GOAL 12 · TARGET 12.3 廃棄物・循環経済 4分 / 2348文字 4つの手順で読む型 #435

少しずつ作り足し、1日に1つだけ決める:オランダの銀行の社員食堂で、給食会社「ヴェルマート」が食品ロスを44%減らした

オランダの給食会社ヴェルマートは、銀行のトリオドスで、社員食堂などの食事の提供を請け負っている。オービスク社の2025年10月17日の記事によると、ヴェルマートのチームは、オービスク社の機器で捨てる食べ物を自動で記録し、基準と比べて食品ロスを44%減らした。避けた食品ロスは1万1,693キログラム、避けたCO2は3万3,801キログラムだ。記事は、ヴェルマートのやり方を4つの手順にまとめている。この事例はホテルではないが、宿の宴会や従業員の食事にも通じる手順が多い。

どんな現場か

記事によると、ヴェルマートは、トリオドスで忙しい給食の運営をしている。毎日のレストランの提供、厨房の下ごしらえ、そしてひんぱんにある宴会(会議などの食事)だ。

チームは、オービスク社の機器「オービ」の企業向けの版を使い、食品ロスを自動で記録している。記事によると、仕組みは捨てるものをすべてとらえ、次に何をすべきかが分かる画面にまとめる。完全に自動で、研修は要らず、作りすぎと余計な費用を生むパターンを、管理者がすぐにつかめるという。

ヴェルマートの別のページは、トリオドス銀行のレストランについて、すべて有機の食材を使い、主に植物性の料理を出していると紹介している。オービスク社の記事は、どの拠点の数字かまでは書いていない。

7人のヒーロー

記事は、ヴェルマートには自分たちの「食品ロスのヒーロー」がいると書き、ブリッタ、ケイト、クリステル、サビーナ、マルタイン、デズモンド、ディランの7人の名前を挙げている。7人は、現場で毎日の手順を続け、気づいたことを行動に変えてきた。

記事によると、7人のメッセージは単純だ。技術の道具として始まったものが、文化の変化になった。同僚は、量や計画や食べられる量を、前よりよく見るようになった。食品ロスについて話し、学び合い、違いを生んでいるという。

4つの手順

記事は、ヴェルマートの手順を次の4つにまとめている。

1. 自動の計量から始め、勘をなくし、すべての提供で1つの「正しい数字」をつくる
2. 宴会の量を適正にし、実際の需要に合わせて、小さな波で補充する
3. 安全な残り物は、適切な場合に再利用し、食べ物の価値を保ってごみを減らす
4. 画面のデータを使って、1日に1つの行動を決め、進み具合をこまめに見直す

1日に1つだけ決める、という4つ目の手順は、忙しい厨房でも続けやすい形になっている。

現場の工夫

ヴェルマートの別のページでは、トリオドス銀行のレストランの責任者、ミヒェル・ヤンセン氏が、食品ロスへの工夫を話している。昼食の時間は大きなチームで回しているので、途中で作り足す余裕がある。そうすると、量を客の数に合わせやすい。食材は頭から尻尾まで使い、たとえば、カリフラワーの葉をローストして出しているという。

途中で作り足すことは、オービスク社の記事の「小さな波で補充する」という手順とも重なる。

結果と、書かれていないこと

記事によると、結果は次のとおりだ。

  • 基準と比べて、食品ロスを44%削減
  • 1万1,693キログラムの食品ロスを避けた
  • 3万3,801キログラムのCO2を避けた

記事は、この結果がどれだけの期間のものかを書いていない。数字を引くときは、期間が分からないことを添えたい。

日本の宿に置き換えると

日本の食品リサイクル法では、社員食堂の扱いが、運営の形で変わる。法律の第2条は、「食品関連事業者」を、食品の製造、加工、卸売または小売を業として行う者と、飲食店業その他食事の提供を伴う事業として政令で定めるものを行う者、と定めている。国の審議会の2023年12月18日の報告書によると、政令では、沿海旅客海運業、内陸水運業、結婚式場業、旅館業が指定されている。

報告書によると、直営の社員食堂は、法律ができたときに食品関連事業者から外された。理由は、本業の一環ではなく、従業員へのサービスとして行われる社内の内部行為であること、食品衛生法でも飲食店業の許可を要しないとされていることだ。一方、大手企業の社員食堂の多くは、運営を外部に委託しており、運営会社は飲食店業に当たるため、収集運搬の特例を使える。

