外国人スタッフの定着率を上げるためにできること
外国人スタッフが辞めたあと、「やっぱり続かないよね」という空気になることがあります。ただ、辞めた理由を丁寧に見ると、日本人スタッフが辞める理由と同じものが並んでいることが多くあります。
定着の共通部分は、国籍で変わらない
続く職場の形は、誰にでも効く3つです。
- 次の段が見える:この先、何を覚えて、どこへ行けるか
- 話せる場所がある:困りごとを、小さいうちに出せる
- 扱われ方が公平:同じ仕事なら、同じ基準
3つが揃う職場は、日本人スタッフにも外国人スタッフにも続かれやすい形です。定着の土台は、国籍の前にあります。
あなたの宿で辞めた人を思い浮かべたとき、3つのうちどれが空いていたでしょうか。空いていた場所が、直す場所です。
外国人スタッフで重くなる4つ
土台は同じでも、重さが違う部分があります。4つです。
1. 頼れる人が近くにいない
家族も古い友人もいない土地では、困りごとの受け皿が職場だけになります。受け皿がないと、困りごとは黙って溜まります。
2. 不満が言葉になりくい
日本語で不満を言うのは、日本語で礼を言うより重い作業です。言わない不満は、消えたのではなく、退職の形まで待つことがあります。
3. 期限が絡む
在留資格の更新、特定技能の5年の区切り。期限の直前は、人が去就を考える時期です。考える時期に、宿が何も出さないと、考える材料は外の情報だけになります。
4. 生活の土台が宿の上にある
住居、口座、役所の手続き。生活の土台が職場のサポートの上にあると、職場への不満が生活への不安と混ざります。混ざると、退職が「全部を変える」選択になりやすいです。
できることは5つ
宿でできることを5つ挙げます。5つのうち、あなたの宿でいま動いているものはいくつありますか。
1. 話せる場所を、形で作る
「相談してね」でなく、枠で作ります。月に十5分の面談、担当2人、外部の窓口の情報。形があると、日本語が重くても出せます。
2. 次の段を、1緒に書く
1年分の成長の1枚。覚える仕事、受ける試験、任せる役割。本人の言葉が入った1枚は、宿が決めた計画より続きます。
3. 生活の初期を、1度だけ1緒にやる
口座、役所、病院。最初の1度を1緒にやると、2度目から本人ができます。最初の3ヶ月の生活が落ち着いた人は、仕事に力が出せます。
4. 「チームの1員」として扱う
朝礼で名前を呼ぶ、申し送りに意見を書く欄がある、飲み会の日程に宗教の配慮が入っている。「外国人スタッフ」として固めて扱わないことは、公平の土台そのものです。
5. 節目の前に、先の話をする
更新の3ヶ月前、5年の区切りの1年前、繁忙期のあと。節目の前に宿の側から「この先どうしたいか」を聞くと、去就の考える材料に宿が入ります。
辞めたくなるサインは、観察から対話へ
定着の話では、「サイン」を見つける話がよく出ます。ここで線を引いておきます。
見えることがあるのは、変化です。
- 相談の数が減った
- 朝礼での声が出なくなった
- 更新の話に反応がなくなった
変化が見えたとき、できるのは結論でなく対話です。「最近どう?」の1言から始めます。変化の理由が、仕事なのか、生活なのか、体調なのか、家庭なのかは、聞かないとわかりません。推測で「帰国を考えているのでは」と決めつけると、本人は話を閉じます。
サインは「辞める証拠」ではなく、「話を聞く時期」の合図です。
定着率は、数字で見る
感覚でなく、数字で見ると直せます。あなたの宿では、この数字を出したことがありますか。出し方はこうです。
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離職率(年)= その年に辞めた人数 ÷ その年の平均在籍人数
在籍期間の中央値 = 辞めた人の在籍期間を並べて、真ん中の値
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外国人スタッフだけ別に出すと、日本人との差が見えます。差が大きいなら、宿の受け入れの形に直す場所があります。差がないなら、定着の問題は宿全体の形の話です。
数字は責めるためでなく、直す場所を選ぶために出します。
5つのうち、どれからやるか
5つを全部やろうとすると、止まります。選ぶ基準は3つです。
- 直近の退職で、どれが空いていたか
- いまいる人で、どれが効きそうか
- 3ヶ月で形にできるのはどれか
1つ選んで、3ヶ月やると、次の1つが見えます。定着は、施策の数でなく、続く形で決まります。
明日からの実践につなげるワンアクション
直近で辞めた外国人スタッフ(または実習生)を1人思い出して、5つのうちどれが空いていたか、1つ選んでみてください。
選べたら、いまいる人に同じ穴がないかを見ます。穴が1つ見つかれば、今週のうちに埋める形を決められます(面談の十5分を1つ入れる、更新の話を1度する)。
辞めた人がいない宿は、在籍の人の節目を見てください。更新が半年以内にある人、5年の区切りが近い人。節目の前に、5番目(先の話)を1度するだけで、去就の材料に宿が入ります。