人事制度と組織の実態がずれているとき
制度は「能力主義」と言い、実態は「順番」です。制度は「立候補」と言い、実態は「指名」です。このずれは、皆知っていて、誰も言わないことがあります。この記事は、ずれのサインを置きます。
見えるサイン——7つ
• 評価の制度は「能力」を言うが、昇進は勤続の順番で決まる
• 登用の制度は「立候補」を言うが、実は「指名」です
• 制度が使われていない——様式はあるが、あとから埋められる
• 新人が3ヶ月で驚く——「話が違う」の声が出る
• ベテランが制度を説明しない——「書いてあるのと違う、見て覚えろ」
• 人事が、制度と実態の差を説明できない
• 制度は3年前の改定で、組織は2年前に変わった
7つのサインは、制度の「悪さ」でなく、ずれの素材です。あなたの会社のずれは、どのサインに出ていますか。
なぜ、ずれは生まれるのか——3つの仕組み
- 制度は理想の紙——制度は「あるべき」で書かれます。実態との差は、構造から出ることもあります
- 組織は制度より速く変わる——改編、配置、戦略の変化。制度の改定は、追いつかないことがあります
- ずれは便利なことがある——ずれは、誰かに都合がよい形です。立候補は手間、指名は速い。便利なずれは、言われないまま残ります
2人の人事の物語
典型的な2人を並べます(※複数の宿泊施設での実態をもとに再構成した事例です)。
- 1の宿(ホテル)——評価の制度は「能力の点数制」でした——ただし、上司は点数を「好み」で付けていました。スタッフは見ていました——「点数は演技だ」。制度の信頼はゼロになり、優秀な若手が「ここでは上がれない」と去りました。人事は監査を行いました:点数の序列と、実際の昇進を比べたのです——相関は薄い形でした。彼は制度を変えました——細かい点数制をやめ、粗い「3段の評価+理由の必須記入」にしました。粗いが正直——制度は、使われるようになりました
- 別の宿(旅館)——ずれは「守られて」いました——制度は立候補を言い、実態は支配人の指名でした。人事は知っていましたが、言いませんでした(「その方が速い」からです)。ある日、選ばれなかった新人が聞きました——「なぜ、自分は選ばれないのですか」。人事は、答えられませんでした。その新人は半年後に去り、去りの面談で言いました——「ここでは、言葉と実態が違う」。人事は制度を実態に書き直しました——指名+理由の明記です。制度は小さくなり、ずれは消えました
差は、制度を直したか、ずれを直したかです。あなたの会社の直しは、どちらを向きますか。
自館の足元を点検する4つの論点
- あなたの会社の制度のずれは、何のずれですか——評価ですか、登用ですか
- あなたの会社の新人は、そのずれに3ヶ月で気づきますか
- あなたは、そのずれを説明できますか(なぜあるか)
- あなたの会社の制度の最後の改定はいつで、組織の変化はいつでしたか
サインから行へ——3つの段
- ずれに名を付ける——まず、言葉にします:「制度はXと言い、実態はYだ」。名のないずれは、直せません
- 実態を直すか、制度を直すかを選ぶ——実態を制度に近づける(理想の側)か、制度を実態に近づける(正直の側)か。どちらにも理があります
- どちらの直しにも、理由を書く——ずれの説明が、次の信頼を守ります。説明のない直しは、次のずれを生むことがあります
職場の1歩を踏み出すためのヒント
自分の会社の「ずれの深い1個」を、1文で書いてください。
- 「制度は__と言い、実態は__だ」——書いた1文が、改定の最初のページです
- 1文は、人事の引出しでなく、経営の机に置きます。ずれは、共有されて初めて直せます
あなたの会社の1文は、何になりますか。