採用 / RECRUITMENT採用コスト・人件費
KNOWLEDGE対象: 経営者・支配人

1人採用するコストと1人辞めるコスト

「1人辞めた」は、人数が1人減った出来事に見えます。ただ、実際にはかかったお金が消えて、新しいお金が発生する出来事です。2つの金額を並べると、定着に使うお金の根拠が出ます。


1人採用するコストの中身

採用にかかるお金は、4つの層に分かれます。

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採用コスト = ①外に出たお金 + ②中の人件費 + ③初期の装備 + ④教育の時間

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① 外に出たお金

  • 求人媒体の掲載費
  • 人材紹介の手数料
  • 採用ページ・パンフレットの制作費
  • 応募者の交通費(支給する場合)

② 中の人件費

  • 書類選考・面接に使った時間(同席した人数ぶん)
  • 求人票を書いた時間
  • 内定連絡と、入社前のやりとりの時間

③ 初期の装備

  • 制服、靴、名札
  • ロッカー、道具、備品
  • アカウント発行や、システムの初期設定

④ 教育の時間

  • 教える人が横についた時間
  • 新人が、慣れずに時間をかけた分
  • 手順書や教育資料を作った時間

①と③は請求書として残ります。②と④は、人件費の中に溶けて消えます。溶けるので、見えないままになります。

あなたの宿では、この4つのうち、いくつを金額として出せるでしょうか。出せない層が、見えなくなっているコストです。

1人辞めるコストの中身

辞めたときにかかるお金は、採用コストとは別の形をしています。

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離職コスト = ①採用コストの損失 + ②引き継ぎと穴埋め + ③品質の低下 + ④次の採用

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① かけた採用コストが回収できない

3ヶ月で辞めたなら、教育にかけた時間はほとんど戻りません。1年続いたなら、半分は戻っています。続いた期間が短いほど、損失は大きくなります。

② 引き継ぎと穴埋め

  • 辞める前の引き継ぎの時間
  • 残った人がその仕事を引き受ける時間
  • 引き受けた人の残業代
  • 1時的に外部に頼んだ費用

③ 品質の低下

  • 慣れた人がいなくなって、作業が遅くなる
  • ミスが増える
  • お客様への対応が薄くなる
  • 口コミに書かれる

③は金額にしにくい部分です。ただ、売上に効きます。稼働が落ちた月と、人が辞めた月を並べると、関係が見えることがあります。

④ 次の採用

もう1度、①から④を繰り返します。離職は、次の採用コストを確定させる出来事です。

2つを並べると、何が見えるか

採用コストと離職コストを並べると、次の関係が見えます。

  • 採用コストは、1度だけかかる
  • 離職コストは、採用コストを含んでかかる
  • つまり離職コストは、採用コストより大きい

だから「採用にお金をかけるより、辞めさせないほうが安い」という話になります。これは定着施策の根拠として、よく使われます。

ただ、ここで1点、置いておきたいことがあります。

定着にお金をかければ、離職が減るとは限りません。 かけた場所がずれていると、お金だけが出て、人は辞めます。

金額を出さないほうがよい理由

「1人辞めると◯◯万円の損失」という数字を、外部の資料で見ることがあります。この数字を、そのまま自分の宿に当てはめないほうがよいです。

理由は3つです。

  • 宿の規模が違う(5人の宿と百人の宿では、穴の埋まり方が違います)
  • 職種が違う(専門職と、手順が決まった作業では、教育の長さが違います)
  • 地域が違う(採用のしやすさが違います)

自分の宿の数字を出すほうが、判断に使えます。出す手順は4つです。

• 直近1年で採用した人数を書く

• その人たちに使った①〜④を足す(出せる範囲でよい)

• 直近1年で辞めた人数を書く

• 辞めた人にかかった①〜④を足す

4つの数字が揃うと、「1人を得るのにかかった金額」と「1人を失った金額」が並べられます。

数字が出せないときの、簡易な見方

金額を出すのが難しいなら、時間で見る方法があります。

  • 1人を戦力にするのに、何ヶ月かかったか
  • 辞めた人の仕事を、残った人が何時間引き受けたか
  • 次の採用に、何時間かけたか

時間は、誰でも出せます。時間が出れば、「何人ぶんの人件費か」に換算できます。換算すると、金額に近い形になります。

この見方なら、会計の知識がなくても、経営会議に出せます。

定着に使うなら、どこが効くか

離職コストを減らすために使える場所は、3つです。

1. 入社前の連絡

内定から初日までのあいだに、3行の連絡を入れる。費用はゼロです。初日の欠勤と、3日目の辞退が減ります。

2. 入社3ヶ月の面談

十5分を3回。この4十5分が、半年の在籍を左右することがあります。

3. 教える人の時間を確保する

シフトに教育の枠を入れる。枠を入れると、教える人の残業として吸収されません。

3つとも、大きな投資ではありません。離職コストの1部を、こちらに回すだけで足ります。

明日の朝礼や引き継ぎで試せること

直近1年で辞めた人を1人思い出して、その人にかけた時間を3つ書いてみてください。

  • 面接に使った時間
  • 教えるのに使った時間(あなたの時間、または教えた人の時間)
  • 辞めたあと、引き継ぎに使った時間

3つを足して、時給換算してください。出た金額が、その1人の離職コストの下限です。下限だけでも、金額が出ると印象が変わります。

金額が出たら、上の3つの定着施策のうち、1つを選ぶところまで進んでください。選ばないと、数字を出しただけで終わります。



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