外国人材 / GLOBAL HR多文化チーム
KNOWLEDGE対象: 現場リーダー

多文化チームとは何か・何が変わるのか

「多文化チーム」。名前は大きく聞こえます。ただ、実体はあなたが働いている場所の話です。日本語が母語でない人がいる、背景が違う人がいる。それだけで、チームは多文化の面を持ちます。


多文化チームの定義

多文化チームは、メンバーの言葉や文化の背景が違うチームです。国籍の数で決まるものではありません。

  • 日本語と、他の言語を話す人が混ざっている
  • 育った地域や習慣が違う人が混ざっている
  • 世代や雇用の形が違う人が混ざっている(これも「違い」の1つ・『多様な背景を持つ人が働く職場づくりの進め方』)

5人の宿に外国人スタッフが1人いれば、そこは多文化チームです。「うちはまだ多文化ではない」は、違いの有無でなく、違いの扱い方が決まっているかで決まります。

あなたのチームを思い浮かべてください。言葉や背景の違いは、いくつありますか。1つでもあれば、この記事の話はあなたの現場の話です。

変わらないものと、変わるもの

多文化チームになると、変わる部分と変わらない部分があります。線引きをします。

変わらないもの

  • 仕事そのもの:客室の清掃の基準、接客の丁寧さ、安全のルール
  • お客様への約束:宿の質は、チームの構成で変わりません
  • 公平の原則:同じ仕事なら同じ基準

変わるもの

  • 伝え方:暗黙の前提が通じないので、言葉と形にします
  • 教え方:「見て覚えろ」が重くなるので、1度やって見せる形を足します
  • 決まり:口承のルールを書き出します。書くと、日本人にも効きます
  • 朝礼・申し送り:声の出し方が均等になる形に変えます

変わるものは、どれも「形」の話です。「文化を理解する」の話ではありません。形は作れます。作れるものは、 リーダーの仕事になります。

多文化チームの3つの特徴

特徴1:暗黙が明示を必要とする

「言わなくてもわかる」は、同じ背景の人どうしの省略です。背景が違うと、省略が通じません。

通じないとき、2つの方向があります。あなたのチームでは、どちらが動いていますか。

  • 言う側が、言葉にする(指示を3行にする・『日本語が母語でないスタッフへの指示の出し方』)
  • 聞く側が、聞き返す(「わからない」が言える空気・『外国人スタッフ受け入れの社内研修はどう進めるか』)

両方が動くと、チームの言葉は前より正確になり、新人にも効きます。多文化チームは、職場の言葉を整える機会でもあります。

特徴2:最初は通信のコストが上がる

伝達に時間がかかります。確認が1段増えます。最初の数ヶ月は、効率が落ちます。

落ちることは失敗でなく、投資の形です。形(マニュアル、指示の型、朝礼のやり方)が定着すると、コストは下がります。下がったあとのチームは、言葉が正確な分、前より軽いことがあります。あなたのチームは、いまコストが上がっている時期でしょうか、形が定着した時期でしょうか。

コストが上がる時期に「多文化は合わない」と判断すると、投資の途中でやめる形になります。判断は、形を作ってからでも遅くありません。

特徴3:違いは力になりうる(自動ではならない)

多言語の接客、違う視点の気づき、地域との新しいつながり。多文化チームの力は、実在します。

ただ、力は自動では出ません。出る条件は3つです。

  • 違いが「面白い」として扱われる(「変」としてでなく)
  • 声が均等に出る形がある
  • 違いで評価が分かれず、同じ基準がある

3つの形があると力は出ます。ないと、違いは摩擦の場所のままになります。

よくある2つの誤解

誤解1:「文化の理解がまず必要」

理解は役に立ちますが、先に要るのは形です。指示の型、マニュアル、相談窓口。形があると、理解はあとからついてきます。形がない理解は、個人の親切で終わります。

誤解2:「外国人の側が慣れるべき」

慣れは双方向です。日本語が母語でない人が言葉に慣れるのと同じくらい、チームが「明示する働き方」に慣れます。片側だけの慣れは、負担の偏りになります。

リーダーの仕事:橋でなく、形を作る

多文化チームのリーダーは、「通訳の橋」になりがちです。橋は便利です。ただ、橋が1人だと、その人が休むとチームが止まります。

リーダーの仕事は、橋がなくても回る形を作ることです。

  • ルールが書いてある
  • 指示の型が決まっている
  • 声の出し方に順番がある
  • 相談の道が2つ以上ある

4つの形があると、橋は「困ったときの道具」に戻ります。道具に戻った橋は、チームを弱くしません。

回っているチームのサイン

多文化チームが回っているサインは、3つです。

  • 声が均等:朝礼で、日本語が母語でない人も1言を発している
  • 質問が出る:「わかりません」「もう1度」が普通に言われている
  • 小さいトラブルが早く出る:黙って溜まらず、その週のうちに出る

3つは、国籍の数では見えません。声の数と、質問の数で見えます。

自館の改善に向けて今日できること

次の朝礼で、何人が声を出したか、数えてみてください。

どの人も何かを言っていたら、あなたのチームは声の形ができています。言っていない人がいたら、1言の役割を足してください(「今日の担当を1言で」「昨日の気づきを1言で」)。役割があると、日本語が重くても声が出せます。

数えることを1週間続けると、声の地図ができます。地図に空白がある場所が、チームの形の直しどころです。空白が埋まったチームは、多文化かどうかに関係なく、強くなります。



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