いつも同じ人だけが採用担当をしている
求人票を書くのも、媒体の管理も、面接の日程調整も、内定の連絡も、入社書類の準備も。気づくと、全部が1人の手の中にあります。
これは、その人が優秀だから起きている
まず、置いておきたいことがあります。
1人に集まっているのは、その人が1番できるからです。丁寧に書いて、早く返して、抜けがない。だから、次もその人に回ります。
褒められる形で、仕事は集まります。集まった本人も、最初は断りません。自分がやったほうが早いからです。
ただ、この状態が続くと、3つのことが起きます。
1つ目:その人が休めなくなる
採用の業務は、締切があります。応募が来たら、その週に返事をします。面接の日程は、相手の都合に合わせます。
つまり自分の都合で動かせない仕事です。こういう仕事が1人に集まると、その人の休みは「連絡が来ない日」だけになります。
あなたの宿で、採用担当の人が有給を取ったのは、いつでしょうか。思い出せないなら、その人は休めていません。
もちろん、小さい宿では1人が持つほかないこともあります。ここでは、持たされているのに休めていない場合の話として読んでください。
2つ目:基準が1人の中にある
面接の判断、求人票の書き方、辞退への対応。これらが1人の中にしかないと、その人がいないときに採用が止まります。
止まるだけなら、まだ戻せます。困るのは、基準が言葉になっていないことです。
- なぜあの応募者を通したのか
- なぜあの条件を求人票に入れたのか
- なぜあの媒体を使っているのか
理由が1人の中にしかないと、次の担当が引き継げません。引き継げないと、また同じ人が戻ってきます。
3つ目:他の人が採用に関われなくなる
採用は、本来、現場の情報を要する仕事です。
- どの部署で人が足りないか
- どんな力を持つ人が必要か
- 入った人が、実際に何で困ったか
これらは現場にしかありません。1人が全部をやっていると、現場の情報が採用に入らなくなります。入らないまま人を採ると、現場が困ります。困った現場は、次の採用に協力しなくなります。
集まりやすい仕事、集まりにくい仕事
採用の業務を分けると、集まり方に差があります。
| 1人に集まりやすい | 分けやすい |
|---|---|
| 求人票の作成 | 現場見学のアテンド |
| 応募者とのやりとり | 面接での現場質問(部署の人が担当) |
| 媒体の管理・更新 | 入社書類の説明 |
| 内定・辞退の連絡 | 初日の案内 |
| 数値の集計 | 採用ページの素材(写真・声)の収集 |
右の列は、現場の人にも渡せます。渡すと、採用が現場の話になります。
左の列は渡りにくいです。ただ、全部を渡す必要はありません。1つだけ渡すところから始められます。
渡すときに、決めておくこと
仕事を渡すとき、曖昧に渡すと戻ってきます。決めておくのは3つです。
• どこまでをその人がやるか(例:面接の最初の十5分だけ)
• 何を聞いたらよいか(例:この部署で1日の流れを説明する)
• 判断を誰がするか(例:合否は担当しない。情報だけ持ち帰る)
3番目が抜けていると、渡された人が重く感じます。判断を求めない形で渡すと、現場の人は受けやすくなります。
あなたの宿で、1人に集まっているかを見る
確認は、難しくありません。あなたの宿の直近の採用について、次を書いてみてください。
- 求人票を書いた人
- 応募者に連絡した人
- 面接に同席した人
- 内定を伝えた人
- 初日に対応した人
5人の名前が全部同じなら、集まっています。2つか3つ違うなら、部分的に分かれています。
名前が1人しか出てこない場合、その人が辞めたときの採用を想像してみてください。想像できないなら、それが今の状態です。
集まっていることは、問題ではないこともある
小さい宿では、1人が全部やる形しか取れません。5人の宿で採用担当を3人にするのは、現実的ではありません。
その場合は、分けるのではなく、言葉にする方向に進みます。
- 求人票の書き方を、1枚にまとめておく
- 面接で聞く質問を、5つ決めておく
- 応募が来たときの返事の文面を、用意しておく
言葉になっていれば、その人が休んでも、別の人が1時的に持てます。全部を渡せなくても、止めない形にはできます。
現場の負担を減らす最初の1手
直近の採用で使った求人票を、誰が書いたかを思い出してみてください。 書いたのが自分なら、次の1枚を、他の人に書いてもらってください。
書けないと言われるなら、「いまの求人票の、直したい場所を3つ挙げてもらう」ところから始めます。3つ挙げられれば、書き直す材料は揃っています。
書いたあとに、あなたが手を入れるのは構いません。1度でも他の人が書くと、基準が2つの頭に入ります。 それが、止まらない採用の始まりです。