GOAL 12 · TARGET 12.3 廃棄物・循環経済 4分 / 2128文字 減らした後の行き先で読む型 #444

減らしたあとに残る生ごみを、庭の土へ:ドバイの「ソフィテル・ドバイ・ザ・パーム」が並べる、食品ロスの削減と堆肥づくり

ドバイの「ソフィテル・ドバイ・ザ・パーム」は、オランダのオービスク社の仕組みで食品ロスを減らしてきたホテルだ。2026年6月の発表では、敷地の中の機械で生ごみを堆肥にし、庭の肥料に使っていると紹介している。この記事では、まず減らし、それでも残る生ごみの行き先を決める、という順番からホテルの取り組みを読む。

どんなホテルか

グリーングローブの中東・北アフリカでの協力会社、ファーネックの2026年2月24日の発表によると、ホテルは2013年に開業した。パーム・ジュメイラにあり、361の客室、182のサービスアパートメント、4棟の専用ヴィラ、11のレストランとバーを持つ。

同じ発表によると、ホテルは国際的な環境認証「グリーングローブ」の最上位、プラチナを受けた。ファーネックが行った独立の監査で93%の評価を得て、380を超える指標を満たすか上回ったという。

まず、減らす

アコーの2023年9月29日の発表によると、ホテルはオービスク社の仕組みを使い、5か月で食品ロスを13%減らした。年に換算すると3トンに当たるという。発表は、オービスク社の仕組みが残った料理を読み取り、捨てられる量と種類をはっきりさせ、献立の調整を助けると説明している。オービスク社は、2021年の技術の催し「ヴィバテック」で、アコーのコンテストの賞を受けた会社だ。

ホテルのページには、別の数字もある。ページは、地元でとれる魚介を使い、絶滅のおそれのある種は使わないと書いている。そのうえで、高度な廃棄物の管理によって、2023年だけで10トン近くの食べ物を救った、と書かれている。

2つの数字は、期間も数え方も違う。アコーの数字は5か月の削減の割合と、それを年に換算した量だ。ホテルのページの数字は、2023年の1年に救った量だ。どちらも、食品ロスを出さないための取り組みの結果として示されている。

それでも残るものを、分ける

食品ロスを減らしても、生ごみがゼロになるわけではない。野菜の皮や魚の骨のように、もともと食べない部分も出る。

グリーングローブの認証についての2026年6月26日の発表によると、ホテルでは、色分けしたリサイクル用のごみ箱を使う分別の仕組みが、客室も含めて敷地全体で動いている。ファーネックの発表は、分別を良くし回収の割合を高めたことで、リサイクルによって推計10.67トンのCO2の排出を防いだとしている。

残った生ごみを、庭の土へ

同じ2026年6月26日の発表によると、ホテルは敷地の中に、生ごみを堆肥にする機械を入れた。いくつもの飲食店から出る生ごみを堆肥に変え、庭や植栽の肥料に使っているという。

ホテルの中で出た生ごみが、ホテルの庭の土に戻る形だ。ファーネックの発表によると、ホテルはエアコンの結露水を集め、2万7,000平方メートルの庭の水やりにも使っている。

日本の宿に置き換えると

宿の生ごみを堆肥にすることは、日本の農業の方針ともつながる。農林水産省は2021年に「みどりの食料システム戦略」を作り、14の目標を置いた。農林水産省の2026年2月の資料によると、その中には次のような目標と実績がある。

  • 化学肥料の使用量:基準の90万トン(2016年)に対し、2023年は68万トンで約25%減った。2030年の目標は72万トン(20%減)、2050年の目標は63万トン(30%減)
  • 耕地に占める有機農業の面積:2.35万ヘクタール(2017年)から、2023年は3.45万ヘクタール(0.8%)。2030年の目標は6.3万ヘクタール、2050年の目標は100万ヘクタール(25%)
  • 事業系の食品ロス:基準の547万トン(2000年度)に対し、2023年は231万トン(58%減)

資料は、化学肥料を減らすための取り組みとして、堆肥や下水汚泥資源などの国内の資源の利用を広げることを挙げている。有機農業を地域ぐるみで進める「オーガニックビレッジ」は、2025年12月時点で154の市町村に広がった。

