文化や習慣の違いが気になるとき・まず何を確認するか
現場で「あれ?」が起きる。挨拶が返ってこない、指示通りに動いていない、休みの希望の出し方が違う。「文化の違いかな」と思う前に、確認する順番があります。
「文化の違い」を最初に置くと、何が止まるか
「文化の違いだ」と考えると気持ちは楽になります。相手を責めなくて済むからです。ただ、そこで考えるのが止まります。
止まると、3つのことが起きます。
- 本当の原因(伝わっていなかった、など)が直らない
- 同じ「あれ?」が繰り返される
- 「あの国の人はこう」という決めつけが、チームの中に育つ
3つ目は、本人がいないところでの言い方から始まります。言い方が育つと本人にも伝わり、職場の関係が冷えやすくなります。
あなたの職場で最近起きた「あれ?」を1つ思い出してください。このあとに出てくる3つの確認を、その「あれ?」に当てはめながら読み進められます。
確認の順番は3つ
「あれ?」が起きたときの確認は、この順番が軽い形です。
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• 伝えているか(前提の確認)
• 伝わっているか(言葉の確認)
• その人だけの動きか(個人の確認)
→ ここまで確認して残ったものが、習慣の違いの候補
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文化・習慣の話は、3つの確認のあとに置きます。先に置くと、3つを飛ばしてしまうからです。
確認1:伝えているか
いちばん多い原因は、ここにあります。伝えていなかった、または1度しか伝えていない。
- そのルールを、いつ、誰が伝えたか
- 口頭だけだったか、書面もあったか
- 入った時期が違う人に、同じ内容を伝えたか
日本人の新人にも起きます。「言わなくてもわかる」は、誰にでも通じません。外国人スタッフの場合、「言わなくてもわかる」の範囲が最初から重なっていないことがあります。どちらの責任でもなく、確認すれば直ります。
確認2:伝わっているか
伝えたなら、次は届いたかを見ます。
- 話す速さは、普段のままだったか
- 「大丈夫です」は、「わかりました」の意味だったか、それとも「問題ありません」の意味だったか
- 専門の言葉(インバウンド、稼働、送迎、インカム)を、そのまま使わなかったか
「はい」は、理解のサインとは限りません。届いたかの確認は、1度やってもらう形が確実です。「このあとどうするか、1言で言ってください」。言えたなら、届いています。
指示の出し方の工夫は、『日本語が母語でないスタッフへの指示の出し方』と 『外国人スタッフ向けのマニュアルはどうつくるか』(マニュアル)にあります。
確認3:その人だけの動きか
3つ目の確認は、比べることです。
- 同じ国から来た別の人も、同じ動きをするか
- 日本の新人でも、同じ間違いをすることがあるか
- その人の中で、場面によって違うか(朝はできる、繁忙時はできない)
比べるときの注意は1つです。「同じ国の人の例」だけで判断しないこと。同じ国の人でも、地域、年齢、経験で動きは違います。比べるのは「その人の動きと、仕事の求め」です。
3つの確認のあとに残るもの
3つを確認しても残る「あれ?」は、習慣の違いの候補です。候補としてよく出てくるものを4つ挙げます。
| 「あれ?」 | 背景にあるかもしれないもの | 最初にすること |
|---|---|---|
| 目を合わせない | 敬意の形が違う(目線を下げる文化もある) | 挨拶の形を1度、言葉で確認する |
| 「できません」と言わない | 断る表現が回りくどくなる文化もある | 断り方の型を渡す(「ここまではできます」) |
| 休みの希望が直前 | 計画の立て方の習慣が違う | 希望の出し方の期限を1度決める |
| 食事の時間が気になる | 宗教上の制約があることがある | 本人に、配慮が必要なことがあるか聞く |
4つとも、背景は「かもしれない」です。表の右側は、背景が何であれ使えます。背景を確定しなくても、動きは直せます。
習慣の話は、本人に聞く
3つの確認のあとに残ったものは、本人に聞くのが確かめ方の中心です。
聞き方には形があります。
- 「あの動きは、どういう考えからですか」→ 尋問に聞こえることがあります
- 「うちのやり方と違うと感じたことはありますか」→ 本人も答えやすい形です
- 「もし出身の国や文化で違う慣わしがあれば、教えてもらえますか」→ 本人が選んで話せます
3つ目の形がよいのは、話すか話さないかを本人が選べるからです。選べない形はプライバシーに入ります。
聞いた結果、仕事のルールと重ならないこと(食事、祈りの時間、祝日)なら、配慮できる形を1緒に探します。重なること(安全、接客の基準)なら、理由つきでもう1度伝えます。理由があると、ルールは受け取られやすいです。
確認は、リーダー1人の仕事にしない
3つの確認をリーダーだけがやっていると疲れます。疲れると、確認が「あれ?」への反応だけになります。
宿の側で用意できるものは3つです。
- ルールの1覧:何をいつ伝えたかを書いた1枚
- 指示の型:やさしい日本語の形をチームで共有する
- 相談の窓口:本人がリーダー以外に話せる場所
3つがあると、確認はリーダーの頑張りでなく、仕組みで回ります。あなたの宿では、3つのうちいくつありますか。
現場で共有したい1つの視点
最近の「あれ?」を1つ思い出して、3つの確認を順番に当てはめてみてください。
- 伝えたか → いつ、誰が、どんな形で
- 伝わったか → その人は自分の言葉で言えるか
- その人だけか → 他の人ならどうか
3つのうち、どれかで「あやしい」が見つかれば、それが原因の候補です。「文化の違い」は、3つを全部確認してから考えてください。3つの前に置くと、直す機会を1つ逃します。
3つを確認しても残ったものは、本人に聞いてみてください。聞けない関係なら、聞ける関係を作るところが最初の1歩です。