2023年6月16日に閣議決定された規制改革実施計画は、次の食品リサイクルの基本方針に「社員食堂等からの食品廃棄物の削減の重要性」などを明記する方向で検討するとした。報告書も、食品関連事業者以外の者も、食品ロスの削減を含む再生利用等に努める旨を、基本方針に明記することが適当だとしている。

宿は旅館業として食品関連事業者に含まれる。客の食事だけでなく、従業員の食事でも、量を合わせる工夫は同じように役立つ。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)

ある宿で、従業員15人が昼食をとるとする。これまでは、足りなくならないよう、最初に18人分を作っていた。いつも3人分が余り、1人分は0.4キログラムだとする。

作り方を2段階に変える。最初に12人分を作り、食べる人の様子を見て、3人分ずつ作り足す。余りは平均0.5人分になるとする。

  • これまで:3人分×0.4キログラム=1日1.2キログラム、25日で30キログラム
  • 2段階:0.5人分×0.4キログラム=1日0.2キログラム、25日で5キログラム

1か月に25キログラム減る計算だ。作り足しの判断を担当する人を決め、余った量を毎日1行記録する。

小さな波で作り、1つずつ変える

ヴェルマートは、自動で計量し、宴会の量を合わせて小さな波で補充し、安全な残り物を生かし、1日に1つの行動を決めた。日本の宿でも、宴会や従業員の食事で、最初に作る量を減らして作り足す形を試すところから始められる。

持ち帰れる知識

  • 最初に作る量を減らし、作り足すと、最後の余りが小さくなる
  • 1日に1つだけ行動を決めると、忙しい現場でも続けやすい
  • 数字を引くときは、期間が書かれているかを確かめる
  • 食品リサイクル法では、直営の社員食堂は食品関連事業者から外されている

宿で考えられること

  • 宴会や従業員の食事で、最初に作る量と作り足す量を決める
  • 食品ロスの数字を見て、1日に1つの行動を決める
  • 安全に再利用できる残り物の基準を決める
  • 取り組んだ人の名前を、社内で紹介する

事業・予約への接続

宴会で小さな波で補充すると、料理を温かいまま出しやすい。従業員の食事での工夫は、働く人を大切にする宿の姿として、採用の場面でも伝えられる。

Sources / 参考情報

  • Orbisk(英文) - 企業の給食の成功事例:ヴェルマートは、オービスクで食品ロスを44%減らし、気づきを毎日の習慣に変えた(2025年10月17日)
    裏付け: トリオドスでヴェルマートが運営する企業の給食、毎日のレストラン・下ごしらえ・ひんぱんな宴会、企業向けのオービ・完全自動・研修不要、7人のヒーロー(ブリッタ、ケイト、クリステル、サビーナ、マルタイン、デズモンド、ディラン)と文化の変化、基準比44%・1万1,693キログラム・CO2 3万3,801キログラム、4つの手順(自動の計量、宴会の量の適正化と小さな波での補充、安全な残り物の再利用、1日に1つの行動とこまめな見直し)、期間の記載なし
  • Vermaat(オランダ語) - 未来を味わう!
    裏付け: ミヒェル・ヤンセン氏はトリオドス銀行の責任者、すべて有機・主に植物性、昼食は大きなチームで途中で作り足す、頭から尻尾まで使う・カリフラワーの葉のロースト
  • e-Gov法令検索 - 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律
    裏付け: 第2条第4項(食品関連事業者の定義)
  • 環境省(審議会) - 今後の食品リサイクル制度のあり方について(報告書)(PDF)(2023年12月18日)
    裏付け: 政令で沿海旅客海運業・内陸水運業・結婚式場業・旅館業、直営の社員食堂が除外された経緯と2つの理由、外部委託の運営会社は飲食店業で収集運搬の特例を利用可能、食品関連事業者以外の者が努める旨を基本方針に明記することが適当
  • 環境省(農林水産省・環境省資料) - 食品リサイクル法に基づく基本方針の改定の方向性等(PDF)(2023年9月)
    裏付け: 規制改革実施計画(2023年6月16日閣議決定)の抜粋、次期基本方針に「社員食堂等からの食品廃棄物の削減の重要性」等を明記する方向で検討

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