じではない。

日本では、下水に流す前に確かめる

日本の宿で同じことを考えるなら、まず下水道のルールを確かめたい。国土交通省の2005年の資料によると、生ごみを砕いてそのまま下水に流す「ディスポーザー」は、処理槽のついたものを除き、ほとんどの自治体が制限したり、使わないよう求めたりしてきた。東京23区では、条例の規程によって、処理槽のついたシステム以外のディスポーザーは設置できない。

機械の仕組みはちがっても、生ごみを下水に流すという点では、同じ問いになる。入れる前に、自治体の下水道の担当に相談するのが確かだ。

日本の宿に置き換えると

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、20室の宿で、朝食の食べ残しと下ごしらえのくずが1日9キログラム出るとする。1年で3,285キログラムだ。

  • 堆肥の施設に回す:回収の費用が1キログラム40円なら、年13万1,400円
  • その前に減らす:作りすぎを見直して3割減らすと、1日2.7キログラム、年985.5キログラムが減る。捨てていた食材の値段を1キログラム600円とすると、年59万1,300円

この仮定では、どの機械や行き先を選ぶかより、量を減らすほうが金額は大きい。

行き先まで書く

スペクテイター・ホテルは、2018年から5年ほどで、6万1,000ポンドの生ごみを埋め立てから外した。毎日の作業に無理なく組み込めたのは、学べる点だ。

それでも、「埋め立てを避けた」という数字だけでは、生ごみがどこへ行ったのかは分からない。生ごみの取り組みを伝えるときは、量と一緒に、行き先も書いておきたい。

持ち帰れる知識

  • 「埋め立てを避けた」量は、行き先を示していない
  • EPAの2023年の順位では、下水に流すことは、埋め立てや焼却と同じいちばん下の段にある
  • 日本では、生ごみを下水に流す機器に自治体のルールがある

宿で考えられること

  • 生ごみの量を1週間はかり、まず減らせる分を探す
  • 生ごみの行き先(堆肥、飼料、焼却、下水)を書き出す
  • 生ごみ処理の機械を考えるときは、自治体の下水道の担当に先に相談する

事業・予約への接続

生ごみの取り組みは、量の数字だけでなく、どこへ行き、何になったのかまで書くと、読む人に伝わりやすい。堆肥になって野菜を育てたのか、下水で処理されたのか。行き先を正直に書くことが、取り組みの信頼につながる。

Sources / 参考情報

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