旅館の求人票に必ず書いておきたい項目
求人票で最初に読まれるのは給与と勤務時間です。ところが辞める理由になるのは、その下に書いてある部分です。書いておけば防げるミスマッチと、書いていないと後から出てくる不満は、どの宿でも似ています。
書いておきたい項目
法律や媒体の規約で求められる項目に加えて、旅館では次があると応募者が判断しやすくなります。
まずは、いま出している求人票と照らしながら読んでください。空白の行が、そのまま追記する場所になります。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 職種と仕事の内容 | 「仲居」で終わらせず、朝の準備/お出迎え/配膳/下膳/片付け/翌朝の流れまで |
| 就業場所 | 本館か別館か、転勤や異動の有無 |
| 就業時間 | 早番・中番・遅番の実時刻。中抜けがあるなら、その長さ |
| 休憩時間 | 法定の時間だけでなく、実際に取れているか |
| 休日 | 月休の日数、希望休の出し方、連休が取れるか |
| 賃金 | 基本給・手当・賞与。繁忙期の振れ幅があるなら、その仕組み |
| 雇用期間 | 定めがあるか、更新の条件 |
| 試用期間 | 長さ、期間中の待遇 |
| 加入保険 | 雇用・労災・健康・厚生年金 |
| 時間外労働 | 見込み時間。実態と違う数字は書かない |
| 選考の流れ | 応募から内定まで何日か、面接の回数、見学できるか |
旅館で特に抜けやすい4つ
あなたの宿の求人票に、この4つは入っているでしょうか。入っていない場合、応募者は想像で埋めます。そして想像は、実際の条件より厳しいほうに振れやすいものです。
1. 中抜け(中休み)の実態
書かれていないことが多く、入社後に「聞いていなかった」となりやすい項目です。長さと、その時間に外出できるか、仮眠できるかまで書けると、応募者の判断が1気に正確になります。
中抜けがある宿では、ここを書くかどうかで応募者の層が変わります。書かないと「通しで働ける人」が応募し、書くと「中抜け前提で生活を組みたい人」が応募します。どちらがあなたの宿に合うかは、シフトの組み方で決まります。
2. 繁忙期の働き方
「繁忙期は忙しくなります」では何も伝わりません。何月が繁忙期で、その期間は何時から何時まで、休日がどう変わるのかを書きます。書いておけば、合わない人は応募せず、合う人が来ます。
「繁忙期の話を書くと、応募が減るのでは」と心配になるかもしれません。減ることもあります。ただ、減った分は、入社3ヶ月で辞める人だった可能性があります。どちらの損が大きいかは、あなたの宿の離職の形を見れば判断できます。
3. 寮・まかない
地方の旅館では、応募の決め手になることがあります。寮の有無、料金、個室か相部屋か、まかないの回数と時間帯。写真が1枚あると、さらに伝わります。
寮があるのに書いていない宿は、意外とあります。移住して働きたい人は、まず寮と駐車場を探します。そこが空白だと、応募の前に離脱します。
4. 制服・身だしなみ
自腹か貸与か、履物は何か、髪色や爪の規定はどこまでか。この欄が空白だと、応募者は「厳しい宿かもしれない」と想像で埋めます。そして想像は、実際より厳しいほうに振れやすいものです。
逆に、規定が緩いなら緩いと書いたほうが得です。「髪色自由」「爪は短ければ色つき可」の1行で、応募の門が広がります。
書かないほうがよい表現
- 「アットホームな職場です」 — 意味が人によって違います。代わりに「スタッフ◯名、平均年齢◯代」と事実を書きます
- 「やる気があれば未経験でも大丈夫」 — 「大丈夫」の根拠(教育期間・教える人)を1緒に書かないと、入社後に不安が残ります
- 「その他、付随する業務」 — この1文があると、応募者は「何でもやらされる」と読みます。実際に任せる範囲を書きます
書き方の順番
応募者が読む順番は、だいたいこうです。
• 給与と勤務地(自分の条件に合うか)
• 勤務時間と休日(生活に組み込めるか)
• 仕事の内容(自分にできそうか)
• 宿の雰囲気(ここで働けそうか)
ところが書く順番は、宿の紹介から始めることが多いようです。読まれる順番に並べ替えるだけで、同じ内容でも読まれ方が変わります。
宿の紹介を冒頭に置きたくなる気持ちはわかります。ただ、応募者はまず「自分に合う条件か」を判定してから、宿に興味を持ちます。判定を先に済ませるほうが、紹介文まで読まれます。
明日の朝礼や引き継ぎで試せること
いま出している求人票を1枚、印刷して読んでみてください。 読んだあとに「1日の流れ」が思い浮かぶかどうかだけを確認します。
浮かばなかったら、そこが追記する場所です。追記に迷うなら、入社3ヶ月の人に「求人票のどこが実際と違っていたか」を聞くのが1番速い方法です。この宿のことを、その人はまだ覚えているうちに教えてくれます。
もし違っていた場所がないと言われたなら、それは求人票が正確なのではなく、聞き方が重かった可能性があります。「気になったところ、あった?」と軽く聞くほうが、本音が出ます。