GOAL 12 · TARGET 12.5 廃棄物・循環経済 3分 / 2008文字 内訳を読む型 #265

「埋め立てない99.9%」の中身:英ウィットブレッドの4.5万トンの内訳と、ごみの8割を焼く日本

「ごみの99.9%を埋め立てていません」。ホテル会社の報告書で、こうした数字を見ることがある。ほとんどのごみが資源になっているように聞こえるが、その中身は、内訳を見るまで分からない。

英国でホテルチェーン「プレミア・イン」などを運営するウィットブレッドは、2022/23年度の報告書で、英国の事業で出たごみの99.9%を埋め立てなかったと書いている。同じページに、ごみの種類ごとの重さも載っている。この記事では、その内訳を読み、日本のごみの処理と比べてみる。

4.5万トンの内訳

報告書の内訳を並べると、次のとおりだ。

  • 一般ごみ(焼いて、熱や電気として回収):41%、1万8,736トン
  • ガラス(リサイクル):22%、1万107トン
  • 食品とコーヒー(リサイクル):19%、8,638トン
  • 混合の資源ごみ(リサイクル):13%、5,935トン
  • 段ボール・木・紙(リサイクル):2%、1,045トン
  • 使用済みの食用油(リサイクル):2%、750トン
  • 一般ごみ(埋め立て):17トン

合わせると約4万5,000トン。埋め立ては17トンで、全体の0.04%にあたる。報告書の巻末の表には、埋め立てなかった割合として99.96%とある。

リサイクルは合わせて58%。残りの41%は、焼いてエネルギーを取り出す処理だ。つまり、「埋め立てない99.9%」の4割は、燃やしている。

「埋め立てない」と「リサイクル」はちがう

ここで、二つの数字を分けておきたい。

  • 埋め立てない割合:埋め立て以外の方法で処理した割合。焼いてエネルギーを取り出す処理も含む
  • リサイクルの割合:資源として再び使った割合

ウィットブレッドの報告書は、二つを両方書いている。翌年度の2023/24年度の報告書では、埋め立てない割合が100%、リサイクルは57%だった。

#237 で紹介した、ごみゼロの認証「TRUE」は、焼却とエネルギー回収を「埋め立てない」側に数えない。同じ「埋め立てない」でも、どこまでを数えるかで数字は大きく変わる。

客室にも、分別の箱を置いた

ウィットブレッドは、2022/23年度に、英国の客室でリサイクルを始めた。客に、リサイクルできるごみを分けてもらう仕組みだ。50を超える拠点で試したところ、客室から出たごみの約45%がリサイクルされたという。

一方、食品の廃棄は、2018/19年度に比べて11.8%の削減にとどまる。目標は2030年までに半分だ。リサイクルの割合が高くても、出るごみそのものを減らす取り組みは、別に必要になる。

日本のごみは、8割が焼かれている

日本では、どうだろうか。環境省によると、2023年度に全国の市町村が処理したごみ(家庭と事業所から出る一般廃棄物)のうち、直接埋め立てたのは0.8%だった。

  • 直接焼却:総処理量の80.3%(3,024万トン)
  • リサイクル率:19.5%
  • 最終処分(埋め立て):316万トン
  • 埋め立て地の残りの年数:24.8年

直接埋め立てたのは0.8%だけで、ウィットブレッドの数字に近く見える。ただし、焼いた後の灰などは埋め立てられるため、最終処分は316万トンある。焼くことが多い日本では、「埋め立てない割合」よりも、リサイクルの割合と、出る量そのものを見るほうが、取り組みの差が分かりやすい。

