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収益改善ARTICLE 184

ワーケーションツーリズムを宿に取り入れる — 働く・暮らす・休むが混ざる滞在アイデア

ワーケーションとは「仕事の場所を変えるだけ」になりがちです。カリブの島国は「12ヶ月働いて暮らせるビザ」を作り、徳島の山あいの町は、オフィスの後にカフェと宿が生まれるのを見ました。「休む側」から滞在を設計するヒントを集めました。

ワーケーションツーリズムを宿に取り入れる — 働く・暮らす・休むが混ざる滞在アイデア
2025.02.01Revenue Improvement5分で読めます

ワーケーションは work(仕事)と vacation(休暇)を合わせた造語で、2000年代の米国発とされます。日本で一気に広まったのは、2020年夏、官房長官の口からこの言葉が出てからでした。しかし多くのワーケーションは、途中で「仕事の場所を変えただけの滞在」に沈みます。Wi-Fiが良くて、机があれば、あとはいつもの仕事。休暇の方が消えてしまいます。この記事は、宿がこの落とし穴をどう超えるかの話です。

国が「働くために開く」という発明

2020年夏、カリブ海のバルバドスが「12ヶ月バルバドス・ウェルカムスタンプ」という滞在プログラムを受け付け始めました。島外の会社に勤めながら、この島で最長12ヶ月暮らして働ける、世界でも最初期のリモートワーク滞在ビザです。しかも出し方が鮮やかです。「パラダイスで、リモートワークを」。休む場所に働く人を呼ぶのではなく、働く人に暮らす場所を開きます。国の規模で「仕事と休暇の混ざり合い」を商品にしたのです。

CASE2020年夏、カリブ海のバルバドスは「12ヶ月バルバドス・ウェルカムスタンプ」の受け付けを開始した — 島外の雇用主の下で働く人に最長12ヶ月の滞在を認める、世界でも最初期のリモートワーク滞在ビザ。「働くために国を開く」発想の転換である。

神山町 — オフィスの後に、暮らしが生まれました

日本には、その前から歩んでいた町があります。徳島県神山町です。きっかけは仕事ではありませんでした。NPOグリーンバレーは1999年に芸術家を招く「アーティスト・イン・レジデンス」を始め、2008年には仕事を持ったまま移住する人を迎える「ワーク・イン・レジデンス」へ。そして2010年頃から、古民家を改装したIT企業のサテライトオフィスが増え始めます。2年で6社、2018年には16社になりました。徳島県内に張り巡らされた光ケーブルと、山あいの静けさ。「都心・駅近」という常識が通用しない場所に、企業と人が集まりました。

注目すべきは、その後です。オフィスが来た後から、カフェが、ピザ屋が、宿泊施設が生まれました。働く人が定住すると、暮らしの産業が続きます。町は2012年1月、史上初の社会動態人口増を達成します。ワーケーションの成功の本当の測り方は「働けたか」ではなく「滞在が町の何かを育てたか」なのです。

CASE徳島県神山町は1999年のアーティスト招聘から始まり、2010年頃から古民家改装のサテライトオフィスが急増(2年で6社・2018年には16社) — オフィスの後にカフェや宿が生まれ、2012年には町史上初の社会動態人口増を達成。「働く人が来ると、暮らしが生まれる」を実証した町である。

宿のワーケーションは「休む側」で差がつきます

働く環境は、都市のオフィスにもあります。宿にしかないのは休む環境と地域です。だから設計の中心は「休む側」に置くべきです。

  • 席は1つでいい — 窓際の、電源と灯りのある机を1つ「働く席」として案内しましょう。働きやすい部屋より「ここで働きたい机」が記憶に残ります。
  • 働く時間と休む時間の境を作る — 「18時以降のロビーはPCを閉じる時間です」「今日の終業は、村内の温泉で」。境の提案こそ、宿にしかできないワーケーションの設計です。
  • 「週の半分だけ働く」プラン — 長期滞在の案内に「働く日と休む日を分ける」一行を。休みの日の過ごし方(散歩・体験・町の店)を同じカードに載せます。
  • 長くいる人ほど、地域の客になる — 滞在が長くなるほど、隣の店の常連になり、畑を手伝い、祭りに誘われます。ワーケーションの最終段階の案内は「地域の客」の扱いです。
  • 声の出る部屋を1つ — 会議のための部屋が1つあると、静かな客室と働く客の両方が守られます。

働く人を受け入れる現実

  • 労務は本人と会社のもの — 就業場所の届出や勤怠の管理は、ゲストとその会社の規定の問題です。宿が関与しない線を守ります。
  • Wi-Fiの正直な表示 — 速度やつながりにくい時間帯・エリアを正直に書きましょう。働く人の計画は、通信の実態の上にしか立ちません。
  • 秘密と見えない配慮 — 仕事の画面は誰にも見られたくないもの。座る位置と席の間隔の配慮は、ワーケーションの静かなサービスです。
  • 「休め」と言わない — 休暇の過ごし方は本人の自由。境を提案するのは良くても、強制は宿の傲慢です。
  • 長期滞在の業務 — 洗濯・掃除・ゴミの出し方など、長くいる人への案内は事前に整えましょう(長期滞在の宿の記事に詳しく)。

InnBuddy VIEW

バルバドスは働く人に国を開き、神山はオフィスの後に暮らしを育てました。ワーケーションの質を決めるのは「働く環境」ではなく「休む側」と「地域」です。まず小さく、窓際の机を1つ「働く席」として案内し、18時以降の終業の提案を一行添えることから。仕事はどこでもできます。休み方は、ここでしか設計できません。

この記事はアイデア共有を目的としています。ワーケーションの労務・勤怠はゲストと雇用主の規定に従います。宿側の関与の範囲を明確にしてお客様をお迎えください。

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