採用面接で聞くべきでないこと
面接で何気なく聞いた1言が、応募者を傷つけたり、選考の公平性を疑われたりすることがあります。悪気がなくても起きます。聞いてよいことと、聞くべきでないことの線を先に引いておくと、面接は安全になります。
なぜ「聞くべきでないこと」があるのか
理由は2つあります。
1つ目は、選考の公平性です。仕事ができるかどうかと関係のない情報で人を判断すると、判断がずれます。ずれた判断は、宿にとっても損です。合う人を取り逃すからです。
2つ目は、応募者への影響です。聞かれた側は、「この宿はこういうことを気にする宿なのだ」と受け取ります。受け取ると、内定を断ることがあります。断られなくても、入社後の不信として残ります。
面接の質問は、宿の評価でもあります。質問の内容で、宿が見られています。あなたの直近の面接で、何を聞いたか、少し思い出しながら読み進めてください。
聞くべきでない4つの領域
日本の採用では、本人に責任のない事情や、仕事と関係のない私的な領域を聞くことは不適切とされています。4つの領域に分けて見ます。
領域1:家庭・出身に関すること
- 実家はどこか、何をしている家か
- 家族の職業、家族構成
- 生まれた場所、育った環境
聞きたくなる場面はあります。「通勤は大丈夫か」を知りたい、など。ただ、知りたいのは通勤であって、家ではありません。思い当たる聞き方をしたことがあるなら、下の言い換えに置き換えられます。
言い換え:「通勤手段と、おおよその所要時間を教えてください」
領域2:結婚・出産・子育ての予定
- 結婚の予定はあるか
- 子どもの予定はあるか
- 配偶者は仕事をしているか
この領域は、女性に応募者が偏って聞かれやすいという問題もあります。聞かれた側は、「結婚したら辞めさせたい宿なのでは」と読みます。
知りたいのは、働ける条件です。
言い換え:「シフトは早番が遅番で、週◯日です。この条件で働くことは可能ですか」
この形なら、あなたの宿の条件をそのまま当てはめられます。
領域3:思想・信条・宗教に関すること
- 宗教、信仰
- 支持する政党や思想
- 購読している新聞
この3つを聞いても、仕事の適性はわかりません。わからない情報を集める質問は、しないほうがよいです。
領域4:健康・身体的なこと(業務に必要な範囲を超えるもの)
- 病気の履歴(業務と関係のないもの)
- 体格、見た目の印象
- 妊娠中かどうか
ここは線引きが難しい領域です。業務に直接必要な確認はできます。
- 立ち仕事が続くが、可能か
- 早朝勤務があるが、可能か
確認するのは、特定の病名ではなく、業務の内容と可否です。「この仕事はこうですが、できますか」の形なら、聞くことができます。
聞いてよいことに戻す方法
4つの領域の外側には、聞いてよいことがたくさんあります。線は1つです。
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仕事の内容・条件・スキルに関すること → 聞いてよい
本人の責任のない事情・私的な領域 → 聞かない
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聞いてよい質問の例です。
- これまでの仕事で、担当していたこと
- 接客で工夫したこと、困ったこと
- 希望する働き方(時間帯、日数)
- この宿でやってみたいこと
- 通勤手段と時間
この5つがあれば、選考の判断は足ります。あなたの面接の質問を数えて、5つのどこにも入らないものがあれば、それが線の外です。足りないと感じるなら、判断の基準のほうを見直す必要があります。基準が曖昧だと、私的な情報で埋めたくなります。
思わず聞いてしまったときの対応
面接は会話です。雑談の流れで、家庭の話が出ることがあります。応募者から話してきた場合は、聞いたことにはなりません。
困るのは、宿の側から聞いてしまったときです。このときの対応は2つです。
1. その場で取り消す
「すみません、その質問は選考と関係がないので、取り消します」
取り消すと、場の空気はむしろよくなることがあります。間違いに気づける宿だと伝わるからです。
2. 記録に残さない
評価シートに、聞いてしまった内容を残さないようにします。残すと、その情報で判断したことになります。
2つとも、その場でできます。してしまったあとに何もしないのが、いちばん避けたい形です。
評価シートに線を入れる
聞くべきでないことを防ぐ1番の対策は、評価シートを先に作ることです。
シートに項目があると、面接はその項目を埋める形で進みます。項目が「接客経験」「希望条件」「通勤時間」なら、話題はそこに寄ります。シートが質問を守る形です。
シートがない面接は、雑談に流れやすいです。雑談は楽ですが、線の外に出ることがあります。あなたの宿の面接には、いまシートがありますか。
現場の負担を減らす最初の1手
自分の宿の直近の面接を3件思い出して、聞いた質問をできるだけ書き出してみてください。
書き出したら、4つの領域に触れている質問がないか見ます。1つでもあれば、言い換えの形を隣に書いてください。
「聞こうと思っていた質問」があるなら、面接の前に評価シートを1枚作ってください。項目は5つで足ります(経験・スキル・希望条件・通勤・やりたいこと)。5つの項目があれば、線の外に出る必要性がなくなります。