宿の庭や菜園で使う堆肥は、こうした国の方針と同じ方向を向いている。ただし、できた堆肥を敷地の外へ渡す場合は、扱いのルールを自治体などに確かめる必要がある。

InnBuddyシミュレーション(以下はすべて仮定)

ある宿で、食品ロスを減らしたあとも、食べない部分を中心に生ごみが1日25キログラム出るとする。敷地の中の機械で処理すると、重さが入れた量の2割になると仮定する。

  • 1日にできるもの:25キログラム×0.2=5キログラム
  • 1か月(30日):5キログラム×30=150キログラム

できたものは、宿の花壇や菜園で使う量に合わせて保管する。使い切れない分の扱いは、事前に自治体に相談しておく。機械に入れる前に、ビニールや割り箸などが混ざらないよう、厨房の分別を色分けの箱で行う。

減らしてから、行き先を決める

ソフィテル・ドバイ・ザ・パームは、測る仕組みで食品ロスを減らし、それでも残る生ごみは敷地の中で堆肥にして庭に戻していた。日本の宿でも、まず減らし、残るものを分け、その行き先を地域の土づくりにつなげる、という順番で考えられる。

持ち帰れる知識

  • 食品ロスを減らしても、食べない部分などの生ごみは残る
  • 減らす、分ける、行き先を決める、の順に考えられる
  • みどりの食料システム戦略は、化学肥料を2050年までに30%減らす目標を置いている
  • 堆肥を敷地の外へ渡すときは、扱いのルールを確かめる

宿で考えられること

  • 食べられたのに捨てたものと、食べない部分を分けて量る
  • 厨房の分別を、色分けの箱で行う
  • 堆肥を使う花壇や菜園の広さから、必要な量を考える
  • 近くの農家やオーガニックビレッジとのつながりを調べる

事業・予約への接続

宿の生ごみから作った堆肥で育てた花や野菜は、客に見せられる循環の形になる。庭や菜園を案内するときの話題にもできる。

Sources / 参考情報

  • Accor(英文) - 食品ロス:AIがアコーのホテルを支える(2023年9月29日)
    裏付け: ソフィテル・ザ・パームはオービスク社の仕組みで5か月で食品ロスを13%削減、年3トンに相当、オービスク社は残った料理を読み取り量と種類を明らかにし献立の調整を助ける、2021年のヴィバテックでアコーのコンテストの賞
  • Sofitel(英文) - ソフィテル・ドバイ・ザ・パーム
    裏付け: 高度な廃棄物の管理で2023年だけで10トン近くの食べ物を救った、地元の魚介で絶滅のおそれのある種は使わない
  • Farnek(英文) - ソフィテル・ドバイ・ザ・パームが国際的なサステナビリティの賞を受ける(2026年2月24日)
    裏付け: グリーングローブのプラチナ、93%の評価、380を超える指標、2013年開業、361室・182のサービスアパートメント・4棟のヴィラ・11のレストランとバー、リサイクルで推計10.67トンのCO2を防いだ(分別の改善と回収の割合の向上)、結露水で2万7,000平方メートルの庭に水やり
  • EIN Presswire(英文) - ソフィテル・ドバイ・ザ・パーム・リゾート&スパがグリーングローブのプラチナを取得(2026年6月26日)
    裏付け: 色分けしたリサイクル用のごみ箱による分別を客室も含めて実施、敷地の中に生ごみを堆肥にする機械を導入し、飲食店の生ごみを堆肥にして庭や植栽の肥料に使う
  • 農林水産省 - みどりの食料システム戦略に基づく取組の進捗状況と今後の展開(PDF)(2026年2月)
    裏付け: 2021年策定・14のKPI、化学肥料90万トン(2016年)→2023年68万トン(約25%減)・2030年72万トン・2050年63万トン、堆肥や下水汚泥資源等の国内資源の利用拡大、有機農業2.35万ヘクタール→2023年3.45万ヘクタール・2050年100万ヘクタール(25%)、事業系食品ロス547万トン→2023年231万トン(58%減)、オーガニックビレッジは154市町村(2025年12月)

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