捨てる料理の7割は、皿に載る前に生まれる:オランダの「ノボテル・アムステルダム・スキポール・エアポート」の2年で35%を、厨房の4つの場面から読む
オランダの「ノボテル・アムステルダム・スキポール・エアポート」は、オランダのオービスク社の機器を使い、2年で食品ロスを35%減らした。オービスク社が業界全体について示す数字では、ホテルや飲食店で捨てられる食べられる料理の70%は、一度も皿に載っていない。この記事では、このホテルの結果を手がかりに、皿に載る前の場面を分けて見る読み方を紹介する。
2年で35%という結果
アコーの2023年9月29日の発表によると、このホテルはオービスク社の仕組みを使い、食品ロスを35%減らした。2年間で8トンに当たる量だという。
オービスク社のページには、このホテルの料理人、ロヒール・デルフォス氏の言葉が載っている。オービスク社との協力で、2年のうちに食品ロスを35%減らし、10万ユーロ近くを節約したという。デルフォス氏は、仕組みが簡単で分かりやすく、狙いを定めた手を打ちやすい、とも話している。
同じページには、「12か月で30%」という表示もある。期間が違えば、数字も変わる。2年で35%という結果は、1年目で終わらせず、続けた先の数字として読める。
皿に載る前の7割
オービスク社が2025年に出した2024年の報告書は、ホテルや飲食店で捨てられる食べられる料理の70%は、皿に載ったことがない、と書いている。内訳は次の4つだ。
- 調理していない食材:20%
- 調理したもの:20%
- ビュッフェや宴会:30%
- 皿の上:30%
報告書は、料理人は平均して週に1日分、ごみ箱のために料理をしている、とも書いている。これはこのホテルの数字ではなく、オービスク社が示す業界全体の見方だ。
客1人あたり95グラム
同じ報告書は、国際食品ロス連合(International Food Waste Coalition)の数字として、客1人あたりの食品ロスは平均95グラムだと紹介している。また、オービスク社の機器が6年間で救った食べ物は、合計198万7,072キログラムで、440万5,188食分に当たるという。
1人あたりの数字は小さく見えるが、客の数をかければ大きな量になる。自分の宿の数字を知るには、やはり量ってみるしかない。
4つの場面で考える
報告書が示しているのは、4つの区分の名前と割合だけだ。日本の宿の厨房に当てはめると、たとえば次のような場面が考えられる。
- 調理していない食材:仕入れたが使い切れず、傷んだ野菜
- 調理したもの:仕込んだが出番がなかった煮物
- ビュッフェや宴会:並べたが取られなかった料理
- 皿の上:客が残した料理
皿の残りは客の行動にも左右される。一方、前の3つは、仕入れや仕込みの量など、厨房の判断で変えやすい場面だ。どの場面で多く出ているかが分かれば、最初に手を付ける場所を選べる。
2024年から、数え方が変わった
報告書には、もう1つ注意書きがある。オービスク社は2024年から、下ごしらえで出る切りくずも量に含めるようにした。業界の基準や、国連の食品ロスの定義に合わせるためだという。
アコーの発表は2023年9月だ。ホテルの「2年で35%」は、数え方が変わる前に発表された数字になる。年をまたいで数字を比べるときは、何を含めて数えたかを確かめる必要がある。
日本の宿に置き換えると
日本では、「食品ロス」という言葉の意味が決まっている。農林水産省のページは、「食品ロス」とは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品をいう、と説明している。この定義から考えると、魚の骨のように、もともと食べない部分は食品ロスに入らない。
農林水産省の2026年6月30日の発表によると、2024年度の日本の食品ロスは461万トンだった。このうち食品関連事業者から出たものは237万トンで、外食産業は70万トンだった。
宿で記録をつけるなら、食べない部分と、食べられたのに捨てたものを分けておくと、国の数え方と比べやすい。さらに、食べられたのに捨てたものを、先の4つの場面に分けて記録すると、どこから手を付けるかが見えてくる。
InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)
ある宿で、食べられたのに捨てた料理が1週間に56キログラムあるとする。4つの場面に分けて量ると、次のようになったとする。
- 調理していない食材:10キログラム
- 調理したもの:12キログラム
- ビュッフェや宴会:18キログラム
- 皿の上:16キログラム
皿に載る前の3つを足すと40キログラムで、全体の約71%になる。
そこで、朝食ビュッフェの補充を、大皿から小さな器に変えるとする。ビュッフェの場面が18キログラムから12キログラムに減れば、1週間の合計は56キログラムから50キログラムになり、約11%減る計算だ。次の週は、調理していない食材の10キログラムを、仕入れの量の見直しで減らせるか試す。
皿に載る前を分けて見る
ノボテル・アムステルダム・スキポール・エアポートは、測る仕組みを2年使い続け、35%という結果を出した。オービスク社の数字が示すように、捨てられる料理の多くは皿に載る前に生まれる。日本の宿でも、場面を分けて量れば、厨房で変えられる部分から手を付けられる。
持ち帰れる知識
- 捨てられる料理は、調理していない食材・調理したもの・ビュッフェや宴会・皿の上に分けて見られる
- 皿に載る前の場面は、厨房の判断で変えやすい
- オービスク社は2024年から、切りくずも量に含めている
- 日本の「食品ロス」は、本来食べられるのに捨てられてしまう食品を指す
宿で考えられること
- 食べない部分と、食べられたのに捨てたものを分けて記録する
- 捨てた料理を4つの場面に分けて量る
- いちばん多い場面から、1つずつ手を付ける
- 数え方を変えたときは、その日付を記録に残す
事業・予約への接続
ビュッフェの補充を小さな器に変えるなどの工夫は、料理を出したてで並べることにもつながる。厨房の取り組みは、宿の姿勢として客に伝えられる。
Sources / 参考情報
- Accor(英文) - 食品ロス:AIがアコーのホテルを支える(2023年9月29日)
裏付け: ノボテル・アムステルダム・スキポール・エアポートはオービスク社の仕組みで食品ロスを35%削減、2年で8トン相当 - Orbisk(英文) - オービスクの仕組み
裏付け: 料理人ロヒール・デルフォス氏の言葉(2年で35%削減・10万ユーロ近くを節約、仕組みが簡単で分かりやすく狙いを定めた手を打ちやすい)、「12か月で30%」の表示 - Orbisk(英文) - 2024年のオービスクの食品ロスとの闘いの報告(PDF)(2025年)
裏付け: 食べられるのに捨てられる料理の70%は皿に載ったことがない(調理していない食材20%・調理したもの20%・ビュッフェや宴会30%・皿の上30%)、料理人は平均して週に1日分ごみ箱のために料理している、客1人あたり平均95グラム(国際食品ロス連合の数字として)、6年間で合計198万7,072キログラム・440万5,188食分、2024年から切りくずを含める(業界の基準と国連の定義に合わせる) - 農林水産省 - 食品ロスとは
裏付け: 「食品ロス」とは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品 - 農林水産省 - 事業系食品ロス量(2024年度推計値)を公表(2026年6月30日)
裏付け: 2024年度の食品ロスは461万トン、事業系は237万トン、外食産業は70万トン