GOAL 12 · TARGET 12.3 廃棄物・循環経済 3分 / 2095文字 分母を確かめる型 #287

「料理の25%」と「材料の25%」は同じではない:バリのデサ・ポテトヘッドが掲げた「アップサイクル・メニュー」の目標を読み分ける

インドネシア・バリ島のスミニャックにある「デサ・ポテトヘッド」は、ホテルと飲食店と文化施設が集まる「村(デサ)」だ。ここでは2025年、敷地の中の6つのレストランとバーで、「アップサイクル・メニュー」という取り組みが進められた。厨房で出る副産物、つまりふつうなら捨てられる部分を、料理や飲み物の材料に作り変える。

目標は「2025年の終わりまでに25%」。ところが、この25%が何の25%なのかは、記事によって書き方がちがう。この記事では、その「分母」を確かめながら、取り組みを読んでいく。

4つの書き方

2025年の4本の記事は、同じ目標を次のように書いている。

  • シンガポールの経済紙「ビジネス・タイムズ」(4月23日):料理(dishes)の少なくとも25%を、敷地の副産物から作る
  • マレーシアの雑誌「ザ・ピーク」(4月11日):メニュー(menus)の25%を、副産物で作る
  • 米国の旅行誌「アファー」(5月27日):敷地全体のレシピに使う食べ物(food used in recipes)の25%を、作り変えた残りものにする
  • バリの食と旅の情報サイト「バリ・フード・アンド・トラベル」(7月11日):材料(ingredients)の25%を、副産物から調達する

「料理の25%」なら、皿の数で数える。「材料の25%」や「食べ物の25%」なら、重さや量で数えることになる。同じ25%でも、意味する量は大きくちがう。

どの記事も、目標として書いている。2025年の終わりに25%を達成したかどうかは、この記事を書いた時点で、確かな資料を見つけられなかった。

何が材料になったか

ビジネス・タイムズとアファーは、具体的な例を伝えている。

  • ジュースを搾った後のしょうがのかすを、ジンジャービアやシロップ、地元の蒸留酒アラックのカクテルに使う
  • パン工房で余った卵白を、うま味のあるしょうゆ風のたれにする
  • 魚のうろこを、レストラン「イジェン」でせんべい(クラッカー)にする
  • 前の日の朝食のサワードウを、米こうじの力で発酵させ、「ドーム」で焦がしパンのコンブチャにする。焼いて発酵させたパンは、みそにもする
  • スイカの皮を、インドネシア料理の「カウム」でピクルスにし、エビの炭火焼きに添える
  • コーヒーをいれた後の粉を、バーのリキュールやコンブチャに使う

研究開発の料理人フェリックス・シェーナー氏は、ビジネス・タイムズに、ミシュランの星付きの店で働き、どれほど多くの食べ物が捨てられるかを見てきたと話している。

客は気づかなくてもいい

2025年7月23日のザ・ピークの記事で、サステナビリティの責任者アマンダ・マルセラ氏は、「客は、アップサイクルされたものを食べていると気づかないことが多い。それはわざとだ。サステナビリティは、楽しさを犠牲にしてはいけない」と話している。

同じ記事によると、ポテトヘッドは110人を超える地元の農家と組み、研修や資材を提供し、作物を買い取る約束をして、有機の農業に移るよう後押ししている。

島のごみと、ホテルの責任

ビジネス・タイムズによると、マルセラ氏は報道陣を、2,000平方メートルのごみの処理施設に案内した。マルセラ氏の説明では、バリ島では1年に160万トンのごみが出て、そのうち約12%がホテルや事業者から出る。観光客は、地元の人の3.5倍のごみを1日に出すという。

マルセラ氏は「私たちは観光の経済の一部だ。自分たちが生んでいる問題の解決を、手伝わなければならない」と話している。ポテトヘッドは2024年の終わりに、地域のホテルや飲食店など7つの協力先のごみを集めて分ける取り組みも始めた。生ごみは養豚場や堆肥に回るという。

埋め立ては0.5%

インドネシアの雑誌「ハーパーズ・バザー・インドネシア」の2026年8月17日の記事によると、デサ・ポテトヘッドは2025年に、埋め立てに回るごみを0.5%まで減らした。2026年の終わりまでに、有機の産品を75%にする目標も掲げている。

同じ記事は、2017年に開いたイジェンが、2026年に浜辺の店として新しくなったことも伝えている。ごみを5つに分け、貝殻を肥料にしているという。

日本の宿に置き換えると

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、ある宿のレストランが、1日に料理を120皿出すとする。

  • 1皿の材料を300gとすると、1日の材料は36kg
  • 120皿のうち30皿(25%)に、副産物を1皿15gずつ使う
  • 副産物は1日450g。材料36kgのうち約1.25%

同じ宿で「材料の25%」を目指すなら、1日9kgの副産物を使うことになる。皿の数の25%と、重さの25%では、20倍の差がある。どちらがよいかではなく、どちらで数えているかを分けて伝えることが大切だ。

数え方を先に決める

宿で同じ取り組みをするなら、まず「皿の数で数えるのか、重さで数えるのか」を決めるとよい。皿の数は客に伝わりやすく、重さは捨てる量の変化とつながる。両方を記録すれば、取り組みの広がりと深さが両方見える。

持ち帰れる知識

  • 「25%」は、皿の数なのか、材料の重さなのかで意味が変わる
  • 目標と達成は分けて読む
  • 副産物の料理は、客が気づかないほどおいしくすることもできる

宿で考えられること

  • 捨てている副産物を一つ選び、使い道を試す
  • 副産物を使った皿の数と、使った重さの両方を記録する
  • まかないで試してから、客の料理に出す

事業・予約への接続

副産物から生まれた一品は、宿の料理の物語になる。数え方をはっきり書いておけば、紹介するときにも誤解を招かない。

Sources / 参考情報

関連する記事