現場での学び合いをどうつくるか
現場での学び合い——研修でなく、日常の中で人が人に学び合う形です。学び合いは「大事にしよう」の呼びかけでは生まれません。形で生まれます。この記事は、形の置き方の話です。
学び合いとは何か
学び合いは、日常の3つの口から始まります。
• 「ちょっと聞いていいですか」——問いの口
• 「それ、見せてください」——目の口
• 「これ、できたんです」——報告の口
3つの口が開いている職場が、学び合いのある職場です。閉じている職場では、学びは研修の日だけになります。あなたの職場では、3つの口はいくつ開いていますか。
なぜ、学び合いなのか——3つの価値
• 軽い費用——日常の5分の学び合いは、年の1度の研修より回数があります
• 広がり——1人が学んだことが、2人、3人に届く形です
• 関係——教え、教わるやり取りは、人間関係の段を登ります。学び合いのある職場は、関係が動いている職場です
3つ目は、数字に出ない価値です。ただ、辞めない理由の側に、静かに載ります。あなたの職場では、学び合いは1週間に何回起きていますか。
つくり方——5つの形
1つ目:問いを許す形
「質問は歓迎」を、口でなく形で置きます。間違えた質問を笑わない、罰しない——問いの口は、安心の上でしか開きません。
2つ目:5分の隙間の形
シフトに隙間を置きます。埋まったシフトでは、学び合いは起きません。5分は「見つかる」ものでなく、置くものです。
3つ目:3つの言葉の形
「ちょっと聞いていいですか」「見せてください」「これ、できたんです」——3つの言葉を、リーダーが先に使います。言葉が置かれると、振る舞いは言葉に続きます。
4つ目:リーダーの背中の形
文化は、リーダーの口でなく背中に続きます。
- リーダーが最初に質問する——「ここ、教えてもらえますか」
- リーダーが自分の失敗を先に出す——「昨日、やってしまいました」
- リーダーが「できた」を最初に報告する
3つの背中があると、職場の口は開いていくことがあります。あなたの職場のリーダーの背中には、3つありますか。
5つ目:記録の形
学んだことを1行残します——学びのログ、掲示板の1行、月末の3行。記録のある学び合いは、次の人の教材になります。
研修との役割の分担
学び合いは、研修の代わりでありません。
- 研修——新しい内容を、系統立てて置く場所
- 学び合い——学んだことを日常で試し、広げる場所
2つの車輪が回ると、教育の投資は効く形になります。あなたの会社では、2つの車輪はいくつ回っていますか。
回っていないサイン:3つ
• 「ちょっと聞いていいですか」のあとの静けさ——返事の形が死んでいます
• 学びのログが、同じ人の字で埋まる——学び合いが1人に集まっています(散らす形は 『動画マニュアルはどうつくるか』と同じ)
• 仲のよい間だけで学びが回る——グループの壁です。壁を越える形は、混ぜた係
3つのサインは、人の意欲の問題でありません。形の穴です。あなたの職場には、いくつ見えますか。
リーダーが今日からできる小さな工夫
今日、2つの言葉を職場で使ってください。
- 同僚に1つ——「ちょっと聞いていいですか」
- 帰りに1つ——「これ、できたんです」(自分の小さな「できた」で構いません)
2つの言葉は、学び合いの最初の口です。リーダーが先に使うと、1年で職場の言葉になります。学び合いは、制度でなく口の開き方——あなたの職場の口は、今日の2つの言葉から開きます。