組織と人事戦略の関係
人事戦略は、理想で決まるのでありません。組織の実態と、経営の向きで決まります。この記事は、HRBPの視点から、典型的な事例を並べ、組織と人事戦略の関係を置きます。
人事戦略が組織に縛られる——3つの現実
• 人のいない成長戦略は書けない——組織の実態が人手不足なら、戦略の最初は育成でなく、採用と定着です
• 育てる人のいない育成戦略は書けない——育成には、教える人が要ります。いない組織の育成戦略は、紙で終わることがあります
• 数字のない組織戦略は書けない——人件費、離職率の数字なしの戦略は、理想です
3つの現実は、戦略を縛るのでなく、戦略の土台です。あなたの会社の人事戦略は、3つの現実の上に書かれていますか。
典型的な事例——3つ
HRBPのファイルから、典型的な3つを並べます(特定の会社の記録でありません)。
• 事例1:拡大を夢見るリゾート——経営は3年で2拠点目を狙いました。人事戦略は「支配人候補の育成」のはずでした。HRBPは組織を見ました:リーダーが1人もおらず、離職が高い形でした。戦略は書き直されました——1年目・定着、2年目・リーダー育成、3年目・候補の選定です。拡大は、組織から始まります
• 事例2:評価を入れたがる旅館——経営は人事評価を求めました。HRBPは組織を見ました:規則が紙でなく、評価の基準が女将の頭の中にありました。評価を先に入れると、不信が燃えます。戦略は順番を変えました——先に規則の紙、次に基準、最後に評価です。戦略の順番は、組織の順番です
• 事例3:外国人採用で人手を埋めたがるホテル——経営は外国人採用を求めました。HRBPは組織を見ました:日本人スタッフの残業も減っておらず、支える体制もありませんでした。採用を先にすると、去る人が増えるだけでした。戦略は変わりました——先に労働時間と支える体制、あとで採用です。採用は、組織の最後の手です
3つの事例の共通点
- 人事戦略は、組織の実態を見た「あと」に書かれる——実態の前書いた戦略は、めくれません
- HRBPの仕事は、経営の向きと組織の実態の翻訳——経営の言葉(拡大、評価、採用)を、組織の言葉(定着、規則、体制)に訳します
- 戦略の順番は、組織の順番——定着が育成の前、規則が評価の前、体制が採用の前です
あなたの会社の戦略の順番は、組織の順番と合っていますか。
2つの戦略の物語
- 1の会社——人事は戦略を理想から書きました——3年の計画:評価制度、育成のカリキュラム、キャリアの道です。紙は立派でした。ただし、組織の実態は人手不足、残業、離職でした。1年で、戦略の紙は1枚もめくれませんでした。経営は言いました——「人事は現場を知らない」。人事は初めて組織を見て、戦略を定着から書き直しました
- 別の会社——人事は戦略を書く前に、現場を1ヶ月歩きました——シフト、引継ぎ、会話です。戦略は1枚でした:今年の3つ(離職を止める、リーダーを決める、規則を紙にする)です。3つはその年に終わり、次の年の戦略は、新しい実態から書かれました。戦略の厚みは、組織の実態に合わせます
差は、戦略を理想から書いたか、実態から書いたかです。あなたの会社の戦略の1枚目は、どこから書かれますか。
現場を見つめ直すための4つの問い
- あなたの会社の人事戦略は、組織の実態を見てから書かれていますか
- あなたの会社の戦略に、順番(定着→育成→評価)はありますか
- あなたの会社の人事は、現場とどれくらい遠いですか
- あなたの会社の戦略は、1年でめくれますか
今日から始められる最初のアクション
「戦略の1つの問い」を持って、現場を1回歩いてください——組織の実態でもっとも足りない物は何か。
- 答えを、戦略の1枚目に書きます。理想は2枚目です
- 歩きは1人で行かず、現場のリーダーと行きます
あなたの会社の組織の実態で、もっとも足りない物はなんですか。