生ごみ1日5トンを、堆肥の原料に

日本のホテルにも、焼かずに資源に戻している例がある。東京のホテルニューオータニには37のレストランと33の宴会場があり、生ごみは1日約5トン出る。

ホテルは1999年に、生ごみを堆肥の原料にするプラントを入れた。120℃の蒸気で温めながらかき混ぜ、水分を飛ばし、異物を取り除くと、容積は5分の1になる。原料は契約農家が買い取り、その農家で育った野菜や穀物を、ホテルが従業員の食堂やSDGsメニューの材料として仕入れている。日本庭園やバラ園の肥料にも使っている。

日本の宿に置き換えると

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、レストランのある宿から、ごみが年12トン出るとする。内訳は、生ごみ4.5トン、瓶と缶2トン、紙1.5トン、そのほか4トンだ。

  • すべてを燃えるごみとして出すと:直接の埋め立ては0トン。「埋め立てない割合」は100%だが、リサイクルは0%
  • 生ごみ、瓶と缶、紙を分けて資源に回すと:リサイクルは8トンで、約67%。燃やすのは4トンで、約33%

「埋め立てない割合」はどちらも100%で変わらない。差が出るのは、リサイクルの割合だ。

割合の名前を確かめる

ウィットブレッドの99.9%は、うそではない。ただ、その4割は燃やしている。報告書は、そのことを内訳とリサイクルの割合で、きちんと示していた。

宿でごみの数字を出すときも、「何に対する何の割合か」を書き添えたい。それが、数字を信じてもらうための第一歩になる。

持ち帰れる知識

  • 「埋め立てない割合」には、焼いてエネルギーを取り出す処理も含まれることがある
  • リサイクルの割合と並べると、取り組みの中身が見える
  • 日本のごみは8割が直接焼却。埋め立てない割合だけでは差が出にくい

宿で考えられること

  • ごみを種類ごとに量り、内訳を一度記録する
  • 「埋め立てない割合」ではなく、リサイクルの割合と出る量を目標にする
  • 客室に分別の箱を置くなら、何を分けてほしいかを短く示す

事業・予約への接続

ごみの取り組みを伝えるときは、割合の名前と内訳を一緒に出すと、数字の重みが伝わる。生ごみを堆肥にして野菜に戻す流れは、食事の場面でも客に伝えられる話になる。

Sources / 参考情報

  • Whitbread(英文) - ESG報告書 2022/23(PDF)(2023年5月)
    裏付け: 英国の事業のごみの99.9%を埋め立てず(巻末の表で99.96%)、リサイクル58%、種類ごとの内訳(一般ごみ・エネルギー回収41% 1万8,736トン、ガラス22% 1万107トン、食品とコーヒー19% 8,638トン、混合の資源ごみ13% 5,935トン、段ボール・木・紙2% 1,045トン、食用油2% 750トン、埋め立て17トン)、客室のリサイクルの導入、50超の拠点の試験で約45%、食品の廃棄は2018/19年度比11.8%減、2030年までに半減の目標
  • Whitbread(英文) - ESG報告書 2023/24(PDF)(2024年5月)
    裏付け: 英国の事業のごみの100%を埋め立てず、リサイクル57%
  • GBCI(英文) - TRUE認証の対象になるか
    裏付け: 12か月の平均で90%以上を埋め立て・焼却・環境から転換、焼却とエネルギー回収は転換に数えない
  • 環境省 - 一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度)について(2025年3月27日)
    裏付け: 直接埋立率0.8%、リサイクル率19.5%、最終処分量316万トン、残余年数24.8年
  • 環境省 - 一般廃棄物処理事業実態調査の結果(令和5年度)について(PDF)(2025年3月)
    裏付け: 直接焼却された量は3,024万トン、直接焼却率はごみの総処理量の80.3%
  • ホテルニューオータニ(東京) - 食品ロス実質ゼロを叶える「コンポストプラント」
    裏付け: 37のレストランと33の宴会場、生ごみ1日約5トン、1999年に導入、120℃の蒸気、5分の1の容積の堆肥原料、契約農家が買い取り、従業員の食堂とSDGsメニュー、日本庭園とレッドローズガーデンの肥料

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