GOAL 12 · TARGET 12.8 廃棄物・循環経済 4分 / 2163文字 点数の年と持ち主を確かめる型 #293

「126点」は、いつの、誰の点数か:米国の「ザ・フォールド・ホテルズ」のBコープの点数を、88.6点から133点まで並べて読む

米国のホテルブランド「ザ・フォールド・ホテルズ」は、フロリダ州オーランドとインディアン・ショアーズ、コロラド州スティームボート・スプリングスに、キッチン付きのスイートの宿を持つ。

ブランドのサステナビリティのページには、2026年2月の時点で、こう書かれていた。「現在のBコープの点数:126」。その下に、5つの分野の内訳が並ぶ。

この記事では、この「126点」が、いつの、誰の点数なのかを確かめる。そして、Bコープを認証する非営利団体「Bラボ」の名簿にある、ほかの年の点数と並べて読む。

Bコープとは

Bコープは、社会や環境への配慮、透明性、説明責任について、一定の基準を満たした会社に与えられる認証だ。これまでの基準では、会社は「Bインパクト評価」という質問に答え、80点以上で認証を受けられた。

Bラボの名簿は、その会社の点数を公開している。名簿によると、ふつうの会社が評価を受けたときの点数の中央値は50.9点だ。

点数の持ち主は、ブランドではなく会社

まず、点数の持ち主を確かめる。Bラボの名簿に載っているのは、「ザ・フォールド・ホテルズ」ではなく、親会社の「アンドコー・ホスピタリティ」だ。

業界誌「グリーン・ロッジング・ニュース」に載った2025年4月の会社の発表によると、アンドコーは、もとは「レガシー・バケーション・リゾーツ」という1つのブランドとして営業していた。2025年に、3つのブランドを束ねる会社として新しく出発した。

  • ザ・フォールド・ホテルズ(新しくつくった中心のブランド)
  • レガシー・バケーション・リゾーツ(つくり直したブランド)
  • ザ・ローカル(買収したブランド)

名簿によると、認証を受けたのは2019年3月。ザ・フォールドというブランドが生まれる前だ。つまり「126点」は、ブランドの点数ではなく、3つのブランドを持つ会社全体の点数になる。

3つの年の点数

Bラボの名簿は、今の点数と、前の点数を並べて載せている。

  • 2019年:88.6点
  • 2023年:126点
  • 今の点数:133.0点(2026年10月に確かめた時点)

ザ・フォールドのページが2026年2月に「現在」と書いていた126点は、2023年の点数だった。同じページには、「次の再認証で、今の126点を超えることを目指す」とも書かれていた。名簿の133.0点は、その後の点数にあたる。

内訳を並べる

5つの分野の内訳を、2つの時点で並べる。

  • ガバナンス(経営の仕組み):19.2点 → 20.8点
  • 働く人:26.8点 → 17.3点
  • 地域:43.1点 → 53.2点
  • 環境:33.8点 → 38.5点
  • 顧客:2.9点 → 3.0点

合計は126点から133点へ、7点上がった。けれど、分野ごとに見ると、動きはそろっていない。地域は10.1点、環境は4.7点上がった。一方で、働く人は9.5点下がっている。

なぜ下がったのかは、名簿にもブランドのページにも書かれていない。合計の点数だけを見ていると、この動きは見えない。

点数の裏にある取り組み

2026年2月のザ・フォールドのページには、点数の裏にある取り組みが並んでいた。

  • 1%・フォー・ザ・プラネットに加わり、ホテルの売上の1%を環境の慈善団体に寄付する
  • 2024年、会社全体のボランティアは2,051時間、参加率は75%だった
  • 「デイ・オブ・ホープ」という取り組みで、従業員全員に8時間の有給の休みを与える
  • 黒人や女性、障害のある人が経営する会社、地元の会社、Bコープの会社を優先する購買の方針をつくった
  • 人件費以外の支出の少なくとも50%を、独立系や地元の取引先から調達することを約束している

最後の「50%」は、約束として書かれている。すでに達成した割合かどうかは、ページからは読み取れない。

点数の時代が終わる

Bラボは、2025年4月8日に新しい基準を公表した。Bラボの案内によると、新しい基準は、土台となる要件と、7つのテーマでできている。認証の最初に満たす要件があり、3年目と5年目に、さらに要件が加わる。

英国の新聞「ガーディアン」の2026年4月の記事によると、Bラボは、分野ごとの点数を合計して基準を超える仕組みをやめた。これまでは、ある分野が弱くても、別の分野の高い点数で補えた。新しい基準では、7つのテーマのすべてで基準を満たす必要がある。

点数を並べて比べられるのは、これまでの基準で評価を受けた会社に限られることになる。

日本の宿に置き換えると

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)として、人件費を除く支出が年4,000万円の宿を考える。

  • 今、地元や独立系の取引先への支払いが35%なら、1,400万円
  • これを50%にするには、2,000万円が必要。差は600万円
  • たとえば、リネンの洗濯、朝食のパン、清掃用品の仕入れ先を、地元の会社に替えられないかを1つずつ確かめる

割合で約束するときは、分母(人件費を除く支出)と、「地元」の範囲を先に決めておく。

数字には、日付と持ち主をつける

「126点」は誤りではない。2023年の、会社全体の点数だ。認証の点数を伝えるときは、いつの点数か、誰の点数かを一緒に書く。内訳も並べれば、合計だけでは見えない動きが分かる。

持ち帰れる知識

  • Bコープの点数は、ブランドではなく会社につく
  • 合計が上がっても、分野ごとに下がっているものがある
  • 新しい基準では、点数を合計して基準を超える仕組みがなくなった

宿で考えられること

  • 認証や評価の数字を伝えるときは、年と対象を書く
  • 地元からの調達の割合を、分母を決めて測る
  • ウェブサイトの数字を、年に1度は見直す

事業・予約への接続

日付のついた数字は、予約サイトや取材で正しく伝わる。地元の取引先との関係は、宿の物語として客に伝えられる。

Sources / 参考情報

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