定着と人件費を同時に考える
人件費率と定着率——2つの数は、しばしば敵として扱われます。削れば人が去り、上げれば利が痩せる形です。この記事は、2つの数を同じ机で読む形を置きます。
2つの論理——ぶつかる形
- 人件費の論理——人件費率=人件費÷売上高。率が高いと利が薄くなります。頭を減らし、賃金を抑える圧が出ます
- 定着の論理——人が去ると、入れ替えの費用が出ます。採用の広告、教える時間、穴の月のミス
2つを別々に読むと、片方だけの話になります。人件費の机は「削れ」を言い、定着の机は「上げろ」を言います。同じ机に並べた時だけ、本当の問いが出ます。あなたの会社では、どちらの机の声が大きいですか。
人件費削減の、2枚目の請求書
1枚目——今年の数字が軽くなります。見える行です。
2枚目——あとから届きます。
- 入れ替えの費用——入れ替えコスト=採用費+教育の時間+穴の期間の生産性の穴(式の形で読みます)
- 残った人の負担——1人分の行が残り、次の去りの準備になります
- サービスの質——教わっていない人が立つ現場の行は、お客様の評価に届きます
「1人減らす」の1枚目と、「1人残す」の2枚目を並べると、残す行のほうが軽いことが多い形です。あなたの会社では、2枚目の請求書を読んだことがありますか。
労働分配の、2つの顔
- 労働分配率=人件費÷付加価値(利益+人件費の形でも置けます)。式は1つ、読みは2つです
- 分配が薄すぎると——人は「自分の分け前がない」と読み、去ることもあります
- 分配が厚すぎると——宿の続きが危うくなります
問いは「いくら削るか」でなく、「分配が、働きの価値に合っているか」です(働き方の公平の行)。
同じ机に置く——経営会議の形
経営の議題に、2つの行を隣に置きます。
• 人件費率(金の行)
• 離職数と定着率(人の行)
3つの問いを、2つの行に当てます。
- 人件費率は、なぜ動きましたか——売上が減ったのか、頭が増えたのか
- 離職は、どこで出ましたか——同じ役、同じ月、同じチームですか
- その行は、人を守る行ですか、人を削る行ですか
数字は人を責めません。2つの行は、構造の鏡として読みます。あなたの会社の経営会議では、2つの行は隣にありますか。
定着への投資を、3つの目で読む
• 費用でなく投資で読みます——直しの行(シフトの組み替え、休息の線)の費用と、入れ替えコストの行。どちらが重いか、式で並べます
• 時期で読みます——定着の返りは遅れて出ます。半年から1年の目で読み、1ヶ月で判断しません
• 質と1緒に読みます——人あたりの売上、人あたりの付加価値。頭の数だけでは、働き方は読めません。あなたの会社では、どの目が欠けていますか
経営者の決断——3つの場合
- 売上が落ちる時——守る行と削る行を選びます。初めに置く1行は「休息の線を削らない」——休息は定着の最後の防衛です
- 伸びが要る時——人への投資が先です。成長の地図も人件費の1部として机に載せます
- 安定の時——分配の話を机に置きます。働き方の公平は、入れ替えコストより軽い出費のことが多い形です
あなたの会社では、3つの場合のどれに、いま立っていますか。
リーダーが今日からできる小さな工夫
1枚の紙に、2つの行を隣に置いてください——先月の人件費率と、先月の離職数。
- 2つの行を並べて読みます——「率が下がって、離職が増えた」なら、削りの請求書が届いている形です
- 「率も離職も動かない」なら、次の繁忙期が試験です
人と経営は、別の机の話でありません。あなたの会社の2つの行は、今日の1枚から同じ机に載ります。