面接で何も質問してこない応募者
1通り説明して、「何か質問はありますか」と聞く。「とくにありません」と返ってくる。これで面接が終わります。判断材料が、ほとんど残りません。
質問がないのは、悪いサインとは限らない
まず、置いておきたいことがあります。
質問がない理由は、いくつかあります。
- 緊張していて、聞く余裕がなかった
- 説明が丁寧で、聞きたいことがなくなった
- 質問してよいのか、わからなかった
- 断られるのが怖くて、聞けなかった
- もともと、聞く習慣がない
このうち、宿にとって問題になるのは3番目と4番目です。質問してよい場所だと思われていない、ということです。
あなたの宿の面接では、「質問はありますか」の前に、質問しやすい空気をつくる時間があったでしょうか。なかったなら、答えは応募者の性格ではなく、面接の形にあります。
判断するために見るところ
質問の内容が使えないなら、別の場所を見ます。
1. 説明を聞いているときの反応
勤務時間を伝えたとき、休日を伝えたとき、繁忙期の話をしたとき。表情と相づちが変わる場所はどこか。変わった場所が、その人が気にしている条件です。
2. メモを取ったかどうか
取っていなくても問題ありません。ただ、取った人に「何を書きましたか」と聞くと、その人が何を大事にしたかがわかります。
3. 宿の話を、自分の言葉で繰り返せるか
「さっきの話で、早番は何時からでしたか」と1度だけ聞いてみます。答えられるなら、聞いています。答えられないなら、その時点で頭がいっぱいです。聞いていないのではなく、入りきっていない可能性があります。
4. 帰り際の様子
立ったとき、部屋を出るとき、玄関まで送ったとき。面接中の態度と変わるかどうか。変わって柔らかくなるなら、緊張していただけです。変わらないなら、慎重な人です。
質問を引き出す3つの聞き方
「何か質問はありますか」は、答えにくい問いです。範囲が広すぎて、何から聞けばよいかわからないからです。
聞き方を分けると、答えが出やすくなります。
- 条件から聞く:「勤務時間のことで、気になることはありますか」
- 生活から聞く:「家から通うとしたら、どのくらいかかりそうですか」
- 未来から聞く:「もし入ったら、最初に覚えてみたいことは何ですか」
3番目は、質問ではなく応募者の希望を聞く形です。それでも、その人が何を見ているかがわかります。
宿の面接では、質問されないまま終わることが珍しくありません。だからといって、その人を「意欲がない」と判断するのは、材料が足りないままの判断になります。
質問しない人を、どう評価するか
評価シートに「質問の多さ」の項目があるなら、1度見直してみてください。
質問の多さは、その場の緊張度と、質問する習慣で大きく変わります。仕事での確かさとは、別の軸です。
見るなら、次の2つに置き換えると実態に近づきます。
| 置き換える前 | 置き換えた後 |
|---|---|
| 質問が多いか | 確認したいことを、自分から言えたか |
| 意欲があるか | この宿で働く自分を、想像できていたか |
2つ目は、『旅館の採用面接で確認したい5つのこと』の「まず何ができるようになりたいか」と同じ問いです。質問の代わりに、この問いへの答えの具体性を見ます。
質問されなかった面接のあとに、やっておくこと
面接が終わって、「質問がなかった」だけで判断できないときは、次の1手があります。
- もう1度、短い連絡を入れる(メールか電話で、条件の要点を3点だけ送る)
- 見学の機会を提案する(3十分、現場を見るだけ)
- 返事の期限を、少し長くする(急かすと、考える時間がなくなります)
この3つのどれかをしておくと、あとから質問が来ることがあります。面接の場では出なかった疑問が、家に帰ってから出てくるからです。
リーダーが今日からできる小さな工夫
次の面接で、「何か質問はありますか」の前に、3つだけ聞いてみてください。
• 「いまの説明で、わかりにくかった場所はありますか」
• 「勤務時間のことで、気になるところはありますか」
• 「もし入ったら、最初にやってみたいことは何ですか」
3つ聞いて、それでも答えがないなら、それは緊張ではなく、興味の薄さかもしれません。ただ、3つ聞く前に判断すると、緊張している人を見送ることになります。
3つの問いは、十5秒でできます。入れておくだけで、面接の精度が変わります。