接客研修で最低限おさえたい項目
接客研修で教えることを考えると、リストはどこまでも伸びます。時間は伸びません。この記事は、最低限おさえたい項目——削っても回る選び方の話です。
選ぶ基準:「これが無いと、何が起きるか」
接客は3つの層で考えられます。
• 迷惑をかけない——線を超えない形
• 対応できる——基本の仕事が回る形
• 届けられる——気づきと言葉が届く形
最低限は、1と2の層+3の入り口です。3の層の深追いより、1と2の穴を塞ぐ方が、お客様の経験は先に変わります。
層の1:迷惑をかけない——4つ
• 挨拶と表情:お迎えの最初の形。挨拶は、学べば誰にでもできる項目です——才能の項でなく、形の項です
• 言葉の基本:完璧な敬語でなく、5つの言葉を先に——いらっしゃいませ/かしこまりました/お待たせいたしました/申し訳ございません/ありがとうございます。5つが揃うと、会話は回ります
• 見た目:制服、髪、手、名札。お客様が見る最初の情報です
• お客様情報の扱い:お名前、部屋番号、支払い——外に出さない線の形。この項目は、他の3つより先に置きます(安全と同じ位置です——『新入社員研修のスケジュールはどう組むか』)。あなたのチームでは、情報の線はどこに引かれていますか。
層の2:対応できる——4つ
• 案内:玄関から席・部屋までの流れ。道順でなく、歩きながらの形(速度、位置、声のかけ時)
• 注文と提供:受け方、運び方、出し方、下げ方。宿の1日の真ん中の仕事です
• 電話:受け方、つなぎ方、伝言の形。電話は、お客様の宿の第1印象になることがあります
• 「分からない」の渡し方:答えられない質問が来たとき、誰に、どう渡すか。「分からない」を言えない形は、黙るか、推測で答える形になります
8つは、どれも「無いと迷惑になる」項目です。あなたのチームの最新の新人は、8つのうちいくつ1人で回せますか。
層の3の入り口:2つ
• お客様を見る:お水のコップ、お荷物、お手元——呼ばれる前の気づきの入り口です。見る項目は、「何を見るか」を言葉にすると教えられます
• 1言の会話:天気、温泉、地元の料理——雑談には距離の形があります。入り口の項目は「1言」まで。深いは、その人の性格と段階に任せます
3の層を最初から全部教えようとすると、1と2が薄くなります。入り口の2つを置いて、あとはOJTで育てる形です。あなたのチームの「見る」項目は、言葉になっていますか。
教え方:座学で教えない
十の項目は、どれも体の仕事です。座学で読んだ挨拶は、お客様の前に出ると消えることがあります。
回し方は、4つのステップ——言って、やって見せて、やらせて、返す。言葉づかいはロールプレイングで体に載せます。研修の時間は、聞く時間でなく動く時間に寄せてください。あなたのチームの研修は、聞く時間と動く時間がいくつずつですか。
最低限は「全員ができる」の基準
十の項目は、上手な人の水準でありません。新人が1人で回せる水準です。
- 揃える道具は3つ——チェックの紙(できる・見れば・まだの3段——『多能工化はどう進めるか・何から始めるか』の表と同じ形)、繰り返し(1週間ごとに1度)、返事(見て、1行返す)
- 揃った十項目の上に、その人の「らしさ」が載ります。底が揃わない宿では、らしさはばらつきに埋もれます。あなたのチームの底は、どこにありますか。
最低限の次
十項目が回ったら、次は重い場面の研修です——クレーム対応。ただ、クレームの種も多くは1と2の層の穴から出ます(案内の迷い、伝言の落ち、言葉のつまずき)。最低限を揃えることは、クレーム研修の前の、1番広い予防です。
今日から見直せる業務のポイント
紙1枚に3つの列(迷惑をかけない・対応できる・届けられる)を書いて、十の項目を置いてみてください。
- 各項目に、チームの最新の新人の名前を置いて、3段(できる・見れば・まだ)で印を付けます
- 「まだ」の項目が、次の研修の中身です
- 「できる」の項目は、その人にやって見せる役を渡します(教える側は、1番深く学べます——『OJTとは何か・旅館でどう回すか』)
十項目は、どの宿でも同じ形で置けます。違うのは、揃っているかどうかです。あなたのチームの十項目は、今日数えられます。