GOAL 12 · TARGET 12.3 廃棄物・循環経済 4分 / 2190文字 人の動き方で読む型 #440

「食品ロスの戦士たち」と、持ち帰りのコーナー:イギリスの「ノボテル・ケンブリッジ・ノース」の事例を、人の動き方から読む

イギリスのホテル「ノボテル・ケンブリッジ・ノース」は、オランダのオービスク社の機器を使い、14か月で食品ロスを28%減らした。オービスク社の2025年7月15日の記事が特に強調しているのは、機器より先に、人の考え方と動き方が変わっていたことだ。専任のチームをつくり、任せて認め、催しでは客が残った料理を持ち帰れるコーナーを開いた。この記事では、人の動き方に絞って事例を読む。

機器の前に、人がいた

記事によると、チームは、機器を入れる前の2023年に、すでに大きな成果を出していた。気づきと作戦と意欲だけで、自分たちの力で3トンの食品ロスを減らしたという。記事は、考え方が大事だと証明した、と書いている。

そのうえで、機器「オービ」を入れると、さらに大きな効果が出た。30日分のデータとコーチの助けで、チームは気づきを行動に変えた。

専任のチーム「フード・ウェイスト・ウォリアーズ」

記事が最初に挙げる作戦は、専任のチーム「フード・ウェイスト・ウォリアーズ」(食品ロスの戦士たち)をつくったことだ。このチームが先頭に立ち、食品ロスを減らすことを、ホテル全体の文化に組み込んでいった。

担当を決めると、誰が記録を見て、誰が声をかけるかがはっきりする。一方で、記事は、チームの人数や、どの部署の人が入ったかまでは書いていない。

任せて、認める

記事は、厨房のチームに主体性を持たせ、取り組みを認めることで力を引き出したと書いている。毎日の仕事の中に、誇りと創造性と自発性が生まれたという。

上から指示するだけでなく、現場に任せ、成果を認めることで、続く力が生まれる。人の動き方に注目したこの事例の、中心にある考え方だ。

無駄の多い場面から、範囲を広げる

チームは、朝食ビュッフェなど、影響の大きい場面に的を絞った。特に、宿泊客が多い時期の無駄に力を入れた。オービスク社のAIの気づき、つまり時間帯や食材、量のデータを使って、厨房の運営を細かく調整した。

2024年には、対象を従業員の食事と朝食の提供に広げた。うまくいったやり方を、厨房のほかの場面にも広げた形だ。

催しの「ウェイスト・ウォリアーズ・コーナー」

記事によると、ホテルは、催しのときに「ウェイスト・ウォリアーズ・コーナー」を開いた。客に、質のよい残った料理を、環境に配慮した容器で持ち帰ってもらう取り組みだ。記事は、これが持続可能性をめぐる会話と関心を生んだと書いている。

食品ロスを減らす取り組みに、客を巻き込む形になっている点が、厨房の中の工夫とは違う。

14か月の結果

記事によると、オービを使い始めて14か月で、食品ロスを28%減らし、2,449キログラムの食べ物を救い、1万7,524ユーロを節約し、CO2を7,073キログラム防いだ。

日本の宿に置き換えると

日本で、客が食べきれなかった料理を持ち帰ることは、どのくらい広がっているのだろうか。環境省の「消費者の行動変容等による食品ロスの効果的な削減に向けた手引き」の資料編(2026年3月更新版)には、2024年7月2日から9日に行った2,000人へのアンケートの結果が載っている。

「食べきれなかった料理は、持ち帰り用容器で持ち帰る」という行動の、現時点での普及度は37%だった。今後の取り組みやすさから見た、さらに広がる可能性はプラス18%で、29の行動の中で上位3つに入った。年代別では、18歳から29歳の普及度が48%と高かった。60歳以上では、さらに広がる可能性が低かった。資料は、外食でいつも食べきる人など、持ち帰りを想定しにくい人も含まれる点に注意を書いている。

国は、持ち帰りの仕組み「mottECO(モッテコ)」を始める事業者も支援している。環境省の2026年7月23日の発表によると、「令和8年度mottECO導入伴走支援事業」で15件を採択した。事前の調査、運用マニュアルの整備、関係者との調整、効果の検証などを支援する。採択先の一覧には、自治体や外食事業者とともに、「株式会社はとバス 銀座キャピタルホテル」の名前もある。

環境省の2026年9月29日の発表によると、10月の食品ロス削減月間をきっかけに、採択された各者の具体的な取り組みが始まる予定だ。食品ロス削減推進法の第9条は、10月を食品ロス削減月間、10月30日を食品ロス削減の日と定めている。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)

ある宿で、宴会が月に8回あり、1回あたり料理が6キログラム残るとする。宴会の終わりに持ち帰りを案内し、1回あたり1.2キログラムが持ち帰られるとする。

  • 持ち帰り:1回1.2キログラム×8回=1か月9.6キログラム
  • 残る料理:1回6キログラム→4.8キログラム

1か月に約10キログラムの料理が、捨てられずに客の食卓に回る計算だ。持ち帰りの対象にする料理や、衛生上の注意の伝え方は、案内を始める前に決めておく。持ち帰りの担当を宴会の係から1人決め、毎回の持ち帰りの量を記録する。

人を決め、客も巻き込む

ノボテル・ケンブリッジ・ノースは、機器を入れる前から人の考え方を変え、専任のチームをつくり、任せて認め、催しでは客も巻き込んだ。日本の宿でも、担当を決め、取り組んだ人を認めることから始めると、機器の数字も生かしやすくなる。

持ち帰れる知識

  • 機器の前に、人の考え方を変えることで成果が出ることがある
  • 専任のチームをつくると、担当がはっきりする
  • 持ち帰りは、客を食品ロスの取り組みに巻き込む方法になる
  • 日本のアンケートでは、持ち帰りの普及度は37%で、さらに広がる可能性が高い行動の1つ

宿で考えられること

  • 食品ロスの担当者を、厨房と客の前の両方から決める
  • 取り組んだ人の名前や成果を、社内で紹介する
  • 宴会の終わりに持ち帰りを案内する手順を作る
  • 持ち帰りの対象にする料理と、衛生上の注意の伝え方を決める

事業・予約への接続

宴会の幹事に、持ち帰りの案内があることを事前に伝えておくと、安心して料理を注文してもらいやすい。従業員のチームの取り組みは、宿の姿勢として紹介できる。

Sources / 参考情報

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