意思決定の仕組みをどうつくるか
決まらない、覆る、誰も引き受けない——決定の問題は、多くが人の問題でなく仕組みの問題です。この記事は、意思決定の仕組みのつくり方を、要素と段で整理します。
仕組みがない所のサイン——5つ
• 同じ話題が3度議論され、決まらない
• 誰が最後に決めるかが、話題ごとに違うことがあります
• 決定が覆る——現場に伝わったあとで、変わります
• 全部の決定が社長に上がる——社長が詰まりの場所になります
• 決定の記録がない——「あれ、どう決めた?」に、あとで答えられません
5つのサインは、決定の「質」でなく「形」を指しています。あなたの宿には、いくつ見えますか。
仕組みの3つの要素
• 権限の地図——誰が、何を、どこまで決めるかです。地図が「全部社長」を防ぎます
• 段——提案→議論→決定→周知→見直しです。段の飛ばしが「覆る決定」を生むことがあります
• 記録——決定のカード:何を・なぜ・誰が・いつ見直しか。記録が信頼を守ります
3つの要素のうち、自分の宿に無い物はどれですか。無い要素が、サインの根です。
つくり方の5つの段
• 決定を分ける——大(経営)、中(業務)、小(現場)の3つに分けます。分けが、段を決めます
• 各の分けに権限を決める——小は現場でその日、中は週の会、大は経営の会です
• 各の分けに期限を決める——小は当日、中は週、大は月です。期限のない決定は、放置されます
• 記録のカードを置く——中と大の決定に1枚のカード。小は口頭でよいが、メモを残します
• 上がりの道を1つ作る——決められない時、誰に、何日以内に上げるか。上がりの道は、仕組みの非常口です
5つの段は、1日で置けます。仕組みは大きな制度でなく、1枚の地図と1箱のカードです。
対照的な2つの宿の歩み
典型的な2つを並べます(※複数の宿泊施設での実態をもとに再構成した事例です)。
- 1の宿(旅館)——全部の決定が社長でした——1万円の購入も社長を通る形です。社長は疲れ、現場は待ちました。新しい支配人は権限の地図を置きました:1万円まで——部署のリーダーがその日で決める。1万から十万——週の会で決める。十万超——経営の会です。カードは中と大の決定に付けました。社長の決定は3分の2減り、現場の待ちはゼロになりました。地図は社長の力を減らさず、社長を「小さい決定から解放」しました
- 別の宿(ホテル)——決定は速い形でした——ただし覆る形です。支配人は月曜に「やる」と決め、金曜に「やめる」と言いました。現場は「3日待ってから動く」を覚えました。新しい支配人は1つの規則を置きました——決定には「見直しの日」を付ける形です。見直しまでに問題が出なければ、決定は確定。覆すのは見直しの前だけで、理由を言います。覆りは減り、現場はすぐ動くようになりました。仕組みは覆りを消すのでなく、「許された時間」に置きました
差は、仕組みが地図だったか、規則だったかです。2つとも、決定の信頼を守りました。あなたの宿に足りないのは、どちらですか。
自館の現状を振り返る4つの視点
- 自分の宿の1万円の購入は、何日で、誰が決めますか
- 自分の宿の決定に、「見直しの日」は付いていますか
- 「あれ、どう決めた?」に、カードで答えられますか
- 社長の決定は、月にいくつですか
現場でまず着手できること
権限の地図を、1枚の紙に描いてください。
- 小・中・大——各を、誰が、いつまでに決めるか
- 地図が、仕組みの最初のページです。カードの箱は、明日から足ります
あなたの宿の地図には、いくつの決定が載りますか。