GOAL 12 · TARGET 12.3 廃棄物・循環経済 4分 / 2534文字 2つの順位で読む型 #367

「いちばん多く捨てる物」と「いちばん高くつく物」は、別だった:フォーシーズンズ・ホテル・ニューオーリンズの、2つの順位

食品のごみを減らそうとするとき、まず何から手をつけるか。量がいちばん多い物か、お金がいちばんかかっている物か。米国ルイジアナ州の「フォーシーズンズ・ホテル・ニューオーリンズ」の厨房は、毎日の記録から、この2つの順位が別々であることを知り、それぞれに違う手を打った。

この記事は、捨てた食品を記録する仕組みを売る会社「ウィノウ」が、2024年8月20日に公開したニュースと、同社の事例資料をもとにしている。どちらも、機械を売る会社自身の販売資料だ。

何を入れたか

ウィノウによると、ホテルのエグゼクティブ・スチュワード、アーヴィン氏が、2023年7月に同社の仕組みを入れた。

  • 捨てる食品を、はかりで量り、カメラで写す
  • AIが何を捨てたかを見分け、毎日、種類と量をまとめた報告を厨房のチームに送る
  • 報告には、「いちばんよく捨てられている物」と「捨てたときにいちばんお金がかかっている物」の両方が載る

アーヴィン氏は「在庫をうまく管理し、意識して作ることが、ごみを減らす鍵だ」と話している。

2つの順位

事例資料によると、記録から分かったのは次のことだった。

  • いちばんよく捨てられていた物:米と豆
  • 捨てられる物の中でいちばん高かった物:プルドポーク(豚肉をじっくり煮てほぐした料理)と、タコス用の牛ひき肉

米と豆は安いが、量が多い。豚肉と牛ひき肉は量が少なくても、1回捨てるごとの損が大きい。重さだけを見ていれば米と豆に目が行き、金額だけを見ていれば肉に目が行く。この厨房の記録は、両方を同時に見せた。

それぞれに違う手を打つ

事例資料は、2つの順位に、別々の手を打ったと書いている。

  • 米と豆は、毎日作る量を調整した。これで捨てる量が大きく減った
  • プルドポークと牛ひき肉は、高い食材のむだを減らすことに集中した。これが厨房の費用によい影響を与えた

量の多い物には、作る量という「蛇口」を締める。高い物には、一つひとつを捨てない工夫をする。同じ「食品ロスを減らす」でも、何を見て決めたかで、打つ手が変わる。

量と金額のほかに打った手

ウィノウのニュースと事例資料は、ほかの取り組みも挙げている。

  • 残った物を、新しい料理に作り替える
  • 在庫の管理を改め、注文しすぎを減らし、材料が傷む前に使い切る
  • 従業員食堂の献立を立てるときにも、記録を使う
  • できるだけ地元の農家や仕入れ先から食材を買う。輸送にともなう二酸化炭素を減らし、地域の経済を支えるためだという

結果の数字と、その意味

ウィノウが示す結果は、次の5つだ。

  • 捨てる量が48%減った
  • 年に11トンの食品のごみを減らした
  • 二酸化炭素に換算して、年に46トン減らした
  • 年に2万7,000食分を減らした
  • 捨てた食品の価値が、年換算で6万5,000ドル減った

ここで読み方を一つ添えておく。6万5,000ドルを11トンで割ると、捨てずに済んだ食品1トンあたり約5,900ドル、1キログラムあたり約5.9ドルになる。ただし、「トン」がどの単位かは書かれておらず、金額の計算の方法も示されていないので、これは目安にすぎない。この値は、米と豆のように安くて量の多い物と、肉のように高い物の両方を混ぜた平均だ。どちらを多く減らしたかで、1キログラムあたりの値は変わる。

なお、フォーシーズンズのウェブサイトの環境のページは、すべてのホテルとリゾートで食品のごみを減らす取り組みが動いており、技術を使って食品のごみを見つけ、量り、追っていると書いている。食品と飲料の部門のスタッフ全員に研修を求め、食べられる余った食品を、できる場合は寄付していることも書かれている。

日本の宿に置き換えると

日本の数字を見ておく。環境省の2026年6月30日の発表によると、2024年度の日本の食品ロスは約461万トンで、家庭から約224万トン、事業者から約237万トンだった。同じ日の農林水産省の発表によると、事業者の237万トンのうち、外食産業は70万トンだった。

国は、2025年に見直した基本方針で、事業者の食品ロスを2000年度と比べて2030年度までに60%減らす目標を立てている。農林水産省によると、2024年度の時点で57%減っている。

消費者庁は、同じ日に、食品ロスによる損失の推計も公表した。2024年度の食品ロスによる経済損失は3.8兆円、国民1人あたり年3万1,097円。温室効果ガスの排出は978万トン、1人あたり年79キログラムだった。消費者庁は、経済損失は事業者と家庭にまたがるものを合計した数字で、減らしたときの得がすべて家計に戻るわけではない、と注意書きを添えている。

量と金額の2つの順位で、手の打ち方がどう変わるかを、InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)で見てみる。

  • 30室の宿の朝食のビュッフェで、捨てる物を1か月記録した
  • 白いご飯:1日2キログラム捨てている。1キログラムあたり400円とすると、1日800円、年29万2,000円。重さでは1位
  • 焼き魚:1日0.4キログラム捨てている。1キログラムあたり3,000円とすると、1日1,200円、年43万8,000円。金額では1位
  • 重さは、ご飯が魚の5倍。金額は、魚がご飯の1.5倍
  • ご飯は、炊く回数を分けて、客の入りに合わせて炊く。捨てる量が半分になれば、年に365キログラム、14万6,000円減る
  • 焼き魚は、焼く数を、その日の朝食の予約の数に合わせる。捨てる量が半分になれば、年に73キログラム、21万9,000円減る

重さで見れば、ご飯の改善が5倍の効果がある。金額で見れば、魚の改善が1.5倍の効果がある。どちらか一方だけを見ていたら、もう一方を見落とす。

残った料理を別の料理に作り替えるときは、温度と時間の管理など、衛生の決まりの範囲で行うことが前提になる。

2つの物差しを並べる

ニューオーリンズの厨房が持ち帰らせてくれるのは、48%という数字よりも、量と金額の2つの順位を並べて見るという習慣だ。量の多い物は作る量で減らし、高い物は一つずつ捨てない工夫で減らす。物差しを2つ持つと、打つ手が2つになる。

持ち帰れる知識

  • 「いちばん多く捨てる物」と「いちばん高くつく物」は、同じとは限らない
  • 量の多い物は作る量で、高い物は一つずつのむだを減らす工夫で減らす
  • 1キログラムあたりの金額は、何を多く減らしたかで変わる平均値
  • 日本の2024年度の食品ロスは約461万トン、外食産業は70万トン

宿で考えられること

  • 捨てる物を、重さと金額の両方で記録する
  • 重さの1位と金額の1位を、別々に書き出す
  • 量の多い物は、作る回数や量を客の入りに合わせて変える
  • 高い物は、仕込みの数を予約に合わせ、作り替えは衛生の決まりの範囲で行う

事業・予約への接続

朝食の予約の数と、捨てる物の記録を結びつければ、仕込みの量を前日に決めやすくなる。食材のむだが減れば、地元の食材のように少し高い物を選ぶ余地も生まれる。

Sources / 参考情報

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