GOAL 12 · TARGET 12.3 廃棄物・循環経済 3分 / 2088文字 1軒の数字と平均を並べる型 #290

1台の計量器で「60%減」と、12軒の「平均22%」:クロアチアの島のホテル「TUI BLUE カラモタ・アイランド」の食品ロスの数字を、平均と並べて読む

クロアチアの港町ドブロブニクの沖に、車の走らない小さな島コロチェプがある。ここに、TUIグループのホテルブランド「TUI BLUE」の「カラモタ・アイランド」が建つ。大人だけが泊まれる、144室のオールインクルーシブ(食事や飲み物が料金に含まれる)のホテルだ。

このホテルは2024年から、スイスの会社「キトロ(KITRO)」の、捨てた食べ物を自動で量って写真に撮る機器を1台使っている。キトロのサイトによると、測り始めて最初の12か月で、食品ロスが60%減った。この記事では、この「1軒の数字」を、同じブランドの「12軒の平均」と並べて読んでいく。

島のホテルの食事

ホテルの公式サイトによると、館内にはレストランが2つある。リゾートのサイトは、地元の料理から着想を得たビュッフェや、アラカルトの料理、ビーガンやベジタリアンの料理を紹介している。

島へは船で渡る。オールインクルーシブのビュッフェは、客がいつ、何を、どれだけ食べるかが読みにくい。料理を切らさないように多めに作れば、残りが出やすい。

キトロの機器のしくみ

キトロの機器「TARE(テア)」は、ごみ箱を秤の上に置き、上からカメラで撮るものだ。キトロのビュッフェの手引きによると、食べ物が捨てられたその瞬間に、AIが何を捨てたかを見分け、重さを量る。厨房の人は、いつもどおり働いていればよい。手引きは、手で記録する方法では、忙しい時間ほど記録する余裕がなくなり、捨てる量が最も多いときのデータが最も弱くなると指摘している。キトロの製品のページによると、画面では、食べられる部分と食べられない部分の内訳や、時間帯ごとの内訳、客1人あたりの量を見られる。

1軒の数字:最初の12か月

キトロの料金のページは、「測り始めて最初の12か月」の結果として、4軒のホテルの数字を並べている。カラモタ・アイランドの欄はこうだ。

  • 使った機器:1台
  • キトロと組んだ年:2024年
  • 食品ロスの削減:60%
  • 節約できた食材の費用:3万6,201ユーロ
  • 投資利益率:572%

同じページには、機器5台のチューリッヒ・マリオット(26%減)、1台のパーク・ハイアット・チューリッヒ(16%減)なども並んでいる。60%は、この4軒の中で最も大きな削減だ。

12軒の平均:22%

キトロのTUI BLUEの事例のページによると、TUI BLUEは2023年からキトロと組み、14のホテルで37台の機器を使っている。TUIグループは、2030年までに食品ロスを25%減らす目標を掲げている。

ページによると、キトロと組む前のTUI BLUEの厨房は、作りすぎを勘に頼って管理していた。料理ごとのデータがないため、ビュッフェの並べ方そのものが、知らないうちに捨てる量を増やしていたという。

グループの総料理長シュテファン・ニーチェ氏は、「キトロは、使いやすい機器とソフトで、チームが捨てる量を意識するのを助けてくれる。グループ全体の目標を立て、分かったことを具体的な行動に変えられる」と話している。

同じページは、12か月を超えて測った12軒の平均として、1軒あたり1年で次の結果を示している。

  • 食べられる部分の廃棄の削減:22%
  • 節約:2万7,572ユーロ
  • 節約できた時間:1年で214時間
  • 投資利益率:250%

つまり、カラモタ・アイランドの60%は、同じブランドの平均の2倍を大きく超える。平均は、大きく減ったホテルと、あまり減らなかったホテルを合わせた数字だ。

もう1軒:マラケシュのホテル

同じページは、モロッコ・マラケシュの「TUI BLUE メディナ・ガーデンズ」も紹介している。機器は1台で、2024年から使い、1年で63%減、14万9,650ユーロの節約だという。

この厨房でうまくいったこととして、ページは3つを挙げている。

  • データを見て、作る量を減らし、必要なところで1人分を小さくした
  • 終わりのころによく残る料理を、ビュッフェから外し、アラカルトで出すようにした
  • 終わりの時間が近づくと、すべての料理を小さな器に替えた

ページには、TUI BLUEのF&Bマネジャーの言葉もある。「キトロとの定期的な打ち合わせは、分かりやすく効果が大きい。目標を守るための決断を、すぐに下せる」。

日本の宿に置き換えると

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、ある宿が、捨てた食べ物を量る機器を1年使ったとする。

  • 機器と支援の費用:1年で40万円
  • 節約できた食材の費用:1年で160万円
  • 費用を引いた利益:120万円
  • 利益を費用で割ると、投資利益率は300%

キトロのページは、投資利益率をどう計算したかを書いていない。節約額を費用で割る(この例なら400%)方法もあり、計算のしかたで数字は変わる。比べるときは、節約額と費用の両方を見るとよい。

平均と、自分の宿

導入を考えるときは、いちばん大きな成功例だけでなく、平均も見ておくと、期待しすぎずにすむ。そして、自分の宿のビュッフェで何がよく残るかを測ることが、すべての始まりになる。

持ち帰れる知識

  • 1軒の成功例と、平均は分けて読む
  • 「最初の12か月」など、どの期間の数字かを確かめる
  • 投資利益率は計算のしかたで変わるので、節約額と費用を見る

宿で考えられること

  • ビュッフェの終わりの時間に、器を小さくする
  • よく残る料理を、注文を受けてから作る料理に替える
  • 捨てた量を測り、定期的に厨房で話し合う

事業・予約への接続

食材の費用が減れば、その分を料理の質や地元の食材に回せる。数字を正直に伝えれば、環境の取り組みとして客にも信頼される。

Sources / 参考情報

  • KITRO(英文) - キトロの料金
    裏付け: 測り始めて最初の12か月の結果、カラモタ・アイランドは1台・2024年から・投資利益率572%・削減60%・3万6,201ユーロ、チューリッヒ・マリオット5台・26%、パーク・ハイアット・チューリッヒ1台・16%
  • KITRO(英文) - TUI BLUE キトロの事例(2026年6月29日)
    裏付け: 2023年から、14のホテル・37台、TUIは2030年までに食品ロス25%減、12軒の平均22%・2万7,572ユーロ・214時間・250%、メディナ・ガーデンズは1台・2024年から・63%・14万9,650ユーロ、うまくいった3つのこと、F&Bマネジャーの言葉、導入前は勘に頼っていた、ニーチェ氏の言葉
  • KITRO(英文) - ホテルのビュッフェの食品ロス:原因、費用、対策(2026年9月17日)
    裏付け: 12のTUI BLUEのホテルが少なくとも1年使い、平均22%・2万7,572ユーロ・214時間・250%、TAREのしくみ(秤とカメラ、捨てた瞬間に記録)、手の記録は忙しい時間に弱い
  • KITRO(英文) - 食品ロスの解決策
    裏付け: 画面で食べられる部分と食べられない部分、時間帯、客1人あたりの量を見られる
  • TUI BLUE(英文) - TUI BLUE カラモタ・アイランド
    裏付け: コロチェプ島、大人だけ、オールインクルーシブ、144室、レストラン2つ
  • TUI BLUE Kalamota Island Resort(英文) - TUI BLUE カラモタ・アイランド・リゾート
    裏付け: 車の走らない島、船で渡る、地元の料理から着想を得たビュッフェ・アラカルト・ビーガンとベジタリアン

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